THE GOOD-BYEの加賀八郎さんが死去…55歳 2010年に多発性骨髄腫を告白
(シネマトゥデイ)
ザ・グッバイのベーシスト、加賀氏が亡くなりました。
自分は、グッバイに関してはビクターから再発されたCDとDVDを全て持っているだけです。
勿論、彼らの音楽は大好きで、以前ブログでも取り上げた事があります。
Midnight Trainに飛び乗ってTake a Chance,それが僕らの祈り P.S. Love Me Do 〔by ラウド〕
素顔のままで安らぎを求めて、オアシス パラダイスへ。 そんなSummer 1963 〔by ラウド〕
ですが、稀に行われる再結成ライブや、ソロでのライブなどに足を運ぶほど熱心なファンではないです。ソロでの音源も、曽我氏の『Soga』しか持っていません。
それでも、以前から加賀氏のブログで闘病生活の様子を知っていたので、自分でも意外なほどにショックです。
何故なのだろう?勿論好きなバンドのメンバーが亡くなったのだから、寂しいのは当たり前なのだけど…彼のブログを読んで、その人柄に惹かれていたのが理由の一つとして挙げられると思います(グッバイでのジョージ・ポジションの人だったので、元々そういう意味でも気になるメンバーではありましたが)。
今回の病気が発覚した時も、「医学が進歩して俺の病気も何とかなるかもしれない!俺は諦めないぜ!」という内容の発言をされていた記憶がありますが、そういった難病に対してもあくまで飄々と、それでいて力強く立ち向かっていく姿勢に心を打たれたのです。
例え、それがブログ上だけのものだったとしても、きっと自分だったらネガティブな発言をしてしまうから。
そんな前向きだった彼が、こうして眠りについてしまった。自分の拙い文では上手く表現出来ないけど、彼が過ごした日々を知ってしまった者として悲しみがあります。
もう一つ、恐らくこちらの方が大きいと思うのですが、ここ数年で自分自身が「死」というものを思う回数が増えた事。
ちゃらんぽらんに生きてきた自分が去年の初めに入院した際、生まれて初めて「自らの死」というものに対して向き合わされた気がします。とにかく後ろ向きな思考しか出来ず、周囲の人に愚痴をこぼして、ツイッターで不安な気持ちを紛らわす日々。
そんな中で思い出したのは、闘病中の加賀氏の事でした。弱い自分は「加賀さんが頑張ってるんだから、俺の現状なんか些細な事だ」という前向きな考え方は出来なかったけど、「彼はどういう気持ちでいつもブログを書いているのだろう?」と、書き手である加賀氏の立場に自分を投影して色々と想いを巡らせていました。
そういった意味で、今回の訃報は記事にしておきたかったのです。
「最近、ザ・グッバイの事をまったく話題にしていなかったのに、こんなタイミングだけ…」
というツッコミが入るかもしれませんが、それは仕方ない事。だって、新譜なり再発なりのリリースがないんだもん。
グッバイのメンバーのサイトなりブログなりは全員分ブックマークしてありますし、チェックもしていました。iTunesには2枚組ベスト『Ready! Steady!! The Good-Bye!!!』が常に入っております。加賀氏の曲「Out of the Blue」「僕らの祈り」は聴く回数も多いですよ。
誰に言い訳してるんだかわかりませんが、でも確かにこういう機会じゃないと話題にしないのは軽薄で安直ですね。それは認めます。浅はかで学がない人間なので許してください。
というわけで、浅はかついでに追悼の意味をこめて、加賀氏のザ・グッバイ時代の自作曲&ヴォーカル曲の全曲レビューをやりたいと思います。
画像を貼るのが面倒なので、アフィリエイトで許してね!踏まなくていいよ!
以下は続きを読むからどうぞ。こんな機能、前のブログに無かったぜ!

