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(Revenge of the)United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

プリーズ・ミスター・セールスマン

Harrisongs

 昔々、我が父所有の『ビートルズ辞典』初版(1974年/香月利一・著)を愛読していた頃、常にとある疑問が付きまとっていました。

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 何故2nd『With The Beatles』収録の「Please Mister Postman」の日本独自シングル盤のジャケットが、髭面ビートルズなのだろう?

 きっと、『A Hard Day's Night』での付け髭姿なのだろう…と思い込む事によって、何とか違和感を心の片隅に長年追いやっていましたが、先ほど改めて見てみるとまるっきり違います。そもそも、ジョンはあの映画では丸眼鏡を掛けていません。

 しかし、どう見てもこのジャケット・スリーヴのビートルズは、殺人的なスケジュールの世界ツアーから解放され、それぞれに力を蓄えて再集結した1967年「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」のフォトセッションのもの。時空が歪んでいたのでしょうか。

 

 ますます謎が深まってしまいそうでしたが、よく見るとAppleのロゴがあります。中学生の頃の私にはここに気付けませんでした。

 とても単純な話で、恐らくは再発されたシングルのジャケットがこの髭ートルズなのだと思います。それならば、本来のリリース時期とは違う時代のビートルズの写真を使用する事も可能というわけですね。正直、ジャケット担当の人のセンスを疑ってしまうのも事実ですが…(レコード・デビューから1年ちょっとの時期、青く激しいジョンの叫び、ポールとジョージの若々しいコーラスが売りの作品に、どう考えてもサイケ期の写真が合うとは思えない)。

 この『辞典』のジャケットを見ると、他のシングルの写真選定もかなり適当ですが、それが許された(というより問題にならなかった)大らかな時代だったのでしょう。当時の東芝EMIビートルズ担当だった高嶋弘之氏曰く、独自のシングルカットに関しては「その頃はEMIに何も言われなかったし、何の許可も取らなかった」、日本盤アルバムのジャケット・デザインについても「深く考えてないよ。適当ですよ」との事なので(レコードコレクターズ2014年8月号より)。

 ちなみに、オリジナルのスリーヴはこういうデザインのようです。

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 香月氏は、ミスなのかはたまたオリジナル盤を所有していなかったのか、何らかの理由で再発盤のジャケットをディスコグラフィに加えてしまったのでしょう。

 

 再発された時期が気になりますが、今回グーグル検索にて調査してみたところ、どうやら70年代後半に本家英国パーロフォン(EMI)にてビートルズのシングル再発が行われ、日本の東芝EMIもそれに便乗したのだろう…というビートル研究家の方々による分析が多数を占めておりました。

 そうなると、今度は香月氏がこの辞典を発行した1974年という年と整合性がとれなくなってしまいます。調査する事によって、また新たな謎が生まれようとは…。