(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Waiting

 リリースが止まっており、告知の手段も限られるミュージシャンの現状を知るのは難しい。

 

 現役のシンガーソングライターの中では、トップクラスに好きなのがJason Falknerだが、昨年夏にひっそりと弾き語りライヴを行っていた事を知ったのは開催から2ヶ月後だった。

 アルバムリリースも来日ライヴも2009年で止まっており、その後はCheap Trickやポールのツアー及びレコーディングに帯同している事は知っていたが、それ以上の情報は得られなかった。

 

 しかし先日、手持ち無沙汰の時間にふと思い立って彼の名前を検索したのだが…。 

■R. Stevie Moore / Jason Falkner | ローファイ・レジェンド、R・スティーヴィー・ムーアと、ジェリーフィッシュやソロでの活動で知られるミュージシャン、ジェイソン・フォークナーのコラボレーション・アルバム。二人の天才ポップ・メイカーによる『メイク・イット・ビー』、リリース。|BIG NOTHING

www.tokyoheadline.com

 

 まさかのアルバムリリースの報がヒット。しかも何と今月である。偶然とはいえ、出来すぎではないか。

 

 ソロ・アルバムというわけではなく、R. Stevie Mooreというミュージシャンとのコラボ盤らしい。彼の事は寡聞にして知らなかったので、少しだけ調べてみた。

matome.naver.jp

  70年代前半の局の動画が貼られている。かなりキャリアの長いベテランのようだ。宅録マルチミュージシャンの元祖とも言える音楽性らしい。

 

 うーん、これはモロにローファイだ。


R. Stevie Moore - I Not Listening (1974)


R. Stevie Moore - I Like To Stay Home (1986)

 前述のリンク先の記述によると「曲は、ほんとにポップ40年間も売れなかったのが不思議」との事だが、ポップなのは確かでもそこまでわかりやすい音楽とも思えない。

 だが、Jasonとの共通点は感じる。Jasonの1st『Presents Author Unknown』や、デモトラック集『Necessity: 4 Track Years』と手触りは非常に近い。どちらも宅録多重録音だからだろう、というツッコミは不要。

 

 この2人も、出会うべくして出会った結果のコラボレーションなのかもしれない。いずれにせよ、8年越しにJasonが大きく関わった作品が聴けるのは楽しみである。それも、あとすぐで発売するのだからたまらない。

Can't Stop Thinking About Paper Sleeve

 既にジョージファンの皆様はご存知とは思われますが、ジョージの全アルバムが紙ジャケ化、及びアナログボックスがリリースされます。

nme-jp.com

www.barks.jp

 基本的にはアナログボックスがメインの企画で、紙ジャケCDは日本のみの独自企画の模様。一応アナログの方はリマスター、CDの方も同じマスターを使用しているようですが、アップル時代のアルバムは2014年にリマスターしたばかりだよなぁ…。

 

 ジョージのファンならば、日本市場での影響も考えて買うべきなのでしょう。しかし、今回初出のトラックもなければ、前述通りアップル時代の作品はリマスターボックスを買ったばかり。腰が非常に重いです。

 せめて、ボーナストラックで豪華本『Songs by George Harrison』付録CDを全曲、もしくはダークホース・ボックスの際に収録漏れした「Poor Little Girl」「Cockamamie Business」(『Best of Dark Horse 1976–1989』所収)をリマスター収録するとかなり大きな購入への後押しになったはずなのですが。

 何より先立つものがないので、「コレクションのために買う」というような思い切りが出来ないのが現状です。元々コレクション欲があまり無いのは、過去に書いた通り。

micalaud.hatenablog.com

 せっかくのジョージのニューリリース、滅多に無い機会だという事は重々承知しているのですが…うーん、ちょっと考えます。

 

 