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Going Home
from the Album 『Good Vibrations』(2nd)
2ndにして初ヴォーカル&初作詞(作曲は曽我氏)。ゆったりとしたカントリー調の望郷歌。アメリカン・ミュージックが好きな彼らしい、ほのぼのしたナンバー。朴訥とした歌が歌詞と相まって泣けます。

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Isolation
from the Album 『All You Need is…グッバイに夢中!』(3rd)
初の自作曲採用はなんとインスト。エコー処理や謎の喋り声の合間をギターが走っていく。エンディングに能天気なピアノが出てくるのは、「Tomorrow Never Knows」を意識した?
切ない曽我氏のバラード「Cry」と繋がっているので、当時のファンは大いに面食らったであろう。本人曰く、「ジョン・ケージを意識した」とか。アルバム収録曲といえど、現代音楽をやろうとするアイドルって…。

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ホーボー・ブルース(Hobo's Blues)
from the Album 『4 Sale』(4th)
作詞&ヴォーカル(作曲はヨッちゃん)。彼のルーツをそのまま出した70年代アメリカン・ロック。間奏では自らが弾くスティール・ギターも登場し、土埃くさいサウンドを展開。
ただ、曲に捻りがないので個人的にはいまいち…このアルバム全体が彼らのバック・トゥ・ルーツ志向という感じなので、あくまでその一曲という感じ。そういう意味でも、本家ビートルズの『Beatles for Sale』っぽいのかな。

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from the Album 『Fifth Dimention』(5th)
グッバイの『Revolver』と言われるこの一大サイケデリック・アルバム。となれば、グッバイのジョージがオープニングを飾るのは当然か。初めての完全自作曲のヴォーカル作品。ただ、サビはヨッちゃんが歌っているので、それは加賀氏の音域的な問題だと思われる。映像作品で見ても、歌うのは結構辛そうだったので…。
音処理に時代は感じるが、クリアーなギターが重ねられたサウンド、意味深な歌詞、クールな曲調…1曲目に選ばれるのも納得の出来。
No Longer on the Earth(安らぎを求めて)
from the Album 『Fifth Dimention』(5th)
自作曲を丸ごと歌えなかったから、単独でヴォーカルをとれる曲を用意しなきゃ…とメンバーが考えたわけでもなかろうが、ヨッちゃんとの共作(作詞はヨッちゃん単独)でもう一曲。
重ねられたアコギは恐らく野村・曽我・加賀の三氏で弾いているはず。ちょっと「You've Got to Hide Your Love Away」っぽいメロディに、「Mull of Kintyre」っぽいバグパイプが間奏に登場。12弦アコギの響きが気持ち良い佳曲。
このアルバム、流れとして本当に良く出来ていると思う。業界で話題になるのも納得。

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Mass-Communication
from the Album 『#6 Dream』(6th)
ちょっとニューウェーヴの香りも感じる複雑なリズムとキレのあるギター・カッティング。自らの声で重ねたコーラスに乗せて、アイロニカルな詞が歌われる。アルバム中でも指折りの格好良い曲。硬めの音で延々とリフを弾きつづけるベースも、実に彼らしい。
もしかしたら加賀氏の曲で一番好きかもしれない。ベストに入れるべきだったと思う。
Jamaica野郎
from the Album 『#6 Dream』(6th)
作詞に関わったレゲエのお遊びナンバー。4人でヴォーカルをとる曲なのだが、Bメロとサビの最後の決めのフレーズを歌っているのが加賀氏。多分一番美味しい場所を担当。ギターの音が不思議。

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Shout
from the Album 『Shout!!』(7th)
カヴァー・アルバム(バンドが出演した短編映画のサントラでもある)なので自作曲はなし。ただしヴォーカル曲も無し。ジョージやリンゴもライブでは一曲ずつ歌ってるんだから、用意してやれよ…。
ただし、ビートルズもカヴァーしたこの曲で部分的にヴォーカルを担当。当然ジョージのパートを歌ってます(「little bit softer now」の部分)。というか、アレンジもほぼビートルズ・ヴァージョンそのまま。
しかし、当時『Anthology』は出ていないわけで、この曲(のビートルズ・ヴァージョン)を知るとしたらブートか映像作品しかないはず。同じく埋もれていたはずのビートルズ版「How Do You Do it?」もカヴァーしているので、彼らがマニアックなビートルズ・ファンだという事がわかる。
しかし加賀氏がジョージ、ドラムの衛藤氏がリンゴってのはわかるけど、ストリングスもためらいなくアレンジに取り込みポップなメロディを書く曽我氏がジョン役、ロック・ギタリスト然としている野村氏がポール役なのがよくわからない。逆じゃないの?っていう…。

