Forgery for Jolly(タイトル意味無し)
先日、前職時代の先輩で現在はカメラマンとして活躍されているcloud9さんから連絡を頂き、SOさんとSUさんも含めた久々の会合が決定。
ここまでなかなかお会いする事が出来ず、cloud9さんとSOさんとは2011年の震災直後以来(ジョージの『Living in the Material World』を一緒に観に行く計画もあったものの、タイミングが合わず)、SUさんに至っては2010年の初対面時以来と、本当に久し振りの再開となりました。
とはいえ、かつての我がバンドのメンバーなどはもっと長い間顔を見ていないので、こうやってまたお会い出来る事に感謝しなければいけませんね。
昼下がり、まずはcloud9さんとかつての職場である秋葉原を巡り、更に御茶ノ水でちょっとした歴史散歩。プロのカメラマンさんである氏に、ニコライ堂や湯島聖堂で何枚か写真を撮って頂きました。
夕方から新宿にてSOさん&SUさんと合流。いつものようにBlind Faceに向かったものの、誰も購入せず。更に島村楽器でも誰も散財せず、という異例の事態。てっきりSOさんが試奏したエレクトリック・シタールを買うものとばかり思っていたのですが。
そのまま恒例の新宿ボンベイでカレーを食し、ルノアールで雑談。
最近は同世代か年下の人間としか接していない自分にとっては、後輩気分を満喫させて頂ける貴重な場でした。更に、久し振りにリスナー、プレーヤー両面で音楽の話を思う存分した気がします。
SOさんにはまたしても入魂のジョージ関連音源集を作って頂き、感謝至極に存じます。皆さん、重ね重ねありがとうございました。
さて、そんな先輩方との会話の中で、少々気になる話題が。
以下、続きから。
この数年の空白を埋めるため、そして我がブログが移転したことを伝えるため、ここの記事を話のネタにしていたのですが、昨年の10月に書いた記事を紹介していた時の事でした。
ハジビー - (Revenge of the)United Minds
「これ、文中にも書いてますけど、SOさんが前回お会いした時にこのタイトルに反応してくれたんですよね。やっぱり有名なブートなんだってその時思ったんですよ」
私が言う「これ」とは、上記の記事で紹介した『Unsurpassed Masters』の事。
しかし、記事を見たSOさんは、怪訝な表情で画像を凝視し、こう言ったのでした。
「これ、本当にアンサパ?こんなジャケットじゃなかったよ」
てっきり写真を見て懐かしがってもらえると思っていた私にとっては、あまりにも予想外の反応。
「ねぇ、これ見覚えある?こんなジャケじゃなかったよね?」
「うーん、確かに違うなぁ」
SOさんに同意を求められたSUさんも、私のスマートフォンの画面を見ながら頷いているのです。
大いに困惑する私に、SOさんが出した結論はこういうものでした。
- これは、少なくとも自分達(SOさん、SUさん、cloud9さんが慣れ親しんだ『Unsurpassed Masters』とは違うものである。
- ジャケットはイラストではなく、ビートルズ4人の写真であった。
- 曲目はわからないが、恐らくは本家『Unsurpassed Masters』のコピー商品、つまり“ブートレグのブートレグ”ではないか。
自分にとっては、自らの価値観と思考を超越した事態でした。中学生の頃から『Unsurpassed Masters』だと信じ込んでいたCDが、まさかコピー商品であるとは。しかも、そのコピー商品の事を誇らしげに記事に書いてしまうとは…。
ブートのブート。確かに元が非正規音源なのだから、そういったものが出回る可能性はいくらでも考えられますが、全くそういう方向に考えが回らなかった。私はまだまだ世間知らずなようです。
加えて、このブートCDに解説文を寄せている人物はムーンライダーズの中心メンバーなのではないか、という私の推論も敢え無く却下されました。
これは当然ジョークですが。
実り多き先輩方との濃厚な会談を終え、自室に帰った私にSOさんからメールが届いていました。
「これがオリジナル“アンサパ”ですよ~」
という一文と共に、ビートルズのブートを紹介している、とあるブログ様のURLが添えられています。
なるほど、そこを覗いてみると、確かにジャケットは全く違う模様。私の持っているニセモノ“アンサパ”の怪しげなイラスト・ジャケではなく、若々しい4人の写真が流用されたものになっています。
それ以上に驚いたことがありました。Vol.5の収録内容が全く違う!
