(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

2016 買った新譜から10枚

 昨年の新譜が大体入手出来たので、今更ながら発表。

 とはいえ、一般的に注目作とされるものは殆どカバー出来ていないので、今年からこういったタイトルにして個人的なチョイスである事を強調した。そしてランキングではなく、リリース順に10枚を並べた。

 

 

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Meta / Metafive

 豪華メンバーが集まったミラクルな1枚。とはいえ個性がぶつかり合うというわけではなく、それぞれ自作自演出来る才能が高橋幸宏という存在を中心に集い、バンドという集合体である事を楽しんで作っている印象。

 

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Night Thoughts / Suede

 再結成2作目にしてディープに踏み込んだSuedeの世界。突き抜けた明快さがあった前作に比べ、タイトル通り思索に満ちた充実作。彼らが新たなフェーズに突入しつつある事を実感する。

 

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K 2.0Kula Shaker

 こちらもブリットポップ全盛からの再結成組だが、The Jeevasを引きずっているような『Strange Folk』、ブリティッシュ・トラッドに踏み込んだ『Pilgrim's Progress』と佳作ではあるが地味な内容が続いたところで今回のインド回帰。ファンは快哉を叫んだであろう。だが、単純な『K』の続編ではない。インド音楽とロックンロールのミクスチャーは、更なる進化を遂げている。

 

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Super / Pet Shop Boys

 コンスタントにアルバムをリリースし続ける2人組。最新のエレクトロニック・シーンにも常に対応し続けるモンスターは、前作『Electric』の路線を更に強化してきた。次作ではメロディックな面も聴いてみたいところ。

 

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Weezer (The White Album) / Weezer

 個人的に、2016年からのめり込んだのがWeezerだった。コンピレーションで聴いた「Buddy Holly」が全てのきっかけ。妙に耳に残って引っかかるメロディラインに中毒性がある。パワーポップ・ファンとしてはようやく彼らの作品を押さえる事が出来た。

 

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Fever Dream / Ben Watt

 1stソロから31年ぶりにリリースされた『Hendra』。そこからわずか2年でこの作品がリリースされたという事は、いかに前作への手応えを感じたか、そして元Suedeのバーナード・バトラーとのコラボレーションに意義を見出していたかという事か。堅くてごつごつしているようで温もりがある、まるで木製家具のような作品。SSW然としていた前作より、親しみやすさがある。

 

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Wild Pendulum / Trascan Sinatras

 彼らのファンになったのが、あの2011年。初めて迎える新作のリリースだ。つまり、このアルバムが私にとっての“ハジニュー”である。期待通りの暖かく優しいメロディ、歌声。もはや“ギターポップ”や“ネオアコ”といった言葉では語れない、深みのある作品である。

 

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The Colour in Anything / James Blake

 UKで話題の才人という事で購入。電子音の中に漂う叙情性と静謐、メランコリー。独自の世界観に引き込まれ、新たな音の体験をした気分になる。こういう音楽も悪くない。

 

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Blossoms / Blossoms

 UKアルバムチャート2週連続1位という華々しいデビュー作。近年の注目バンドにはあまり共感出来なかった私だが、この作品は非常に親近感を感じた。UK New Waveのエッセンスを感じるからなのだろうか?何より、曲自体の出来が良いからだと思う。とはいえ、音の響かせ方はいかにも2010年代という感じがする。次が楽しみなバンド。

 

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ゅ 13-14 / Unicorn

 不可能と思われた再結成から、早いようで年月の長さも感じる4作目。Abedon(当時は阿部義晴)のメロディメーカーぶりが際立った『シャンブル』『Z』はかなり真面目な作品で再結成前との明確な違いを感じたが、前作『イーガジャケジョロ』からメンバーそれぞれのバラバラな個性丸出しの楽しさを押し出している。再結成もセカンド・エラを迎えたのだろう。とはいえ、前作同様におちゃらけの仮面の下にシリアスなメッセージが潜んでいる作品だと思う。これぞユニコーン

 

 飛び抜けた作品が無く、ランキングにするのは難しかったがいやいやどうして、聴き直してみると粒揃いの一年だったように思う。

I'm one with the Force and the Force is with me. I'm one with the Force and the Force is with me...