 今回のニュース記事を検索していたら、こんなトピックが。

news.livedoor.com

 昨年夏に出たニュースの模様。勿論ジョージの未発表曲は沢山あるでしょうし、『George Harrison Anthology』がいつか発表される事を願っていますが、「リリース」という表現は話半分で聞いておいた方が良いような気がします。もっとずっと先の話になるのではないかと…こんなニュースがあった事も、多くの人は忘れているでしょうから。

news.mynavi.jp

 これは企画自体が実現するとはとても思えなかった話ですが。事実、実現してませんしね。

2016 買った新譜から10枚

 昨年の新譜が大体入手出来たので、今更ながら発表。

 とはいえ、一般的に注目作とされるものは殆どカバー出来ていないので、今年からこういったタイトルにして個人的なチョイスである事を強調した。そしてランキングではなく、リリース順に10枚を並べた。

 

 

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Meta / Metafive

 豪華メンバーが集まったミラクルな1枚。とはいえ個性がぶつかり合うというわけではなく、それぞれ自作自演出来る才能が高橋幸宏という存在を中心に集い、バンドという集合体である事を楽しんで作っている印象。

 

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Night Thoughts / Suede

 再結成2作目にしてディープに踏み込んだSuedeの世界。突き抜けた明快さがあった前作に比べ、タイトル通り思索に満ちた充実作。彼らが新たなフェーズに突入しつつある事を実感する。

 

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K 2.0Kula Shaker

 こちらもブリットポップ全盛からの再結成組だが、The Jeevasを引きずっているような『Strange Folk』、ブリティッシュ・トラッドに踏み込んだ『Pilgrim's Progress』と佳作ではあるが地味な内容が続いたところで今回のインド回帰。ファンは快哉を叫んだであろう。だが、単純な『K』の続編ではない。インド音楽とロックンロールのミクスチャーは、更なる進化を遂げている。

 

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Super / Pet Shop Boys

 コンスタントにアルバムをリリースし続ける2人組。最新のエレクトロニック・シーンにも常に対応し続けるモンスターは、前作『Electric』の路線を更に強化してきた。次作ではメロディックな面も聴いてみたいところ。

 

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Weezer (The White Album) / Weezer

 個人的に、2016年からのめり込んだのがWeezerだった。コンピレーションで聴いた「Buddy Holly」が全てのきっかけ。妙に耳に残って引っかかるメロディラインに中毒性がある。パワーポップ・ファンとしてはようやく彼らの作品を押さえる事が出来た。

 

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Fever Dream / Ben Watt

 1stソロから31年ぶりにリリースされた『Hendra』。そこからわずか2年でこの作品がリリースされたという事は、いかに前作への手応えを感じたか、そして元Suedeのバーナード・バトラーとのコラボレーションに意義を見出していたかという事か。堅くてごつごつしているようで温もりがある、まるで木製家具のような作品。SSW然としていた前作より、親しみやすさがある。

 

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Wild Pendulum / Trascan Sinatras

 彼らのファンになったのが、あの2011年。初めて迎える新作のリリースだ。つまり、このアルバムが私にとっての“ハジニュー”である。期待通りの暖かく優しいメロディ、歌声。もはや“ギターポップ”や“ネオアコ”といった言葉では語れない、深みのある作品である。

 

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The Colour in Anything / James Blake

 UKで話題の才人という事で購入。電子音の中に漂う叙情性と静謐、メランコリー。独自の世界観に引き込まれ、新たな音の体験をした気分になる。こういう音楽も悪くない。

 

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Blossoms / Blossoms

 UKアルバムチャート2週連続1位という華々しいデビュー作。近年の注目バンドにはあまり共感出来なかった私だが、この作品は非常に親近感を感じた。UK New Waveのエッセンスを感じるからなのだろうか?何より、曲自体の出来が良いからだと思う。とはいえ、音の響かせ方はいかにも2010年代という感じがする。次が楽しみなバンド。

 

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ゅ 13-14 / Unicorn

 不可能と思われた再結成から、早いようで年月の長さも感じる4作目。Abedon(当時は阿部義晴)のメロディメーカーぶりが際立った『シャンブル』『Z』はかなり真面目な作品で再結成前との明確な違いを感じたが、前作『イーガジャケジョロ』からメンバーそれぞれのバラバラな個性丸出しの楽しさを押し出している。再結成もセカンド・エラを迎えたのだろう。とはいえ、前作同様におちゃらけの仮面の下にシリアスなメッセージが潜んでいる作品だと思う。これぞユニコーン

 

 飛び抜けた作品が無く、ランキングにするのは難しかったがいやいやどうして、聴き直してみると粒揃いの一年だったように思う。

単なる正月日記

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 

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 惑わず、惑わされず。自分なりに進んでいける年にしたいです。やりたい事があるうちは、まだまだ走り続けられると思います。頑張ります。

I'm one with the Force and the Force is with me. I'm one with the Force and the Force is with me...

