(Revenge of the)United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Back in the R.F.

 2018年ワールドカップが終わりました。勝者こそ候補の一角であったフランスだったものの、世界中のサッカーファンの予想を覆し続ける、サプライズの連続となった大会でした。

 

 トーナメントの山がはっきりと強豪国・中堅国に分かれた印象でしたが、それでもイングランド久々の躍進、そして何よりクロアチアの決勝進出は予想出来ませんでした。
 これぞブリティッシュ・ウェイ! と言わんばかりの質実剛健イングランドのサッカー。がっちり守ってセットプレーやストライカーのハリー・ケインに託すその潔さ。時代のトレンドに応じてある程度ベースが共通してくる世界レベルのサッカー界ですが、自国のフットボールを堅持しつつ正統に進化させた、そんな印象があります。
 そしてクロアチア。3試合連続の延長戦(PK戦2試合含む)を走り抜いたタフネスとよく統率されたサッカーは、観る者の胸を打ちました。さすがに勢いは続かず、決勝では力尽きましたが、今大会のフレッシュな印象を象徴する存在、それがクロアチアだったと想います。

 

 ベルギー代表の高速カウンター、というキャッチーなフレーズが代表されるように、クラブではない代表の舞台でも戦術的にオーガナイズされたチームが多く、よりハイレベルになったように思いました。
 プレッシャーの激しい地帯でいかにボールを繋ぎ、ゴールを狙うのか。自然と攻撃は高速化し、インテンシティが求められるようになる。アーティストというより陸上競技のアスリートのような身体能力を持った選手達が、当然のように正確で華麗なプレーをする。
 そういった今大会の流れを分かりやすく示したのが、準決勝のフランスvsベルギーだったように感じます。あのフランスでさえ、ゴールを奪ったらがっちり守りに入る。カウンターで日本とブラジルを沈めたベルギーが、フランスの堅牢な砦を突き破るために可能な限りの速いプレーを続ける。
 あまりにもハイスピード、ハイレベルで、準々決勝より上のレベルはまたクラスが一段違う印象を受け、この舞台で戦うのは並大抵のレベルでは厳しいなと実感しました。

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 個人的にそういった今大会のレベルの高いサッカーを先導していたと思うのがモドリッチラキティッチアザール、デブルイネといった選手達。彼ら4人を最も印象深いプレーヤーとして選びたいと思います。

 

 1994年USA大会を少しだけ垣間見て、以降は数試合ではありますが継続して観戦してきたワールドカップ。それなりに私も観戦歴を重ねてきましたが、今大会が最もエキサイティングで面白い大会でした。
 それはサッカー自体のレベルの高さや革新性もさる事ながら、大きな注目点として挙げたいのが今大会から導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)です。
 世界最高峰のレベルを誇る祭典とはいえども、毎回そこに水を差していたのが不可解な誤審。人間がジャッジするからミスは付き物とはいえ、やはり許容し難いものも多数あったのは事実で、いつもどこかに消化しきれない思いを抱えていました。
 それが、完璧ではないとはいえ(VARを行うのも主審の裁量のため)大幅に誤審を減らす事が出来た今大会。シミュレーションや微妙なゴールライン上の判定、微妙なオフサイドの駆け引きなど、主審の目を欺いて正当なプレイを偽装するのは難しくなりました。その槍玉に挙げられてしまったネイマールは、ちょっとだけ気の毒でもありますが。
 やはり、サッカー大国へのジャッジは比較的甘くなりがちで、そのチームの格に忖度とまでは言わないまでも、主審も多少腰が引ける事があったのではないかと推測します。それが、VARによって劇的に解決に向かっていくと思われ、それは歓迎すべき事態である事は間違いありません。国際的にはまだまだ実績が足りない我が日本も、いずれその恩恵に預かる時は必ず来ると思われます。
 流れが止まってフットボール的ではない、という指摘もありますが、いずれにせよ微妙な判定には選手の抗議で試合がストップするのは不可避。それなら白黒はっきり付けた方が明らかに得策であり、個人的にはVARによる試合中断にストレスは感じませんでした。

 

 もはや歯止めの利かない商業主義、FIFAの腐敗など問題点は山積みですが、それでもワールドカップという世界屈指のお祭りは格別なものがあり、次回以降もこんなに喜びを感じられるならば、言う事はありません。
 とはいえ、次回は黒い噂が囁かれる選考を経て決定したカタール。初の冬季開催が予定されているようですが、果たしてこのFIFAの判断は吉と出るか凶と出るか。予選の試合内容だけでなく、大会の開催自体にも波乱がありそうな本大会までの流れには注目していきたいと思います。