(Revenge of the) United Minds

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Gift of Fanks M

 TM Networkの35周年事業、その締めくくりとしてリリースされた2組のベスト・アルバム。久し振りに最新の音で聴くTMには個人的に多くの発見があり、既にこのブログでも記事を書いた。

micalaud.hatenablog.com

 上記の編集盤は古巣のソニーから発売されたものだが、「2組」と書いた通りavexも姉妹盤をリリースしている。

Gift from Fanks M(CD3枚組)

Gift from Fanks M(CD3枚組)

  • アーティスト:TM NETWORK
  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: CD
 

  最初に買った『T』より時間を置いてしまった『M』に関しては、それほど驚きはなかったのでここまで放置してしまった。しかしこのままでは片手落ちなので、もう1枚の方で再発見した事に関しても記しておこうと思う(緑字部分が今回気付いた点)。

 

金曜日のライオン (Take it to the Lucky)

 ベースがシンセではなく、生のエレクトリック・ベース。ソロだけフレットレスで弾いているのかと思っていた。
 記念すべきデビュー曲。このソロが灼熱の大地をあてどもなく彷徨っているかのような効果があって、聴く度にハッとさせられる。同じく1stアルバム収録の「1/2の助走 (Just for You and Me Now)」のボリューム・ペダルとスライド・バーを駆使したギター・ソロ(北島健二)といい、この時期は生楽器を使ってファンタジックな効果を出すのが上手かった。

 

アクシデント

 Rのアコースティック・ギターのカッティングを補強するかのような音が気になる。シーケンスか? ミュートしたエレクトリック・ギターではないと思うが。
 TMのシングルとしては転調が抑えめの、ニューミュージック寄りのアプローチ。売れたかったという気持ちは伝わってくる。個人的にも心地好く感じる曲。

 

永遠のパスポート

 イントロのみで鳴っている、Rから聴こえるフェーザーがかかったような音。アウトロでは鳴っていない。謎。
 元々は「隠れた名曲」ポジションだったのに、編集盤やメモリアルなライヴで事ある毎に取り上げられており、全然隠れていない。

 

Fantastic Vision
 全体的に音が少ない印象だったが、カッティング以外でもアコギが活躍している。サビで音数を減らすのが小室アレンジの妙か? その分そこではシーケンスのリフが目立つ。

 福岡県では天気予報のBGMとしてリリース時(1985年)から使用され続けており、TMは知らずともこの曲を知らず知らずのうちに聞いている福岡県民は多いらしい。マリッジ・ソングではあるのだが、少しは物を知るようになってから歌詞中に登場する「Rainbow Flags」が意味深に響くようになった。

 

Confession 告白

 アコギが全編に渡って良い味を出しているのだが、誰が弾いているのだろう。木根氏だと信じたいが。ベースもシンセかと思っていたが、生だった。
 私にとって、常にTMソングNo.1の座にある楽曲である。“終了”後に顕著になる、木根氏のAOR志向を活かしたバラードの代表作。

 

You Can Dance

 生ブラスの勢いにかき消されていた両サイドのエレクトリックギターが勢いを増している。

  ネタ元はElton John「Saturday Night's Alright for Fighting」。木根氏が自身のソロライブでピアノ弾き語りで披露したが、Eltonの如きロックンロール・ピアノが素晴らしかった。

 

Fool on the Planet (青く揺れる惑星に立って)

 小室氏の多重コーラスを壁のように配したアレンジは、10cc「I'm Not in Love」を念頭に置いていたのかもしれない。こういう使い方ならば、独特すぎる声質も映える。
 TM屈指の名曲であり、ファンからも高い人気を誇る。こういう木根メロディを、1曲でいいから(最初の10年の間に)シングルカットしてほしかったが。

 

Kiss You

 Lのクラビ系シンセ、Rのギターカッティングが非常によく聞こえ、ファンキーさを増している。
 ブレイク作「Get Wild」の次、本来なら絶対に売らなければいけないシングルにファンクを意識したこの曲を採用するセンスに恐れ入る。この時代の小室哲哉は間違いなく天才だった。

 

Another Meeting

 Lアコギのアルペジオ、Rガットギターのアルペジオ、センターがコード・カッティングと弾き分けている。木根作詞・宇都宮作曲という全楽曲中唯一の編成なので、ギターは全て2人で弾いていると思いたい。
 “終了”直後の編集盤『TMN Blue』にのみ収録だが、本来はラスト・シングル「Nights of the Knife」のカップリング予定だった。歴史の終わりを象徴するような曲なので人気があるのだろうか。私も好きな曲だが、最近まで音源を所持していなかった。

 

Green Days 2013

 20周年ライブの際に、ステージにて初披露。以降はこのバージョンがライブ会場限定でのCDにしか収録されておらず、レアな曲だった。曲としては特に感銘は受けなかったが(ら抜き言葉を使った作詞にTK臭がして気になる)、こうして一般に流通するアルバムに収録された事は喜ばしい。

 私もこの編集盤のファン投票の際、この曲に投票した…というより、曲の好き嫌いは度外視してアルバム未収録・未CD化楽曲にしか票を投じていないのだが。

 

Get Wild 2015 -Huge Data-

 上記の曲同様、ライブ会場限定CDもしくは配信のみでの公開だった。30周年活動の並々ならぬ意気込みを物語る、11分超えのライブアレンジをスタジオ収録したもの。これも初収録。
 EDMは正直好みではないが、このジャンルをベースに掲げた30周年ツアーの一連の旧曲アレンジは成功していると思う。このバージョンもお気に入りである。長すぎるので、気軽には聴けないが。

 

Get Wild '89 (7inch Version)

 こちらの『M』盤最大の目玉である蔵出し曲、というより未発表バージョン。7分近くある原曲を、オンエアしやすいように編集してある。何しろ、イントロが1分半以上あるのだから、ラジオでは流しにくかったに違いない。
 特に取り上げるような話題もないのだが、数年前に私もこの曲の短縮編集を行っており、それよりずっと出来が良くて感心した。プロの仕事だから当たり前なのだが…。