読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

(Revenge of the)United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

I'm in charge! I'm in charge!

 小学生の頃からスターウォーズ(以下SW)のファンを続けていますが、特にアピールしたつもりはなくとも周囲にはそう認識されているらしく、先月いよいよ公開されたEP7の感想を訊かれる機会が多い年末年始でした。

 創造主ルーカスの手を離れ、ディズニー主導で行われるSWの制作への戸惑いは、既に先代のブログから繰り返し書いてきました。よって、一概に「面白かった」「つまらなかった」というような言葉で評価するのが非常に難しく、簡単に一言で語る事が出来ない…というのが偽らざる本音です。

 よって、「EP7の感想はどうだったか」と質問されても即答し辛く、「ルーカスと(JJ・)エイブラムスが…」「そもそも旧三部作と新三部作への一般的なファンと自分との見解の違いが…」というような所から話を始めないと私の複雑な心情をわかってもらえないのですが、その手の長ったらしい前口上を誰も望んでいるわけがないのは明白。大抵は私が話を始めた瞬間、別の話題へと速やかに移行しているのが常で、質問してくれた友人知人に申し訳ないな、と思っています。

 一般的なSWファンとは少し違う感性を持ってしまったが故に心の闇も深く、こういうオタクは扱いにくくて迷惑がられるだろうな、と自分でも反省しています。これ以上質問者の顔を曇らせるのも私の本意ではないので、以下を私のステイトメントとし、以後はこう答える事にします。

「悪い出来ではない。新作を待っていたファンの期待には応えたと思う。賛否両論あるようだが、自分としては新たな三部作全てを見てから評価したい。まとめブログなどを中心としたネットでの評論を、一般的な作品評価として受け取るのは賢明ではない」

 そう思った理由を、今回は述べたいと思います。考察や論評ではなく、あくまで素人の感想でしかありません。そして当然ネタバレを含みますので、まだストーリーを知りたくない方は閲覧を中止してください。

 

 以下、続きから。

 

 

 

 

 まずは、最初の時点での映画への感想です。

 

 初回観賞後に抱いたのは、大きな戸惑いと寂しさです。今まで制作されたトリロジー(EP4・EP5・EP6)のストーリーを、そしてプリークェル(EP1・EP2・EP3)の存在自体を否定されてしまったかのように感じました。

 ルークやハンやレイア達の反乱同盟軍が命懸けで成し遂げたはずの、2度のデススター破壊を始めとする帝国の圧制の打破。だが、そこから30年の経過を経てなお銀河に平和は訪れていない。それどころか、新たな脅威ファースト・オーダーは帝国以上の規模で共和国を圧倒し、主人公達が所属するレジスタンスとの戦力差は歴然。大体、共和国が再興したはずなのに、何故「レジスタンス(抵抗運動)」と呼ばれているだろう?反乱同盟軍は勝利したのではなかったのか?

 そもそも、アナキンがその命と引き換えにもたらしたはずのフォースのバランスは一体どこへ?シスじみた新たな暗黒面の台頭は、息子のためにジェダイへと帰還したアナキンの行為自体が無意味だったという事か?「予言の子」である彼を見出したクワイ=ガン、そしてジェダイナイトへと鍛え上げたオビ=ワン、更に彼を最後まで信じたパドメとルークの想いは無駄だったという事?

 自分は、どれだけ主人公たちに苦難が降りかかろうと、EP6で大団円を迎えると信じて作品を観てきました。しかし、先の大戦の教訓は何ら活かされる事なく、新たな戦いが繰り返されようとしている。今までの6部作だけでなく、『クローン・ウォーズ』や現在放映中の『反乱者たち』といったスピンオフも全てが意味のないストーリーだったように思えて、前述したように戸惑いと寂しさを感じたわけです。

 