 去年の今頃、EP7を観た私はSNSやネットを検索し、SWに関する書き込みを探っていた。ファンシーなイラスト、現代的オタク解釈による考察…それはとても楽しい時間である。周囲にファンがおらず、長らく孤独にSWナードを続けてきた自分にとっては、様々な人の意見をリアルタイムで知る事が出来る現代は、実に心強く面白い時代になった。

 だが、『Rogue One』が公開されて一週間。既に2度の作品鑑賞を終えた私は、初日にTwitterで感想ツイートを検索した以外、殆どネットのチェックを行っていない。これはどういう事か。

 つまり、今回の作品は誰かの解釈や創作に補完してもらう必要の無い、実に充実した作品だったからではないか、と思ったのである。昨年のあの時期は、誰かに補ってもらわなければ隙間を埋める事が出来なかった。つまり、自分にとってEP7はそういう作品だったという事だ。

 

 EP7初回鑑賞後、私は常にSWファンとして葛藤していた。自分は『Fanboys』『The People vs. George Lucas』に出てきたような、偏屈で心の狭いファンとは違う。過去のノスタルジーだけに浸る事無く、新たな世界も受け入れられる人間だ、と。

 そう必死に言い聞かせながら、何とも歯切れの悪い感想を書いた。

micalaud.hatenablog.com

 プリクウェル(EP1~3)をろくに理解しようともせずに批判する守旧派ファンの心無い言葉に、嫌な気持ちになったのは一度や二度ではない。だから、自分はそうではない人間であろうと努めていた。大きな違和感を覚えながらも、EP7を必死に好きになろうとしていたのだ。でなければ、4回も劇場鑑賞はしていない。

 

 そんな私の心を大きく揺るがしたのが、3Dアニメ『反乱者たち』の出来の素晴らしさ。

micalaud.hatenablog.com

 その流れは、今回の『Rogue One』が期待通りの出来だった事で決定的となってしまった。

 

 やはり、自分はEP7を好きになれない。努力はしたが、前述のスピンオフ2作を観た後ではどうしても見劣りしてしまう。違和感だけが更に強くなる。

 勿論、作品自体を否定するつもりはないし、評価を下すのはEP8とEP9公開後に行うべきだという事はわかっている。だが、現時点でEP7だけをお気に入り作品として挙げる事は、残念ながら私には無理だ。未だに映像ソフトを買っていないという事実が、何よりも如実にそれを表している。

(今年は自分のやりたい事への出費が多かった事、DVDからBDへの移行が済んでいない事、といった理由もあるのだが)

 

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 実はEP7は、鑑賞前にネットでネタバレに遭遇してしまっていた。すぐにページを閉じたので一つのセンテンスしか目にしなかったが、実はそこが最も重要なポイントだった…という悲しい経験がある。

 よって、今回の『Rogue One』は公開初日の朝一番の上映に臨んだ。同じ過ちは、繰り返してはならない。結果として、それだけの準備をしただけの意義はあった作品であった。

 

 以下、ネタバレしか含まない断片的な感想。

 

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Bye

 多くのスーパースターが鬼籍に入った2016年。

amass.jp

 こんな画像が作られるくらい、後世に影響を間違いなく残すであろう人物が次々にこの世を去っていきました。

 そして、間近で何度も躍動する姿を観たあのケンペスまで、まさかの事故で…。

 ボウイもプリンスもジョージ・マーティンケニー・ベイカーも悲しさはありましたが、様々な意味でこの事故はショックでした。こんな形で彼に別れを言わなくてはならないとは。本人も無念だったでしょうし、何よりジェフのサポーターなら多かれ少なかれ衝撃はあったはずです。

