(Revenge of the) United Minds

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 Jリーグ開幕とは、つまり私のプロサッカーとの付き合いの始まりでもあった。

micalaud.hatenablog.com

 この記事でそれに触れるつもりでしたが、試合配信に対しての記述が思ったより筆が進んでしまい、後回しにしました。それだけJリーグ開幕が私にとって歴史的な出来事だったという事です。

 

 小学校の終わりから大学の始まりの頃まで巨人ファンであった私ですが(多分に野球帝国・千葉県北東部生まれという地理的条件が影響している)、自分がプレーするスポーツとしては幼少時からサッカーが一番のお気に入りでした。
 東洋医学の医師から毎日長距離のランニングを課せられ、スタミナには少なからず自信はありましたが、生まれついての要領の悪さも相俟ってスポーツは全くの苦手。特に、目の悪さも影響していたせいで球技は最も敬遠すべきスポーツでした。
 話は逸れますが、かつて私の所属したバンドは私以外のメンバーは全員一定水準以上の運動神経を持ち合わせており、彼らは体育部に所属していた経験があります。特に、元相棒のジョニー馬論のそれは際立っており、何でもそつなくこなしていました。生まれ持っての差に嫉妬したことは一度や二度ではありません。

 

 閑話休題。そんな時代でも、サッカーだけは何故か好んでいました。詳細は覚えていませんが、既にこの時点で本能的にこの競技に感じ入る何かがあったのだと思います。その後、中学でも高校でもサッカーだけは張り切る体育劣等生でした。
 小学校最高学年時の担任教諭もそれは感じ取っていたらしく、家庭訪問で我が親を前にこんな事を言った事があります。
「体育は目の事もあって苦手みたいですが、サッカーだけは好きみたいですね。まぁ、サッカーなんて運動神経悪くても出来ますからね…」
 小学生の競技人口が当時とは比較にならないほど増えた現在では、「サッカーなんて運動神経が悪くても出来」るという認識が共感してもらえるかどうかはわかりません。このようにやたらとニヒルな事ばかり言う先生だったので、私は特に気にはしませんでしたが。

 

 前述通り一応巨人ファンではありましたが、水道橋には遥か遠い本州の極東に住んでいるため、試合を観に行く事など出来るわけがない。特にグッズ等も欲しなかったので、何となくファンだと緩やかに自認していただけなのかもしれません。TVの野球中継を視ている時期はあったとはいえ、こういった「何となく巨人ファン」気分であった人はきっと自分だけではないような気がします。
 そんな時代でも、サッカーは「ちょっと好きなスポーツ」と認識していました。そこに、日本サッカーがプロ化し、Jリーグなる呼称でスタートするというニュースが入るのです。
 開幕時10チームの中には、我が千葉県をフランチャイズ(ホームタウンという概念は当時理解していなかった)にするものもある。それも、我が家と縁もある市原市のチームらしい。
 何となく、新しい何かが始まる予感がありました。文章にはしづらいのですが、本当に「何となく」そう感じたのです。今までの文化が変わっていくような、新たな時代の潮流がそこに近付いている感覚。何しろプロスポーツの事を何も知らない時代(日本全体がそうだったと思うが)、御託を並べるほどの知識など存在しない。大袈裟に思われるかもしれませんが、本当に、直感的にそう思ったのです。
 よって、理由など一切なく、軽い気持ちで「ジェフユナイテッド市原」というチームを心のどこかで応援する事に決めた。それが、開幕前のナビスコカップの時です。私とプロサッカー、及びジェフとの出逢いは、そんなふんわりと緩やかなものでした。

 心の底から「私はジェフのファンである」と自認したのは、前述の記事の連勝時からなので、そこに至るにはもう少し時間が必要となります。あれから27年、まさか日々のストレスの種になるほどこのクラブの結果に心痛めるようになるとは、さすがにこの時点では全く予想していませんでした。

 

 思えば、少なくともJリーグ開幕時に私の周りにジェフのファンは1人もいませんでした。私がバカの一つ覚えのように話をしていたから、同じチームが好きだと言う気分にはなれなかったのでしょう。
 武田が好きだからヴェルディ、ドーハでの中山に惚れたから磐田、マスコットが格好良いから名古屋、バクスター体制で1994年1stステージを制したから広島…など、地元である千葉県とは全く関わりのないクラブのファンを自称する者が多かった。当時はあくまで「NPBのサッカー版」という見方が主流で(『ズームイン朝』にはJリーグイレコミ情報なるコーナーも存在したくらい)、ホームタウン制があまり理解されていなかったのがその一因でしょう。

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 地理的に近いから鹿島を応援する友人も多く、悔しくはありますが当時からそれは理解出来る行動でした。私も鹿島のファンになっていれば、未だに週末にこんなにストレスを抱える事もなかったと思う事も多々ありますが…今更そんな事を言っても仕方がありません。そもそもジェフが市原に存在しなければ、Jリーグに興味を持つ事もなかったはず。

 

 突然サッカーだ、Jリーグだ、ジェフだと騒ぎ始めた私に違和感を覚える友人も少なからず存在しました。何しろそれまでの私は音楽(ポップミュージック)一筋であり、それ以外の話には殆ど興味を示さない人間だったのだから、それも当然かもしれません。バンド仲間がドラクエやFFの話をするだけで、露骨に不快そうな態度を取るような人間だったのですから。
「お前、サッカーとか観るような人間じゃなかったのに…変わっちゃったね」
 電話でそう寂しそうに言った人物の事を、今でも思い出します。今思えば、その人物との別れは私のサッカーへの傾倒も原因だったのかもしれない…と考える事があります。それほどイメージとはかけ離れた行為だったのでしょう。音楽は今も昔もずっと変わらず聴き続けているし、人間としては何も変わっていないのですがね(全く成長がないというのと同義)。

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 Jリーグ開幕は、それだけ私と私の周囲の人間にも劇的な変化をもたらした出来事でもあった、という事です。