Lucas Order
GWにフクアリにてジェフの試合を観戦した際、友人から本を贈ってもらいました。ありがとうございます。
ページ数も文章量もかなりボリュームがあり、実は未だに熟読したとは言えない状態なのですが、非常に興味深い内容でした。
個人的に、スターウォーズ研究本はこの2冊以上のものはないと思っています。
スター・ウォーズ完全基礎講座 エピソード1篇(ファントム・メナス)
- 作者: トーキョー“スターウォーズ”評議会
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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神話、民俗学、建築学、美術、ポップカルチャー…様々な観点から『Star Wars』の源流を探り、ルーカスの脳内を解析しつくした研究本。確かにスターウォーズ本編のオタク的知識はあまり身に付きませんが、この一大銀河サーガを読み解くための最適なガイドブックだと思います。エピソード2・3編が出版されていないのが本当に残念。
レポートを書くために篭った大学の図書館で、資料探しの最中に息抜きのつもりで読み始めたら止まらなくなってしまった事を思い出します。
今回頂いた『ジョージ・ルーカス 究極コレクション』は、こういったスターウォーズに特化した内容ではなく、あくまでルーカス作品を時系列順に振り返るクロニクル的な内容。
スターウォーズ関連だけでなく、ルーカス作品の本もいくつか読んではいますが、これほど圧倒的かつ充実した内容のものは今まで読んだ事がなく、もう少しじっくり時間をかけて目を通さなければならないと思っています。
これも大学時代に買った本でしたが、かなり残念な内容でした。
『スター・ウォーズ』とジョージ・ルーカス―総特集 (KAWADE夢ムック)
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1999/08/01
- メディア: ムック
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主体になっているのがルーカス批判であるせいか(そうとしか読み取れない)、回りくどい文章で結局ルーカスの制作姿勢やマーチャンダイジングを攻撃するライターが多く、作品一つ一つと向き合っていない印象が露骨に目に付きました。今は部屋の奥底に眠ったまま、読み返す事もありません。
閑話休題。『究極コレクション』に話を戻すと、『THX1138』から『Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull』(『インディ・ジョーンズ4』)まで、丁寧に各作品を紹介しています。
当時の制作時の逸話や、時代状況の解説、または作品ごとの詳細なデータなど(『American Graffiti』ではBGMとなったシングルレコードを全曲写真入りでリストアップ)、過不足ないジャストな内容。
個人的に一番面白いと思ったのは、元ネタとまでは言わないまでも、各作品の源流となった映画を紹介し、読者に更なるルーツ研究を促しているところ。
The Beatles, YMO, 大滝詠一…音楽では敬愛するミュージシャン達のインタビュー記事などを元に時代を遡って研究してみる、という事を多く行ってきた私ですが、こと門外漢である映画ではそういった経験はなく(黒澤明作品を観たくらい)、とても貴重なサブテキストとなりそうです。
ルーカス作品中、最も酷評されている『Howerd the Duck』も、今回ようやく全容が明らかになりました。
私はこれと『THX1138』『Labyrinth』を観ていないのですが、80年代らしいテイストが濃厚で、これはこれで面白そうなのではないか…(DVDを買うほどでもないけど)という印象は変わりません。
もう一度こういった失敗作(とされている映画)にスポットを当て直す、というコンセプトだったのでしょうか。
『Howerd the Duck』の作品解説は裁判形式で問題点を指摘し、
『Star Wars Episode 1: The Phantom Menace』は、ライトサイドとダークサイドが作品を語り合う形式となっています。とはいえ、どちらも作品を擁護する事はなく、結局辛辣な結論に至っているのですが…。
約10年間の沈黙から、自ら率いる特殊映像集団ILMの技術進歩を確認し(『Jurassic Park』によるもの)、『Star Wars Episode 1: The Phantom Menace』にて第一線に戻ってきたルーカス。だが、スターウォーズ新3部作が受けた(SWオタク達からによる)批判には、大いに心を痛めていた模様。
『Star Wars Episode 3: Revenge of the Sith』で評価を持ち直したものの、決定的になったのは『インディ4』の悪評や『Star Wars』BD化の際の改変に対するオタク達の猛烈な怒り。こういったインターネット上でのファン達からの罵詈雑言をまともに受け止めてしまった事が、結果的に彼の引退を早め、ディズニーへのルーカスフィルム売却を決断させてしまったようです。
確かに面倒なオタクが世界中に数多存在する『Star Wars』ですが、あくまで自分の作品として確固たるポリシーの元に数々の改変を行い、作品を創ってきたと思っていただけに、そこまでファンの評判を気にしていたとは意外でした。ファン達の怒りが、ルーカス自身が想定していたより遥かに激しいものだったのかもしれません。
「そなたの激しい怒りが、彼女を殺したようだ…」とは機械化した直後のヴェイダーに皇帝がかける言葉ですが、何ともファンとルーカスの後の関係を暗示しているようでもある、というのはこじ付けが過ぎるでしょうか? しかし、あのやりたい放題の『Star Wars Episode 8: The Last Jedi』が存在する現在の状況を考えれば、余計にその思いが強くなります。
私はプリクウェル(新3部作)も『インディ4』も大好きなので、こういった穏健派ファンの意見も聞いてほしかったと思うのですが、やはり声が大きい人達が目立つのは時代や国境を問わないようです。90年代に入ってからの章は、作品が好きであるが故にじっくりと浸りたいのにも関わらず、そういった世間の評価とのギャップに苦しむルーカスと舌鋒鋭く彼の作品を叩くメディアの様子が露になっていて、なかなか読み進めるのが辛かったです。
最後に、ルーカスフィルム売却に関する話や、ルーカスの手を離れたSWの“覚醒”を語っているページもありますが、さほど量も多くなく、あまり興味も無いので読み飛ばしています。
この本をもらった時、真っ先に気付いた事がありました。
出版社名に見覚えがあると思ったのですが…
幼少時、両親が購読してくれた絵本の多くを出版していた会社だったのです。
友人がくれたジョージ・ルーカス本の出版社が、幼少時に親が定期購読してくれていた絵本のそれと同じだった。だからどうしたという感じだが、個人的には何かが自分の中で繋がった感じがある。ありがとうございました。
— ミカ・ラウド (@MicaLaud) 2018年5月3日
私の感受性を育んだ絵本の数々。そういった幼い頃の思い出が、今ジョージ・ルーカスと共に一つの線になる。
「『Star Wars』は現代の神話で、御伽噺である」とは定説のようによく言われる事ですが、それが実感となって繋がった気がします。私本人しか共感してもらえない感情だとは思いますが、自分の中では偶然とは思えない一致でした。