(Revenge of the) United Minds

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(見た目だけ)大人のロック!

 買いました。

  この手のジョージ本が出るのは久しぶりという気がします。しかし表紙が格好良いな。

 『不思議の壁』のインナー写真はこの時期のジョージでしたね。あの写真の撮影は、かの有名なハンブルグ時代の盟友、アストリッドです。

 

 大人のロック!という雑誌は、圧倒的にビートルズ特集が多いのでよく立ち読みはしていたものの、買うまでには至らない事が多かったのです。過去に一冊、ジョージ絡みで購入した記憶がありますが。

 しかし今回は丸々ジョージ特集という事で、買わないわけにはいきません。近場の本屋を探して、何とか入手しました。私がポイントカードを持っている書店は、どの店舗にも置いていなかったのが残念でした。売り切れたのか、それとも最初から仕入れなかったのか…。

 

 基本的な情報は既に知っているものばかりですが、全てのアルバムと楽曲のレビュー、そしてライブの詳細なデータなど、資料として有用です。しかも、最新の情報を元にアップデートされているフレッシュ感があるのにも好印象。

 更に、気の利いたエピソードが隅々に散りばめられており、「その話は勿論知っていたけど、そんな逸話があったとは知らなかった」といったようなちょっとした発見が多かったのも収穫でした。

 

 例えば、『電子音楽の世界』収録の「マージー壁の下で」というタイトルが、同姓同名のジョージ・ハリスン記者が『リヴァプール・エコー』紙に書いたコラムの名前だったというもの。興味のない人からすればどうでもいい話ですが、ジョージ・ファンとしてはこういうちょっとした情報が嬉しいです。

 しかし『不思議の壁』と『電子音楽の世界』にこれだけの文字数をきちんと割いた本は、あまり例を見ませんね。どちらも「習作」「実験作」以上の評価を受けないので、こんなところも嬉しかったです。

 

 他には、ゲイリー・ムーアと知り合った理由。二人はヘンリー・オン・テムズのご近所さんだったんですね。ハードロック畑のムーアと何故仲が良かったのか謎でしたが、そういう理由だったとは。ハードロックといえば、ジョン・ロードも近所の友人でしたね。3人とも鬼籍に入ってしまったのが悲しいです。しかしジョージは交友関係が広いなぁ。

 かつてギターマガジンやプレイヤーを熱心に読んでいた頃、ゲイリー・ムーアのインタビューの中にジョージの名が出て来て驚いた事を今思い出しました。その中で、「ジョージとはまた一緒にやらないのかい?」というインタビュアーの問いに、「彼がやりたいといえばやるよ。でもこっちからやろうとは思わない」と冷淡な答えを返していたムーア。その時は「ふーん、こんなギター・ヒーロー系の人とも一緒にやるんだ、ジョージは」と思って流してしまったのですが、その話題こそ当時リアルタイムで発表されたばかりのウィルベリーズ『Vol.3』の話だったのですね。何故私はそこで調べようとしなかったのだ…あの頃の私自身を引っ叩いてやりたいです。

 

 個人的には、日本ツアー時の広島・原爆資料館内でのジョージの様子が一番印象に残ったエピソードでした。

 ジョージが原爆資料館を訪れた事は、ビートルズ・シネ・クラブ(現在はビートルズ・クラブ)の会報のバックナンバー(2000年に池袋で行われたビートルズ展で購入)で知っていましたが、そこでどんな様子だったかは殆ど語られていなかったように思います。

 “平和の人”といえばジョンのイメージですが、私はこういうジョージのさりげない行動を本当に愛しています。ここを読めただけでも、この本を買った甲斐がありました。

 

 ジョージ関係のリリースは、スコセッシ監督の『Living in the Material World』以降止まっています。今年こそ『Dark Horse』と『Extra Texture』のリマスター新装盤の発売を望みます。

 願わくば、1974年の北米ツアーと1991年の日本ツアーのソフト化も…映像は残っているんだから、小出しにせずにまとめてリリースして下さい。