 勿論、続編を作るためには新たな戦いが必要。当然それはわかっていますが、大団円を引っ繰り返すのならもっと説得力が欲しかったという事です。

 深謀遠慮を巡らせ、長い時間をかけて周到な準備を経て権力を手にした銀河皇帝パルパティーン。そこから生まれた銀河帝国は強大な武力により恐怖で民衆を統治し、君臨した。結果として慢心の末に敗れたものの、そこにいたのは悪の権化ダース・ヴェイダーをはじめ、グランド・モフ・ターキン(ピーター・カッシング)など説得力のある悪役ばかり。初めてEP4を観た時に子供心にも「見た目からしてとてつもなく怖いオジサン達だ…こんなのルークが勝てるわけない」と思ったものでした。

 反面、今回からの新悪役であるファースト・オーダーの構成員は見た目からして若い。ハンサムな赤毛のハックス将軍が現場では最高の地位にあり(EP4のターキンと同じポジション)、怖さは微塵も感じません。男女共に若い軍人ばかりで、「言う事聞かないからムカついた、共和国の首都吹っ飛ばす」といった感じのスターキラー基地の使用法といい、帝国のように先々まで計画しているようにはとても思えません。(現在主に使われている意味での)中二病全開こじらせ駄々っ子で、ヴェイダー卿ワナビーなカイロ・レン。恒星のエネルギーを充填して主砲を放つスターキラー基地の設定。以上を含めると、ファースト・オーダーは「浅はかな理想に燃えて意気投合した中二病患者の集まり」としか認識出来ず、帝国に感じていたものとは全く違う怒りが込み上げてきたのでした。

 

 失敗?だったプリークェルの反省を活かし、出来るだけセットを作ってリアルさにこだわり、CGを極力使わない方向で今回の製作を行ったというJ.J.エイブラムス。自分としては、この点に関してはマイナスしか感じません。セットはともかく、ロケーションにオリジナリティがない。ルーカスは新三部作にて新たに登場した惑星を「どこかで見た事がある、しかし何かが違う」ものに演出する事に成功していましたが、今回はそれを感じられないのです。特にラストで主人公のレイが訪れる場所など地球のどこかにしか見えず、CGを使わなかった事への弊害が顕著でした。

 キャラクターの名前も魅力的ではない。ルーカスはああ見えて、過去のありとあらゆる文献からの引用に加え、どこか呼びやすく、それでいてフックのあるネーミングにこだわっていました。レイ、フィン、ポー、レン。こういった主要キャラの命名が、その水準に達しているとは思えない。ここはもうちょっと気を遣って欲しかった点。

 ストーリーとしては、完全にEP4の韻を踏んでいます。そこにEP5のエッセンスをまぶして、はい一丁あがり、といった印象。オマージュの連続で、新鮮味はさほど感じず。とにかく、新三部作の色を徹底的に消し、旧三部作のファンのニーズに応える事に腐心しているように受け取りました。ライムスター宇多丸氏がEP7を絶賛するのはこういう点なのでしょうが、6部作を平等に愛する自分としては全く同意出来ない。

 一般的なSWファン(『ファンボーイズ』や『ピープルvs.ジョージ・ルーカス』に登場するような人々)を喜ばせ、話題性とテンポの良い展開で新たな世代を呼び込んだEP7。反面、スピンオフなどの設定を全て無に帰し、新三部作や『クローン・ウォーズ』の歴史劇・政治劇の面を取り去って私のようなオタクに引導を渡す。そんな作りだと感じた作品です(この点に関してはまだまだ書きたい事がありますが、今回の感想からは外れるので別の機会にします)。

 

 ここまで批判的な事しか書いていないので誤解される方もおられるでしょうが、こういった私の疑問点を補って余りあるファクターが存在します。

 それは、新たなキャラクター達が非常に魅力的な事。これこそが、この作品の「A New Hope」です。

 レイ。田舎の惑星で退屈な日々を過ごしていたが、ある日運命の悪戯から広い世界へと飛び出す。そして、フォースと出会う。ルークそのものといった設定ですが、女性に性別をチェンジする事でまた違った印象を受けます。何と言っても美少女で、見ているだけで楽しい。それでいて必要以上に女性である事を強調しないので、恐らく少年でも感情移入できるでしょう。フォースの目覚めに関しては、もう少しだけ丁寧に描写して欲しかった気もしますが…(何と言ってもタイトルですから)。

