(Revenge of the)United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

君の詩は好きだけど、詩集は嫌い

 春は嫌いな季節、と音声ファイルでも語りましたが、桜以外の花や木々が色付いていくのを見るのは勿論好きです。3月~4月は精神的に不安定になるのですが、5月になると心穏やかになるのはそのせいでしょうか。

 こないだ故郷の川沿いの遊歩道を歩いている時、ふとこの曲がプレーヤーから流れてきました。


Trashcan Sinatras - It's A Miracle - YouTube

 陽光溢れる風景に、ブライトなメロディと切ないフランシス・リーダーのヴォーカルが見事に調和。憂鬱だった心をゆっくりと融かすような温かさに、「今年の俺の春のBGMはこれだ!」と確信、勝手に春の曲と認定するに至りました。

 どちらかといえば最近まで聞き流していた曲だったのですが、今頃素晴らしさに気付いたのです。アルバム自体も、改めて通して聴いてみると捨て曲がない。90年代初頭の3作に比べるとメロウになりすぎてシャープさに欠けるかな、と思っていたのですが、それは大きな間違いでした。むしろ、今の自分にはこのアルバムの方こそがフィットしています。

 

 旧ブログでもTrashcan Sinatrasの事を取り上げた記憶があったのですが、今確認してみたところ、たった二行しか触れていませんでした。

 森島の事を「モリシー」と呼んでいる人がいた 〔by ラウド〕

単なる九月日記 〔by ラウド〕 

 

 2011年の夏に私が一番聴いたCDは、彼らの1stアルバム『Cake』である事は間違いありません。特に、「Obscurity Knocks」のリピート回数は尋常ではありませんでした。


Trashcan Sinatras - Obscurity Knocks - YouTube

 澄み切ったアコギのカッティング、切なく美しいメロディ、やるせなさを湛えたヴォーカル…「ギターポップ」や「ネオアコ」といったジャンル分けは最早意味を失い、ただただ曲としての良さに酔いしれたのです。

 人生を考え直すような経験が連続した2011年、私が彼らの音楽に出会ったのは、偶然ではないのかもしれません。

 去年と一昨年、私のiTunesの再生回数の上位に食い込んでいたのは、2nd『I've Seen Everything』収録の「Hayfever」でした。


trashcan sinatras - hayfever - YouTube

 理屈はいらない。とにかく曲が良い。タイトル的には、むしろこっちの方が春の歌かもしれませんが…。

 

 Aztec Cameraにも同じことが言えるかもしれませんが、クリアーなサウンドとキラキラのメロディに乗せて歌われる彼らの初期のリリックには、必ず「屈折」や「やさぐれ」、「諦観」といった空気が漂っているような気がします。

 このメロディで「君が好きだ、抱きしめたい。この空のように」「愛してるんだ、わかってくれるだろう。さぁ花を買いに行こう」タイプの歌詞を歌われたら少々トゥーマッチな感がありますが、若者特有の葛藤をヴォーカルからも感じられるのが凡百のポップソングと大きく違う点ではないでしょうか。

 

 彼らは、3枚のアルバムのリリース後、セールス低下やレーベル消滅など苦難の時を迎えます。

 最初に紹介した「It's a Miracle」が収録された4th「Weightlifting」は、そんなどん底の状況から見事にカムバックした起死回生の作品。優しく暖かな曲が多く収められているのは、苦しみを乗り越え成熟した彼らなりの決意表明だと思っています。

 

 さて、私は彼らのアルバムに関しては、全て後追いです。

 最新アルバム『In the Music』発売時ですら、彼らの事を知りませんでした。このブログで言うところの「ハジニュー」を聴けるのは、いつの日になるでしょうか。