(Revenge of the) United Minds

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I am 2020 Year Boy

 来月、TM Networkの35周年を総括するベストが発売される。

www.110107.com

  ファン投票によるコンピレーション。今まで何度この手の企画が行われたか、数が多すぎて定かではない。メーカーによる独断、もしくは無理な納期でスケジューリングに失敗したが故にベストを乱発してきた彼ら。私は活動中に発表された『Gift for Fanks』以外には殆ど意味を持たないと思っているが(例え未発表曲や新曲が入っているとしても)、今回に関しては数年前にTM熱が再発してから初のリリースであるし、かなり態度を軟化させていた。

 いつまでも中学生時代に買ったCDで過去の音源を聴く事にも疑問を持ち始めており、そろそろリマスターされた音を欲していたタイミングでもあったのだ。

 

 更に、現存しないであろうと思われていた幻の初蔵出し音源の収録も決定しており、もはや1曲のためだけに購入せざるを得なくなった。

prtimes.jp

 メンバーである木根氏の著作などで、タイトルだけはコアなファンに知られていた「グリニッジの光を離れて」。メジャーデビュー前のステージでのみ演奏された、正真正銘のレアトラックだ。「偶然発見された」という文面が何とも白々しい事この上ないとはいえ、この発表には胸が躍った事を正直に告白する。TMに関する情報でこれほど驚いたのは、本当に久し振りである。

 何しろ、曲名からしてこちらのイマジネーションを想起してやまない名タイトルだ。初期TMの世界観を象徴するようなファンタジックさ、少年期の青さ、そしてSF要素に溢れている。

 つい先程、元ネタを発見してしまって少々がっくり来た事には、ひとまず目を逸らしておきたい。 2ndアルバム『Childhood's End』もArthur C. Clarkeの引用だったのだから、今更動揺する必要もないのであるが。

 

 今回のファン投票に関しては、私も行っている。

www.barks.jp

 ただし、この時点ではベストを買う事に意味を見出せておらず、せめて購入動機に繋がる事だけを望んで入手困難なトラックのみに投票した。自分がその曲を好きかどうかはほぼ度外視しており、およそ“FANKSが選ぶ10曲”という趣旨にはふさわしくない選曲であった。

 本当の意味で10曲を厳選するならば、このラインナップになる。投票は出来なかったが、こういう形で表明しておきたい。過去の思い出や思い入れを選考基準には加味せず、あくまで2020年の今日に好きな10曲がこれである。

 

f:id:micalaud:20200301004906j:plain"Twinkle Night"

Electric Prophet 電気じかけの預言者

f:id:micalaud:20161115001716j:plain"Gorilla"

Confession 告白

Girl

f:id:micalaud:20200301005118j:plain"Self Control"

Maria Club 百億の夜とクレオパトラの孤独

Fool on the Planet 青く揺れる惑星に立って

Here, There & Everywhere 冬の神話

f:id:micalaud:20200301005147j:plain"Human System"

Children of the New Century

f:id:micalaud:20200301005214j:plain"Major Turn-Round"

Message

Pale Shelter

Cube

 

 以前ベスト10を発表した事があるが、今回は仮想の投票を前提としたので、あくまでリリース順に並べている。

micalaud.hatenablog.com

 多くのFanksからすれば異論はあろうが、私は復活第1作の『Major Turn-Round』が好きだ。“終了”前の作品と同等か、もしくはそれ以上の出来であると思う。収録曲「Ignition, Sequence, Start」「We are Starting Over」も入れたかったが、泣く泣く削るしかなかった。

 ヒットを目指し若者に訴求するための大衆性と、最新機材や海外音楽の先端を消化した革新性のせめぎ合い。それがTMの魅力であり、最大の存在意義である事は理解している。確かに『Major Turn-Round』は3人が好きだったプログレを思う存分追求したアルバムであり、オリジナリティという点では最初の10年の作品には及ばないという事は認めざるを得ない。

 だが、ミュージシャンたるもの好きな音楽を突き詰めたいという欲求があるのは当然だと思うし、その衝動から生み出されたものが素晴らしい結果を生む事が多々あるのは、ロックの歴史が証明している。そういったマジックをTMが起こした事が嬉しいし、時を経るにつれこのアルバムの楽曲は輝きを増していると思う。正直に言えば、プログレが得意でない自分がこう評価するのだから間違いない。

 それはあくまでロックを愛好する自分だから、そういう考えに至るのかもしれない。実際、ここに選んだ楽曲は、いわゆる世間に知られるダンサブルな“小室サウンド”的(ハウス、R&B, ヒップホップ、トランス、EDMなど)な特徴を持った曲よりも、ロックやニューウェーヴといった先人の遺産を新解釈した流れのものが多い。それは、TMに出逢って以降に聴いた様々な音楽が大きく影響している。

 

 結局、TM35周年のアニバーサリーイヤーは、昨年の『Last Groove』上映と、このベスト発売のみが大きな動きとなった。

micalaud.hatenablog.com

 無駄に年齢を重ね、それなりに音楽を聴き続けてきたが、TM自体を嫌いになった事など一度もないし、それはこれからも変わらないだろう。もう多くは望まないが、このような未発表音源発掘が適切な形で行われてくれればそれで十分だ。私は、私なりの形で今後も彼らを見守っていきたい。