前述の記事の中で、私はこう書いています。
ちなみにVol.5までしか持っていませんが、全部でVol.10まであったと思います。5以降は全て『Get Back』セッションのものだったので、そこまで購買意欲がそそられませんでした。この未完のアルバムのセッションが険悪かつ散漫だったという事は、Vol.5で大体わかってしまったので。
しかし、“本物”の『Unsurpassed Masters Vol.5』の収録曲は、ビートルズの実質的ラストアルバムである『Abbey Road』セッションが中心となっていると思しき内容。私が最も聴きたかった時期です。
何故これを中学の頃に聴けなかったのだ…自分の境遇を呪いつつ、この日の出来事をツイートすると、いつもアドバイスを頂き、音楽人としてとても共感しているminoradioさんからリプライを頂きました。
一連の音楽話の中で一番衝撃的だったのは、以前ブログで紹介した『Unsurpassed Masters』の写真を紙ジャケ&ギターペイント職人のS氏に「こんなジャケットじゃ無かったよ?」と指摘された事。 http://t.co/THyiGxLtZ9
— ミカ・ラウド (@MicaLaud) January 26, 2014
@MicaLaud アンサパはコピー盤も多かったからいろんなジャケありますね。イエロードッグのがオリジナルだっけな?
— まいのさん (@minoradio) January 26, 2014
@minoradio イエロードッグがオリジナルらしいですね。昨夜調べたんですが、当時私が買ったものとオリジナルではVol.5以降の収録内容が違うようです。私の持っているのは、Vol.5以降は全て『Get Back』セッションからの音源という手抜きぶりでした。
— ミカ・ラウド (@MicaLaud) January 26, 2014
@MicaLaud ああ、そっちのVol.5以降と、イエロードッグ盤のVol.5以降、両方買ってました(笑)Get Backセッションが安価に手に入るのも魅力だったんで……(笑)
— まいのさん (@minoradio) January 26, 2014
@minoradio おお、両方集めてたって凄いですね。私はむしろイエロードッグ盤の『Abbey Road』セッションのアウトテイクが聴きたかったです。
— ミカ・ラウド (@MicaLaud) January 26, 2014
何と、minoradioさんは両方のシリーズの違いを認識した上で購入されていたとの事。本物とニセモノが存在した事すらついこないだ知った人間としては、埋め難い差を感じます。
謎が深まる二種類の『Unsurpassed Masters』の存在。
ひとまず、本家イエロードッグ盤と、私の持っているコピー盤の収録曲を比べてみます。
最初はイエロードッグの“本物”。ソースはDiscogsより(ここはブートの情報もあるのか…)。
Unsurpassed Masters (Yellow Dog)
1. Octopus's Garden
2. Golden Slumbers / Carry That Weight
3. You Never Give Me Your Money
4. Oh! Darling
5. Maxwell's Silver Hammer
6. Something (Take 37)
A Huge Melody (Part 1)
7a. You Never Give Me Your Money
7b. Sun King
7c. Mean Mister Mustard
7d. Polythene Pam
7e. She Came In Through The Bathroom Window
A Huge Melody (Part 2)
8a. Golden Slumbers
8b. Carry That Weight
8c. The End
-
9. Her Majesty
10. Stand By Me
11. I've Got A Feeling
12. Two Of Us
13. For You Blue
14. Let It Be
対する、私が中学生の頃から慣れ親しんだ“ニセモノ“。
違いは一目瞭然ですね。こちらは『Get Back』セッションの曲のみ。
『Anthology 3』の「Teddy Boy」と「Blue Suede Shoes」は、ここに入っているのと同じテイクだったと思います。断言は出来ませんが。
ついでに、ニセモノ盤Vol.5のジャケも改めて紹介しておきます。
何故か初期の姿がモデルになっているイラスト。ジョージが持っているギターが、テネシアンではなくエレアコにしか見えません。ジョンのギターもJ-160Eと言い張るにはちょっと無理があるような。
CDの背面に回り込むような形になっている帯。こういう帯の正式な呼び方って何でしょう。
今気付いたんですが、日本語帯の英語タイトルでは『Unsurpassed Masters Collection』と単語が付け加えられています。何らかの配慮だったのでしょうか。
現在までにわかっているイエロードッグの“本物”と、ニセモノの差は以下の通り。
- イエロードッグ盤とニセモノ盤は、『Vol.5』以降の収録曲が全く違う。
- イエロードッグ盤は『Vol.7』でシリーズが終了しているのに対し、ニセモノ盤は『Vol.10』まで存在する。
- イエロードッグ盤の収録内容は活動期間を万遍なくフォローしているのに対し、ニセモノ盤は半分が『Get Back』セッションからのもの。
- イエロードッグ盤のジャケットは本物のビートルズの写真、ニセモノ盤は謎のイラスト。
私の持っている『Unsurpassed Masters』ニセモノ盤が、イエロードッグ盤のコピー…つまり“ブートのブート“ならば、何故本家と収録内容を変えたのか。特に『Abbey Road』セッションを排除した理由は?
謎が多いですが、こちらの盤に関しては改めて調べていきたいと思います。
最後にオマケとして、これまた前述の記事で触れたライブのブートCDを紹介。
このシリーズ、一枚だけ実家に残ってました。しかしレーベル名?は抗議されなかったんでしょうか…。
これにはそれなりにちゃんとした解説が付いていましたが…。
ジョーン、ジョーンって誰だよ。なめとんのか。