(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

High Line, Hard Days

 2018年のジェフユナイテッド市原・千葉の戦いが終わりました。毎年似たような記事しか書けないのが遺憾であるとしか言いようがないのですが、今年は14位と過去最低順位を更新。一度たりとも昇格をイメージ出来ないまま、苦しみと共に迎えた終戦でした。

 夏からの猛チャージ、僅かな望みを繋いでの連勝、そして昇格PO出場。矢田、為田といったシーズン途中からの補強も見事に噛み合い、躍動感溢れるサッカーを見せてくれた昨年のジェフ。
 POでシーズン2連勝だった名古屋にここ一番で敗れたとはいえ、「To be continued...」とエンドカードに表示されるような、更なる物語の続きを予感させる2017年の終わり。多くのジェフサポが「来年こそは」の想いを強くしたはずでしょうし、今季の補強が上手くいったのも、新加入の選手達が昨年のサッカーに魅力を感じたからではないかと思われます。

 

 私も勿論、昨年終盤の戦いぶりには共感していましたし、楽しみな気持ちで今季開幕を迎えたのですが、反面「そんなにトントン拍子に上手くいくはずがない」という強い不安を抱えていました。それは、J2降格後の戦いを繰り返し見ていれば、いやが上にも捨てきれない感情で、そう思っていたのは恐らく私だけではないでしょう。

 

 しかし、2018年のジェフは、その不安が的中したというよりも、さらに予想を下回る成績だったと言うのが正直な感想です。まさか、ここまで勝利が遠いとは。PO出場圏内すらままならない戦いぶりで、これほどの選手達を有しながら敗戦を重ねる現状には、毎週末非常に精神をすり減らされました。
 当然ながら、エスナイデル監督に批判は集中。守備構築に具体的な打開策を欠き、場当たり的に見える選手の入れ替えで結果を残そうとする姿勢。更に効果的とは言い難かった中断期間の補強(昨年とは対照的)など、フロントにも責を求める声も多数上がりました。

 

 最終節、最早恒例行事となった社長スピーチをかき消すブーイングを聞きながら、様々な想いが私の胸中に去来しました。

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 エスナイデル監督は、確かに戦術面で無策であるのは事実。どこが相手でもハイライン・ハイプレスで、特に守備面で柔軟な対応は見られません。微調整していたのは、恐らく選手主導のものでしょう。
 昨シーズン序盤に、興味本位で我がクラブの試合をチェックしていた(何しろトンデモ戦術なので)サッカー系アルファツイッタラー達も、「もはや見るべき所はない」と結論付けており、その手のツイートをいくつも見かけたものでした。そういった論調に反発を感じていた反面、少なくとも今年のサッカーに関してはそう言われても仕方がないという諦念もありました。昨年は終盤の大攻勢があったお陰で、前述のような厳しい指摘に関して有耶無耶になってしまった感もあります。
 ここでエスナイデル監督を代えるのは簡単で、実際にそうなっても私はそれを受け入れるでしょう。多くのサポーターも、それを望んでいると思われます。

 

 しかし、例えば守備を確実に固める戦術を採り、カウンター戦術を売りにして万が一昇格出来たとしても、個人的にはその先のビジョンが見えません。実際に、J2で堅牢なディフェンスを前面に押し出していたクラブは、殆どが昇格後はJ1の攻撃に耐えきれず崩壊。1年で降格の憂き目に遭うか、なかなか定着出来ずに昇降格を繰り返す例を多く知っています。
 目の前の結果を出し、昇格をいち早く手にするには、やはり守備の強化。それは間違いない。しかし、J2降格後はそういった目先の結果を追い、毎年似たような結果を繰り返してきたわけで、根本的なクラブのフィロソフィーの確立をそろそろ試みてもいいのではないか、と思います。つまり、一貫した強化方針、柱となる戦術が必要なのではないかと。
 この先、秀でた監督や選手に巡り会える僥倖があったとしても、彼らが離れた途端にクラブが弱体化したのでは話にならない。まさに、イヴィツァ・オシムを失った後のジェフがそれに当たります。

 

 そう思ったのは、鹿島のACL優勝でした。もはや比較するのも烏滸がましいのは重々承知していますが、クラブ創設から苦しい時期も一貫した鹿島のサッカー哲学で乗り切り、常に代表クラスの選手を排出する名門となっている。CWCでのレアル・マドリー相手の善戦でもそう感じましたが、今回のACL制覇で再びそう思いました。

 

 “ジェフのサッカー”とは何か。非常に希薄なものに感じられ、それはJ2降格後に顕著です。J開幕初期の東欧選手中心の補強、オシム期の”走るサッカー”、それくらいしかイメージ出来ません。
 勿論、エスナイデル監督のハイライン・ハイプレスが、今後のジェフの哲学たりうるか、とは断言出来ません。むしろ、現状を鑑みれば、その可能性は低いようにも感じます。しかし、ここで彼と道を分かって新たな方向性を探るのがベストかどうか。残念ながら、それに答えを出せるほど私はサッカー識者ではありません。

 

常々、私は一刻も早い昇格を目指すべきだ、と降格当初に繰り返し主張してきました。それは貴重なスポンサー各社が下部カテゴリーに長年甘んじているような状況に満足しているわけではないからで、財政的な規模の縮小を恐れてのこうした発言でした。
 そんな中でスポンサーが増え続けている(最終節試合後の社長スピーチでも言及)のは驚異的で、その点において現在のフロントは素晴らしい仕事ぶりだと思います(私がブーイングに与する気になれない最大の理由)。この状況が続くうちに、何とか昇格したいと思っているのもまた事実なのですが…。

 

 とりとめもなくない文章になってしまいましたが、それだけ様々な感情が渦巻いた今季最終戦でした。

 現状に私はイエスともノーとも言えませんが、一つ確かなのは今後も変わらずこのジェフユナイテッド市原・千葉を見守っていくであろうという事です。