(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

March of Time

 図書館、神社と巡ってきたこの日の視察。

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 最後も友人のyuz氏の案内で訪れた場所だ。

 

 全国的に止まらない少子化の流れ。この街のような人口の少ない自治体では、当然ながらそういった時代の趨勢は押し止められない。
 現在ではこの地でも次々と小学校が廃校になっているが、比較的人数の多かった我々の世代が中学に上がった頃から問題は顕著なものとなっていたようだ。当時から生徒の数が少ないとされていた小学校が、どうやら廃校になるらしい…TMNや自身のバンド活動に夢中になっていたあの頃、そんな話を耳にした記憶がある。

 

 そしてその時はやって来た。この街で最初に役目を終えた小学校、その校舎がここに残っている。

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 現在は映画やドラマのロケなどで使用されているらしい。東京から決して近いとは言い難いが、高速を飛ばせば遠すぎるというわけでもない。何しろ隣県である。そんな立地でこの絶妙なノスタルジックさ。重宝されるのもわかる。

 

 名前だけは小学生時代から何度も聞いていたが、実際に来るのは今回が初めてである。別のサイトでいくつかこの校舎を見かけた事もあるが、いざ本物を目の前にすればやはり印象は全く異なる。
 グラウンドが一面だけで、この校舎が教室と講堂と体育館? を兼ねているようだ。限られた敷地面積に、必要最低限の機能をギュッと詰め込んだコンパクトすぎる造り。グラウンドもサッカーのコート1面程度しかない。
 我々の幼少時は野球全盛時だったが、ここでプレーしようにも少し大きめの長打やファウルを打ってしまったら、その都度周囲の山や水田にボールを拾いに行く羽目になったであろう。『キャプテン翼』ブームでサッカーもプレー需要があったはずだが(部活もクラブも存在しないので遊びでやる以外の選択肢はなかったが)、クリアーボールやGKのパントキックが逸れたら同じように捜索を強いられたはずだ。

 

 これほど小さい敷地の学校に、自分達が知っている人間も通っていたと思うと改めて驚く他ない。よくTVで取り上げられるような限界集落の分校などではなく、自分が生まれた土地での話なのだから。
 散々ブログにも書いてきたが、私が生まれた場所は陸の孤島であり、かなりの田舎である。そこで過ごしてきた私がこういった感情を持つのだから、自分の育った環境とは隔たりがあるのだと思って頂きたい。
 私の出身小学校は、我々世代の入学直前に立て替えがされており、現在問題になっている学校の冷房問題も既にあの当時クリアーしていた、今考えれば、かなりの進歩的な新設校舎だった。この街では最も生徒数が多く、私が所属していた地域もこの街では人口が比較的多かったせいもあって、どうしてもそれが基準になってしまう。
 この街の他の小学校もさすがにここまで小規模な所がないので、余計に驚きの感情が増してしまうのだ。

 

 年に一度の街の運動会では、小学校対抗のリレーがあったという記憶がある。そこに当然この学校からも代表が出ていたはずだが、所属している生徒はどのような気持ちで結果を聞いていたのだろうか。

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 私はそこまで親しかったわけではないが、小学生の頃から塾が一緒だった事もあり、顔を見知ったこの学校の卒業生がいた。私よりも彼と仲の良かったスピサンの相棒・ジョニー馬論の仲介で彼の家に遊びに行った事もあるのだが、彼は私の学年ではトップクラスの身体能力を誇り、中学の体育競技会などでも歴代の記録を塗り替える程の活躍を見せていた。
 彼が小学生時代にこの街の運動会に出たかどうかは知らないが、あの脚の速さで出場しなかったとも考え難い。もし中学生の頃のように彼が活躍していたら、この小学校ではさながら甲子園にて都会の強豪校相手に勝利を収めた田舎のメンバー数ギリギリの公立校のように熱狂していたのだろうか。
 この小学校も、私の出身校も田舎の名も知れぬ学校である事には違いないので、こういった例えもリアリティが見いだせないのが残念。

 

 自分の生まれた街だからこそ、知らない一面を覗くと様々な感情が胸に去来し、どう表現していいかわからなくなる。知っているようで知らない事だらけ、新たに知る事実を受け止めるとたじろぎもするし、違う知識への呼び水になったりする。意外と奥深いものである。しかしながら、それが外の人間を呼べるアピールポイントになるかというと、甚だ疑問ではあるが。