 

 その訃報の一週間後、今度はこんなニュースが。

natalie.mu

 闘病中だという事は風の噂で知っていましたが、彼までこの世を去ってしまうとは。彼が率いていたL⇔Rのブレイク期を知っていた者としては、少なからぬ動揺と寂しさがあります。

 

 私はL⇔Rの熱心なファンだったというわけではありません。持っているのはシングル数枚とアルバム2枚のみ。しかし、前述通り「Hello It's Me」を経て「Knockin' on Your Door」で彼らがスターダムにのし上がっていく様をリアルタイムで知っています。当時の友人からアルバムを借りた時も、マッカートニーやウィルソン色を強く感じさせながらも日本的な歌メロに上手く落とし込んでいく才能は只者では無い、と一聴しただけでわかりました。

 あの頃、Mr.Childrenスピッツといったブリティッシュの香りが強いバンドが多くブレイクしており、学校の体育の時間に「君、あの手のバンドの区別付く?何か似たような人が多くてわからない」とクラスメイトに話しかけられたのを昨日の事のように思い出します。

 確かその問いには適当に相槌を打った記憶がありましたが、内心では「どこが区別つかねーんだよ、ちょっと聞いただけでも全然違うだろうが…」と思っていました。ちょうど、絶頂期にあった小室哲哉の量産ヒット曲とは別の流れで、普遍的なバンド・サウンドが再びヒットチャートに復権していた時期でもありました。

 「Knockin' on Your Door」のミリオンセラーの後、彼らL⇔Rが繰り出したシングルは「Bye」。この時期、自身の進路だけでなく多くの悩みを抱えていた私は、模試を受けに行った千葉市の某予備校近くのコンビニ内にて、ニューシングルとして流れて来たこの曲を耳にしました。

 この頃、人の多い場所に出るのがとても億劫で、ちょっと不安になるくらいの精神状態でした。模試の昼休みで食事を買うためにコンビニに立ち寄ったのですが、どこか自分がそこにいるようでいないような、フワフワした気持ちでこの曲を聞いた事がやけに記憶に残っています。

 大ヒット曲だった前作から大幅に売り上げを落とした、という情報を知ったのはかなり後の事ですが、「Knockin' on Your Door」よりも更にビートリーなサウンドに非常に親近感を覚え、自分にとってはお気に入りの曲です。アンバランスな精神状態の時に記憶に刷り込まれたせいか、とても自分にはラブリーに感じられます。

 しかしこうして振り返ってみて、改めてここまで鮮明に覚えている事に自分でも驚いています。前述の模試で「ハーグ密使事件」を「パグ密使事件」と間違えて書いた事すら思い出してしまいました。それだけ多感な時代だったのでしょうし、その時期によく耳にした黒沢氏の音楽の事に親しみを覚えるのは、ある意味で当然なのでしょう。

 

 熱心なファンの方には話半分で読み流して頂きたいのですが、黒沢健一氏には以前から少しだけ親近感を覚えている事があります。それは、spiritual sounds時代の音源を聞いたり、仲良くなってセッションしたりした複数の方から、私の歌唱法や声が氏に似ていると言われたという事。

 書くまでも無いことですが、私のようなちっぽけな人間が才能溢れる黒沢氏の歌声と比較されるなど、どう考えても烏滸がましい事だというのは自分自身理解しています。しかし、彼の音域と私のそれは近いものがあり、L⇔Rのナンバーをカラオケで歌っていても非常に心地よかったのは事実。そう言ってもらえて自信になった、という程ではありませんでしたが、何となく自分の歌の方向性が見えたのもまた確かな事でした。

 

 訃報を知った時、彼がカヴァーしたあの曲を聴きたくなりました。

Gentle Guitar Dreams

Gentle Guitar Dreams

 

  本当に、「さすが」と言いたくなるような絶妙な視点とセンスを持ったミュージシャンでした。ご冥福をお祈り申し上げます。