 去年の今頃、EP7を観た私はSNSやネットを検索し、SWに関する書き込みを探っていた。ファンシーなイラスト、現代的オタク解釈による考察…それはとても楽しい時間である。周囲にファンがおらず、長らく孤独にSWナードを続けてきた自分にとっては、様々な人の意見をリアルタイムで知る事が出来る現代は、実に心強く面白い時代になった。

 だが、『Rogue One』が公開されて一週間。既に2度の作品鑑賞を終えた私は、初日にTwitterで感想ツイートを検索した以外、殆どネットのチェックを行っていない。これはどういう事か。

 つまり、今回の作品は誰かの解釈や創作に補完してもらう必要の無い、実に充実した作品だったからではないか、と思ったのである。昨年のあの時期は、誰かに補ってもらわなければ隙間を埋める事が出来なかった。つまり、自分にとってEP7はそういう作品だったという事だ。

 

 EP7初回鑑賞後、私は常にSWファンとして葛藤していた。自分は『Fanboys』『The People vs. George Lucas』に出てきたような、偏屈で心の狭いファンとは違う。過去のノスタルジーだけに浸る事無く、新たな世界も受け入れられる人間だ、と。

 そう必死に言い聞かせながら、何とも歯切れの悪い感想を書いた。

micalaud.hatenablog.com

 プリクウェル(EP1~3)をろくに理解しようともせずに批判する守旧派ファンの心無い言葉に、嫌な気持ちになったのは一度や二度ではない。だから、自分はそうではない人間であろうと努めていた。大きな違和感を覚えながらも、EP7を必死に好きになろうとしていたのだ。でなければ、4回も劇場鑑賞はしていない。

 

 そんな私の心を大きく揺るがしたのが、3Dアニメ『反乱者たち』の出来の素晴らしさ。

micalaud.hatenablog.com

 その流れは、今回の『Rogue One』が期待通りの出来だった事で決定的となってしまった。

 

 やはり、自分はEP7を好きになれない。努力はしたが、前述のスピンオフ2作を観た後ではどうしても見劣りしてしまう。違和感だけが更に強くなる。

 勿論、作品自体を否定するつもりはないし、評価を下すのはEP8とEP9公開後に行うべきだという事はわかっている。だが、現時点でEP7だけをお気に入り作品として挙げる事は、残念ながら私には無理だ。未だに映像ソフトを買っていないという事実が、何よりも如実にそれを表している。

(今年は自分のやりたい事への出費が多かった事、DVDからBDへの移行が済んでいない事、といった理由もあるのだが)

 

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 実はEP7は、鑑賞前にネットでネタバレに遭遇してしまっていた。すぐにページを閉じたので一つのセンテンスしか目にしなかったが、実はそこが最も重要なポイントだった…という悲しい経験がある。

 よって、今回の『Rogue One』は公開初日の朝一番の上映に臨んだ。同じ過ちは、繰り返してはならない。結果として、それだけの準備をしただけの意義はあった作品であった。

 

 以下、ネタバレしか含まない断片的な感想。

 

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Bye

 多くのスーパースターが鬼籍に入った2016年。

amass.jp

 こんな画像が作られるくらい、後世に影響を間違いなく残すであろう人物が次々にこの世を去っていきました。

 そして、間近で何度も躍動する姿を観たあのケンペスまで、まさかの事故で…。

 ボウイもプリンスもジョージ・マーティンケニー・ベイカーも悲しさはありましたが、様々な意味でこの事故はショックでした。こんな形で彼に別れを言わなくてはならないとは。本人も無念だったでしょうし、何よりジェフのサポーターなら多かれ少なかれ衝撃はあったはずです。

 

 その訃報の一週間後、今度はこんなニュースが。

natalie.mu

 闘病中だという事は風の噂で知っていましたが、彼までこの世を去ってしまうとは。彼が率いていたL⇔Rのブレイク期を知っていた者としては、少なからぬ動揺と寂しさがあります。

 

