(Revenge of the)United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

楽団四季

 ごく稀に映画を観に行く私。

 夏に行ったのに引き続き、親に誘われて『ジャージー・ボーイズ』を封切り日に観てきました。

 

 以下はネタバレを含みます。

 

 

 

 

 事前知識が「原作はミュージカルである」という一点のみだったため、若干不安なままオープニングを迎えましたが、始まってみてびっくり。何とフランキー・ヴァリフォー・シーズンズのストーリーでした。

 大滝・山下氏の新春放談を全てチェックした私にとっては、フォー・シーズンズの名は何度も耳にしています。大滝氏など、「自分はビーチ・ボーイズではなくフォー・シーズンズ派」と公言している程(恐らくは多少のユーモアも含まれているのでしょうが)。私にとっては興味のある対象であり、これから勉強しようと思っていたところだったので実にジャストなタイミング。

 

 天使の声を持つフランキー・ヴァリ、裏社会とのコネクションを活かしながらバンドを導こうとするリーダーのトミー・デヴィート、フランキーのボイストレーニングを指導しつつ兄貴分としてバンドの緩衝材となるニック・マッシ。そんなイタリア系の若者3人が、ケチな盗みやイカサマなどで金を稼ぎ、刑務所とシャバを往復しながらバンドとして徐々に成長していく序盤。

 やがて、音楽的なキーマンとなるソングライターのボブ・ゴーディオとの運命的な出会い。ここから4人の快進撃が始まるのでした。

 しかし成功の代償は大きく、長いツアーと過剰なまでのメディアへの露出で疲弊していくメンバー達。トミーが抱えた巨額の借金でバンドには決定的な亀裂が入ってしまい…。

 

 どうやら史実通りの筋書きではないようですが、仮に全てがフィクションだとしても良く出来たストーリーでした。上昇・飽和・瓦解・試練・再会…と、ビッグになったバンドには必ず付きまとうであろう様々な人生の起伏がドラマティックに描かれています。

 1990年のロックンロール・ホール・オブ・フェイムで数十年ぶりに揃った4人。様々な確執も、こうして月日を重ねた事で赦し合えるようになり、かつて青春を共に走り抜けた仲間へと戻っていく…私はこのシーンで、ビートル・ジョンが死の直前に言った言葉を思い出していました。

ビートルズは終わった。でも、ジョンとポールとジョージとリンゴは…この先どういう関係になるかは神のみぞ知る、だ。俺にはわからない。俺は今でもアイツらを愛してるよ!アイツらが俺の人生のあの部分を占めていたってことは、永遠に変わらないんだからね」

 

 ステージ上で“あの頃の姿”へと若返ったフォー・シーズンズの4人が、主要キャラたちと歌い踊る大団円はこれぞエンターテインメントといった感じ。原作がミュージカルだった事もしっかりと活かしており、さすがにイーストウッド作品だな、と唸るばかり。

 

 この映画の冒頭は金庫をフランキー、トミー、ニックが盗み出そうとする所から始まるのですが、そこで思い出したのが『グッドフェローズ』。過去にも紹介しています。

俺は所詮ステューピッドガイ だから何だぁ?アレ持って来いってんだ 〔by ラウド〕

 『ジャージー・ボーイズ』とはイタリア系移民とマフィアが物語の中心になる…という点で多くの共通点が見られるこの作品。そんな両作品に面白いリンクがありました。

 既にツイッターに書いた通りです。ジョー・ペシは、トミーに請われてバンドにボブを紹介するという、ある意味キーマンとして登場。この頃のジョーはトミーにイカサマの片棒を担がされるなど顎で使われていましたが、後年は借金を抱えて落ちぶれた彼を運転手として雇う事となり、完全に立場が逆転してしまうというエピソードがラスト近くのトミーのモノローグで面白おかしく語られます。

 そういえば、『グッドフェローズ』でのジョー・ペシの役名は「トミー・デヴィート」。フォー・シーズンズの彼と全く同じです。ストレートにそのままの引用なのでしょうか?二人の関係性を知っていたと思しきスコセッシなりのジョークなのかもしれません。

 しかし『グッドフェローズ』同様、手に余る揉め事が起きた時には懇意にしているマフィアのボスに話を付けてもらうなど、やっぱり芸能ってこういうものなんだなぁ…と改めて考えさせられるエピソードも多数。

 

 何より音楽が良い映画で、出演者達が自ら執るヴォーカルも完全に水準以上のレベル。映画の内容共々楽しめたので、これをきっかけにフォー・シーズンズの音源を買ってみようかと思っています。