(Revenge of the) United Minds

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Forgotten Library

 友人(yuz氏)から、歴史があるようなのに余り取り上げられない図書館を発見した、との連絡を受け、時間を見つけて行ってみる事に。

 平日の夕方までしか開館していないという、かなりスケジュールを組むのが難しい所であり、私も彼に教えてもらうまで存在すら知りませんでした。

 

 かつての名士の名残を感じさせる、広い敷地と堂々たる門を抜けると、そこには農家の様式の大きな母屋が。現在管理している方に許可を取るために挨拶に伺ったのですが、平日の昼間に突如表れた若者風(実際は若者ではないが、その土地からすればそう受け取れるファッション)の男2人を、かなり訝しがっておられるようでした。当たり前の反応だとは思いますが。

 

 その方が鍵を開けて通して下さったのが、この建物。

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  中には映像機器やソフトも置かれており、利用者の痕跡を感じさせます。

 展示されていた書簡の数々。

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 色々質問を聞いて頂いたのですが、どうも私の質問内容は頓珍漢なものだったようです。

  というのも、この図書館開設の礎となったこの土地の名士と、ここで紹介されている人物は別人のよう。どちらも肖像画や展示物があった上、特に但し書きもなかったので、完全に勘違いしてしまいました。

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 ここで紹介されているのは歌人であり、この歌集は全国に散らばった門人達の末裔や子孫の方々から現在でも届けられるそうです。

 

 yuz氏が一通り撮影を終えた所でお礼を言い、一旦この館を退出。ここで更なる誤解に気付きます。先ほど案内して頂いた場所は件の図書館ではなく、あくまでその歌人の記念館という事。最初に看板を見ていたのに、全く理解出来ていませんでした。映像機器等や、実際に蔵書も置いてあった事が、私の勘違いを生んだ理由だと思われます。

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  肝心の図書館はこっち。風格のある建物です。

 地元の藩が明治維新を迎えた際、藩主の嫡男の指南役も勤めたという儒学者の蔵書を公開するために、これまたこの地で活動した俳人(先程の記念館のメインたる歌人とは別人)が開設したのがこの図書館だという。

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  当時の若者達が分不相応で華美な暮らしを好んだ事を諌めるために学びの場を作ったという事ですが、明治の戦勝で浮かれていたのでしょうか。大国に勝った(上手く交渉をまとめて逃げ切った)とはいえ賠償金は殆ど取れず、経済的に国が疲弊していた時期のはずなのですが。

 先ほどの方にこちらを開けるお願いをするわけにはいかず、こっそり中を覗いてみる。

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  綺麗に整えられているとはいえ、何年も人が入った形跡はありません。

 こういった造りの新しいドアなどを見る限り、最近まで地元の人に開放されていたような印象を受けるのですが。

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  少なくとも現在では、この扉が開錠される気配はありません。 

 この記事を書きながら検索してみたところ、この図書館は館長不在により閉館されたという記述も見かけました。

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  案内して下さった方も「管理している方が不在」と仰っていたので、閉館という情報は真実なのかもしれません。

 現在は財団法人が管理しているようですが、やる気と時間があって常駐出来る人物が志願しない限り、このまま扉は閉じられたままなのでしょう。かなり難しい問題だと思われます。

 先述の開館時間に関しても、恐らく図書館の方ではなく、記念館の方のスケジュールである可能性が高いのではないでしょうか。だから、ここにお住まいの方も案内したのは後者だった。今この記事を書きながら、合点がいっている次第です。

 恐らく、広く多くの人物が押し寄せるような事態は、管理されている方からはあまり望んでおられないのだと思われます。よって、地名や館名は全て伏せました。

 

 近所には神社が。

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 車馬を境内に乗り入れるな、という注意書きがあり、なかなか味わい深い。

 近所の方に挨拶しながら鳥居をくぐる。

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 大きなポールがあったので、祭りも行われているのでしょうか。大木が多く、鎮守の森というほどではありませんが良いシチュエーション。

 御祭神は、何と国産みで有名なイザナギイザナミ。個人的には初めてこの神々を祭った神社を訪れました。

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 創建は西暦797年。調べてみたら坂上田村麻呂征夷大将軍に任命された年でした。この後、ちょうど蝦夷の話がyuz氏との会話で議題に挙がるわけですが、偶然とはいえなかなか良く出来た話です。

 

 この日は一通り写真を撮った後、次の目的地に向かいました。