 私はL⇔Rの熱心なファンだったというわけではありません。持っているのはシングル数枚とアルバム2枚のみ。しかし、前述通り「Hello It's Me」を経て「Knockin' on Your Door」で彼らがスターダムにのし上がっていく様をリアルタイムで知っています。当時の友人からアルバムを借りた時も、マッカートニーやウィルソン色を強く感じさせながらも日本的な歌メロに上手く落とし込んでいく才能は只者では無い、と一聴しただけでわかりました。

 あの頃、Mr.Childrenスピッツといったブリティッシュの香りが強いバンドが多くブレイクしており、学校の体育の時間に「君、あの手のバンドの区別付く?何か似たような人が多くてわからない」とクラスメイトに話しかけられたのを昨日の事のように思い出します。

 確かその問いには適当に相槌を打った記憶がありましたが、内心では「どこが区別つかねーんだよ、ちょっと聞いただけでも全然違うだろうが…」と思っていました。ちょうど、絶頂期にあった小室哲哉の量産ヒット曲とは別の流れで、普遍的なバンド・サウンドが再びヒットチャートに復権していた時期でもありました。

 「Knockin' on Your Door」のミリオンセラーの後、彼らL⇔Rが繰り出したシングルは「Bye」。この時期、自身の進路だけでなく多くの悩みを抱えていた私は、模試を受けに行った千葉市の某予備校近くのコンビニ内にて、ニューシングルとして流れて来たこの曲を耳にしました。

 この頃、人の多い場所に出るのがとても億劫で、ちょっと不安になるくらいの精神状態でした。模試の昼休みで食事を買うためにコンビニに立ち寄ったのですが、どこか自分がそこにいるようでいないような、フワフワした気持ちでこの曲を聞いた事がやけに記憶に残っています。

 大ヒット曲だった前作から大幅に売り上げを落とした、という情報を知ったのはかなり後の事ですが、「Knockin' on Your Door」よりも更にビートリーなサウンドに非常に親近感を覚え、自分にとってはお気に入りの曲です。アンバランスな精神状態の時に記憶に刷り込まれたせいか、とても自分にはラブリーに感じられます。

 しかしこうして振り返ってみて、改めてここまで鮮明に覚えている事に自分でも驚いています。前述の模試で「ハーグ密使事件」を「パグ密使事件」と間違えて書いた事すら思い出してしまいました。それだけ多感な時代だったのでしょうし、その時期によく耳にした黒沢氏の音楽の事に親しみを覚えるのは、ある意味で当然なのでしょう。

 

 熱心なファンの方には話半分で読み流して頂きたいのですが、黒沢健一氏には以前から少しだけ親近感を覚えている事があります。それは、spiritual sounds時代の音源を聞いたり、仲良くなってセッションしたりした複数の方から、私の歌唱法や声が氏に似ていると言われたという事。

 書くまでも無いことですが、私のようなちっぽけな人間が才能溢れる黒沢氏の歌声と比較されるなど、どう考えても烏滸がましい事だというのは自分自身理解しています。しかし、彼の音域と私のそれは近いものがあり、L⇔Rのナンバーをカラオケで歌っていても非常に心地よかったのは事実。そう言ってもらえて自信になった、という程ではありませんでしたが、何となく自分の歌の方向性が見えたのもまた確かな事でした。

 

 訃報を知った時、彼がカヴァーしたあの曲を聴きたくなりました。

Gentle Guitar Dreams

Gentle Guitar Dreams

 

  本当に、「さすが」と言いたくなるような絶妙な視点とセンスを持ったミュージシャンでした。ご冥福をお祈り申し上げます。

愛の六弦展覧会 Vol.3

 先日、10年ぶりに記事のナンバリングを「Vol.2」に更新したかと思えば、更にVol.3まで一気に書いてしまう暴挙。

micalaud.hatenablog.com

 といっても、前回は2本もらったうちの1本を紹介しただけなので、当然もう片方も書く事になるのは避けられない。記事の水増しとも言うが。

 これだけ長い間止まっていたマイギター紹介記事が一気に追加されたわけだが、無論このまま軌道に乗るはずもなく、恐らくはこのまま打ち止めとなる。誰かから譲り受けたりする事が無い限りは。

 

 もう1本はレスポール(タイプ)だった。

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 当然ながら、ギブソンではない。

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 ヘッドが汚れたままで申し訳ないが、国産レスポールといったらここ、グレコのものである。コピーモデルとはいえ、多くのミュージシャンに愛された名器を数々生み出したメーカーだ。