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Prophetic Dream -予言夢-
from the Album 『Album』(8th)
ザ・グッバイにとってのホワイト・アルバムである2枚組には4曲提供。その最初の曲からいきなり名曲。
加賀氏の曲はリズミックなクリーン・トーンのエレキ、もしくはアコギがアレンジの中心になっている気がする。この曲も冒頭から力強いカッティング。間奏の変拍子といい、精神世界を歌った歌詞といい、並々ならぬ気合を感じる。
僕らの祈り
from the Album 『Album』(8th)
ベストに収録されるのは当然であろう名曲。シンプルなメロディ、シンプルなアレンジだからこそじっくり聴かせる。ハーモニカ・ソロも披露。
具体的な神は現れないが、無償の愛と救済を歌った歌詞。カントリー・フレーバーなメロディも含め、ジョージの「Give Me Love」にも通ずる世界だ。今回の訃報に触れてから改めて聴いたが、悲しくも優しい気持ちになれた。そんな一曲。
聖 Yah!
from the Album 『Album』(8th)
別にクリスマス・ソングではない。印象的なリフで引っ張る、3コードのブルース。思わずギターを手に取りたくなる一曲で、ジョニー馬論にも「またこの曲弾いてんのかよ!」と言われていた記憶も懐かしい。
私が持っている再発CDにはデモ・ヴァージョンも収録。自らギター・ソロをとっており、レア度が高い。仮歌のフェイク・イングリッシュがそのまま歌詞に採用されているのがわかる。
Blood of Memory
from the Album 『Album』(8th)
最後はインスト。アコースティック・ギターとベースとパーカッションの一部以外はおそらく全て打ち込み。
環境音も入り、オカリナ的なシンセ・リードの音などニューエイジ・ミュージック的な異色作。
The Day Illusion Suite (Part1 "Day Break")
from the Album 『Album』(8th)
2枚組の最後を飾る、4人で歌い継ぐ組曲。このパート1では最後の箇所でソロ・ヴォーカルを担当。一人だけ朴訥とした感じになるのも個性。「同僚たちバトミントン(チェッ) 気楽なものさ」という歌詞は、今でも精神的にキツい時にふと脳裏に浮かんだりするなぁ。
ちなみにパート3でも4人全員で合唱。作曲はプロデューサーの川原伸司氏(P.Wilson名義)だが、ラストのギターフレーズにハッとさせられたり、かなり好きな曲です。

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Windy People
from the Album 『Revolution No.9』(9th)
何とラスト・アルバムはヴォーカルも自作曲もなし…残念。ただし、愛娘に捧げた美しい歌詞を提供。曽我氏が作曲とヴォーカルを担当している。
前述の「No Longer on the Earth」同様のコンセプトで、アコギ中心にアイリッシュ・サウンドを取り入れている名曲。ベストにも収録された。
正直、このアルバムは購入を一番最後に回してしまった。ベストに収録されていたこの時期の曲がいまいちピリッとしなかったのが原因で、実際に買ってみるとあんまり曲はポップじゃないわ、加賀&衛藤の両氏はオリジナル曲を提供していないわ、打ち込みを過剰に使っているわで…悪い予感が的中してしまった。最終作だからか、やけにシリアスで痛みを感じるのもその一因だと思う。
だが、それでもこの曲と「Hey Girl」と「Forever Friends」だけは“今までのザ・グッバイ”という感じで好き。
再結成後に、一枚でいいから新作を出してほしかったなぁ。それがかなわぬ夢になってしまったのが辛い。
加賀八郎氏のご冥福をお祈りします。