(Revenge of the)United Minds

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 去る3月上旬、会期終了が迫る中で『ジョージ・ハリスン アイ・ミー・マイン展』を観るため渋谷ヒカリエを訪れた。

www.hikarie8.com

 ジョージの著書である自伝及び歌詞をまとめた豪華本『I Me Mine』の増補版発売を記念し、開催されたものだ。

 

 ちなみに、ヒカリエを訪れたのは2度目であり、前回はThe Beatlesのシアトリカルなライヴ・ショーであった『Let it Be』を観たのであった。

KOSE presents LET IT BE ~レット・イット・ビー~ | ラインナップ | 東急シアターオーブ|TOKYU THEATRE Orb

 一応、両方ともThe Beatles絡みという事になる。

 

 近年観た展覧会は美術館を丸々使ってのものばかりだったので、会場では少し迷ってしまった。 

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 1フロアの中にギャラリーが複数あり、そのうちの1つを使って今回のジョージ展は開催されていた。こういうスタイルの会場は初めてだが、この控えめな感じも実にジョージらしい。

 

 前述通り会場はさほど広くなく、入場してすぐの部屋に販売用の写真(何故かポールとリンゴだけが写ったものも)や、撮影可能な写真と「I Me Mine」の歌詞がディスプレイされていた。

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 すぐ隣の部屋に、「Taxman」から「Brainwashed」までの22曲のジョージの直筆歌詞カード、プライヴェートな家族写真、メモラビリアなどが展示されている。

 

 写真はAnthology等でよく見るものや、初めて見るものが半々くらい。特に1980年代以降のものはメディアへの登場回数はあまり多くないので、新鮮な印象を受けた。

 ハワイやオーストラリアでの休暇中とおぼしき写真では、どうしてもスコセッシ作品『Living in the Material World』の終盤を思い出し、感慨に耽ってしまう。

 

 展示物の目玉といえば、やはりジョージがルーフトップ・ライヴで着た黒のフェイクファーのコートだろう。


The Beatles - Don't Let Me Down

 あの伝説的なライヴでジョージが着た服が、まさに今目の前にある。圧倒的な説得力と迫力。オールローズのテレキャスを弾きながら、軽快にリズムを取っていた「Get Back」の演奏シーンが脳内に蘇る(動画は「Don't Let Me Down」だが)。

 冬のロンドン、ライヴ当日の屋上のあまりの寒さに耐えかね、ジョージ・ジョン・リンゴはそれぞれの婦人達からアウターを借りた(ポールは寒さに強いのかジャケットのみ)、という情報をどこかで見たが、そうするとこのフェイクファー・コートは元々パティの持ち物だという事なのだろうか。

 間近で観るコートで一番印象に残ったのは、Mary Quantのロゴが入ったタグが想像以上に自己主張していた点である。あれほどブランド名がはっきり書かれているとは思わなかった。

 

 私が入ったばかりの時はなかなかの人だかりで、自分のペースで歌詞カードを鑑賞するのが難しいくらい。 

 しばらく歌詞カードから離れて写真やコートを何度も見直したりしているうちに、フロア内に流れるBGMが展示されている歌詞カードと同じ曲を年代順に流しているのだと気付く。

 せっかく大好きなジョージの名曲の数々が流れているのに、これを楽しまない手はない。BGMと歌詞カードを同時に堪能する。何しろジョージの歌声を聴きながら、歌詞を作者本人の直筆で脳内にインプットする事が出来るのだ。何とも贅沢な時間ではないか。

 歌詞を書いている時のジョージの心境にまで想いを馳せる事は出来なかったが、私なりの鑑賞法でこのイベントを心行くまで楽しんだ。

 

 唯一、会場内で音源が流れていない歌詞があった。

 その曲こそまさに、先日発表があった幻の未発表曲「Hey Ringo」であった。このような形で日の目を見せるとは、何とも心憎い。

 内容は、ジョージとリンゴがお互いを褒めあうかわいらしい内容。だが、これをジョージが1人で書いていると思うと微笑ましい。オリヴィアが「本当にスウィートなのよ」と語るのも、さもありなん。

www.barks.jp

 歌詞のラスト、「死ぬまで君と一緒にギターを弾くよ」と言う熱烈なジョージに対し、「嬉しいね、Mr.G...でも倒れるときはあっちに倒れてくれよ」とジョークで返すリンゴが本人以上に本人らしく、感動的な詞でもしっかりオチを付けるのが実にジョージ(とリンゴ)だな、と思わずにやけてしまった。

 この歌詞を観て思い出したのは、またしても映画『Living in the Material World』での1シーン。2人の最期の面会時にジョージが飛ばしたジョーク、そしてそれを振り返るリンゴの姿。

 

 後からプロモーションの文を読んだところ、ここに展示されていた歌詞カードはあくまで「忠実に復刻された原寸大の」レプリカらしい。

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  だが、ジョージに関するイベント自体が非常に貴重だし、こういった機会がある事に心から感謝しなければならない。私は感謝の気持ちしか持っていないし、日本での開催を決定してくれた関係者の尽力には頭が下がる。不満などあろうはずがない。

 そして、願わくば再びこういった機会があると幸いである。