 フィン。予告編を観た際「何だこの華のないキャラは…まさかこいつが主人公じゃねぇだろうな」などと思った事を深く謝罪したい。英雄達に混じって悩み、葛藤し、成長する等身大の戦士。自分の事しか考えられない一人の男から、仲間を想い行動するヒーローへ。レイがフォースを覚醒させる主人公ポジションなら、彼は観客が自分を投影しやすいキャラクター。コメディ・リリーフとしてもなかなか優秀で、一番印象の代わった人物です。

 ポー。勝手に「共和国を裏切ったX-ウイング部隊のリーダー」だと誤解していましたが、蓋を開けてみればレジスタンスを引っ張る凄腕のパイロットでした。危機に置かれてもジョークを忘れず、最も重要な局面で決定的な仕事をする現代的なアメリカン・ヒーローですが、初対面のフィンを「相棒」と呼び、再会を抱き合って喜ぶナイスガイでもある。ネガティブな要素が見当たらない、完璧な“良い奴”です。旧三部作のウェッジをもっとフランクに、人間的にした感じ。

 カイロ・レン。初回観賞時は怒りしか湧かなかったキャラクターですが、よく考えるとかなり味のある人物なのではないかと思えてきました。思い通りにいかないとライトセイバーで部屋をズタズタにする精神の幼さ(ストームトルーパーにすら避けられている)、怪我を負っていたとはいえ初心者のフィンにセイバー戦で一撃を食らい、レイに完敗する未熟さ。ヴェイダーに憧れ、いい年こいて(30歳)中二病全開の痛々しさ。ここまで不完全な悪役が今までいたでしょうか。アナキンを演じたヘイデン(・クリステンセン)のように、完璧なイケメンでないのも重要なポイント。

 ファースト・オーダー。危機に陥ると、現場を取り仕切るハックス将軍とカイロは足を引っ張り合いながら最高指導者・スノークに泣き付く始末。以下、台詞は大意。

「最高指導者!あの女、フォースが強いです!こんな話聞いてないです!」

「最高指導者!ドロイドは逃がしていいと言ったのはこいつ(カイロ)です。私はちゃんと追えと言ったのですが」

 このシーン、もはや笑いを堪えずに見る自信がありません。完成されていない悪役、これはこの作品では非常に新しい。

 

 舞台や設定は旧作と似ている。だが、登場人物のタイプが違う。それも、ちゃんと魅力的な人物達。サーガの主役達が入れ替わる物語、それがこのEP7なのでしょう。

 手放しで絶賛は出来ませんし、ルーカス憎しのプリークェル叩きへの加担は断固拒否しますが、トータルで見ればプラスの作品、それが私のEP7の評価です。未だ消えぬ戸惑いや疑問も含め、この作品が良いか悪いか、それは新たな3部作全てを観てから判断したい。結論を急ぐ必要はありません。

 

blog.goo.ne.jp

 基本的な姿勢は、この記事を書いた時と変わっていません。しかし、自分のスターウォーズへの想いが確かに再燃しているのを感じます。その媒介となっているのは間違いなくEP7であり、何だかんだで本気で楽しんでいるのは紛れもない事実。

 現在は、多種多様な人々の考察や妄想を、気軽にSNSで観る事が出来る。映画だけでは不可能な、様々な角度からの掘り下げが可能となりました。これは、旧三部作とも新三部作とも違う楽しみ方だと思います(新三部作の時代にはインターネットも巨大掲示板も存在したが、書き込みの数も濃度も違う)。

 

 もう少し評論家受けする作品を好きになっていれば自分も映画通を気取れるのかもしれませんが、幸か不幸かこのサーガと出会ってしまいました。登場人物と舞台設定が魅力的ならば、ストーリーに多少の粗があっても余裕で脳内補完出来る…そんな作品ばかり愛するようになったのは、間違いなくスターウォーズのせいです。 

 今年はスピンオフ『ローグ・ワン』の公開も控えており、現在『反乱者たち』の2ndシーズンも放映中。これからも、折に触れスターウォーズに関して記事を書いていくつもりです。