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 近年のギブソンのスチューデントラインはエピフォンだが、それとは違う堂々たる「MADE IN JAPAN」の刻印。

 

 レスポール・タイプのギターは所有していなかったので、こちらは私が引き取る事にした。重いし高い、そういった理由で自分とは縁が遠いと思っていたレスポールだったが、こうして思わぬ機会で今回所有する事となったわけだ。

 写真ではわかり辛いが、トグルスイッチが折れているのが困った点である。正直この程度の修理なら自分で出来るが、楽器店ではあまり見かけないパーツだったりするのでちょっと困った。恐らく修理を依頼したら、余裕で1万は超えるだろう。それはさすがに勘弁願いたい。

 

 グレコは、海外楽器代理店業でお馴染みの神田商会が立ち上げたブランドである。それこそこのタイトルの記事を最初に書いた10年前、神田商会の方とも取引で頻繁に顔を合わせていた。もう今では私の存在などとっくの昔に忘れられているだろうし、かく言う私もその方の名前を覚えていない(顔は記憶に残っているが)。何とも不思議な感慨を覚える。

 

 そういえば、SpiSunの我が相棒ジョニー馬論が最初に買ったギターは、エピフォン製のレスポールだった。The Beatlesの映像を観ていて辛抱堪らず購入したのだと記憶しているが、彼の愛するレノン要素があまり無いだけにこのギターのチョイスは少し不思議であった。

 彼はキーボーディストながら、自らの曲でこのレスポールを1回だけ録音に使用。BlurOasisにインスパイアされたと思しきリフを、「Revolution」におけるジョンの如く歪ませきった音で弾いたのだ。一時期は、練習スタジオにも持参していたほど入れ込んでいた。私が最後に見たときはペグなりスイッチなりが壊れていたように記憶しているが、その後あのギターがどのような扱いを受けたのか少し気になっている。

PARCO Sky

 パルコ千葉店が、今月いっぱいで閉店。

 ツイートした通り、かなり昔から頻繁に訪れていたわりには、これといって語るような思い出がありません。それは、以前千葉市の思い出を語った記事でもパルコに触れていない事からもわかります。

blog.goo.ne.jp

 

 とはいえ、自分にとっては“そこにあって当たり前”だった場所。それがなくなるのはとても寂しい事です。

 千葉パルコは、むしろここ10年くらいの思い出の方が濃く残っています。ジェフの試合の帰りに寄る事が殆どで、そうなると当然ながら敗戦の後で疲れ切っている事の方が圧倒的に多くなる。そんな中で館内を見て回るのだから、いつも心が重かった印象があります。しかしこれはパルコには何の責任も無く、あくまで私自身の問題ですが。

 近年ジェフの試合絡み以外で寄ったのは、震災直後に親族の葬儀で房総半島に向かう際、時間潰しのために寄った時が数少ない機会でした。いつ余震があるかわからない中、神経を尖らせながらタワーレコードを訪れたのです。

 関係ありませんが、秋葉原・新宿・池袋の店舗に次ぐくらい千葉パルコのタワレコは訪れる機会が多かったように思います。去年何か新譜を買った記憶がありますが、それが最後の買い物となりました。

 ここの島村楽器も当然ながらよく利用していたのですが、結局大きな買い物はせず仕舞でした。

 千葉市島村楽器で始めてのギターを入手した顛末は、既にこのブログでも書いています。

micalaud.hatenablog.com

 文中に「(現在でも営業中の)」という一節があるのが、何やら切ない。パルコの島村楽器での買い物で覚えているのは、SWのストームトルーパー柄のギターストラップくらい。なかなか良い一品だが、長さの調節があまり出来ず、殆ど使わずに眠ったままである。

 

 パルコや三越の閉店とも絡めて、千葉市の空洞化がニュースになっている模様。

mainichi.jp

 地元だけでなく千葉市でさえも、徐々に街が衰え人が姿を消していく。自分があの頃のままであってほしいと願おうが、現実がその声を聞いてくれるわけではない。諸行無常、ただ受け入れて生きていくのみです。今までありがとう、パルコ千葉店。