(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

やがてふる

 高野寛楽曲で一番好きなのは「やがてふる」か「Eye to Eye」で、常にこの2曲がナンバーワンの座を争っている状況。

 

 先月は物質的にも精神的にもハードでしたが、それでも前向きに乗り切っていきたいと思います。まずは、普通に音楽が聴ける環境が戻ってきた事に感謝。最近購入した新譜の話です。

 

Bang Zoom Crazy, Hello

Bang Zoom Crazy, Hello

 

Bang, Zoom, Crazy... Hello... / Cheap Trick

 前回記事にした後、回数をかけて聴いてみましたが、前作ほどの完成度はないものの、非常に充実したスルメアルバムではないか…というのが全体的な感想。

 ポップでパワフルで、スナック菓子のようなあっさり感がありつつも、それでいて繰り返し聴きたくなってしまうという、これはこれで稀有な作品だと思います。「スルメ」と書いた事と早速矛盾してますが、ライトだけどやめられない止まらない状態になってしまう、という感じ。

 この作品、顔になるリード・トラックには欠けますが、とても良く出来た作品だと思います。大ベテランがさりげなくこういう作品をドロップする、これは凄い事ではないでしょうか。

 このアルバムと前作『Latest』だけで構成されたライヴを観たいなぁ。オールド・ヒットよりも今!Cheap Trickとはそういうバンドだと思います。だから好き。

 

Super

Super

 

Super / Pet Shop Boys

 前作『Electric』の延長戦であるかのような、バキバキのフロア対応アルバム。

 とにかくシリアスでダンサブルな現代対応のエレクトロ作品で、Cheap Trickとは別の意味で年齢を感じさせません。現役感がとにかく凄い。コンスタントにリリースを重ねているので、それは当たり前ともいえますが。

 その分、叙情性と憂い溢れるメロディアスさは引っ込んでいますが、アルバムのテーマを考えれば致し方なし。とはいえ、個人的には『Release』『Yes』路線の作品も久々に聴いてみたいところですが。勿論、ジョニー・マー参加でね。

 一応『Elysium』がその路線のアルバムだったのでしょうが、あれはいくらなんでも曲が地味過ぎた…この作品に対するファンからの悪評へ急遽『Electric』を制作し回答した、という逸話もあるくらいですからね。

 

Weezer

Weezer

 

Weezer / Weezer

 度々アルバムタイトルにバンド名を冠する彼ら。今回の通称は『White Album』だそう。ジャケットが白ければこう呼ばれるのは仕方ないかな。

 初めて買うWeezerのアルバム。かつて、スピサンにて我が相棒だったジョニー馬論が「Weezer全然良くない!騙された!聴かない方がいい!」と散々な評価を下しており、「音楽の趣味が近い人間が言うのであれば…」と心なしか私も敬遠気味に。しかしとあるコンピレーションで聴いた「Buddy Holly」が妙にツボにハマり、旅行中(先月の記事参照)の脳内BGMとして勝手に頭の中でヘヴィ・オンエアされていたため、急遽購入を決定。

 パワーポップの歴史の中でもマストとされるバンドなので、いつかは聴かねばならなかったのは事実。とはいえ、現在は別のアルバムを聴いているのでまだこの作品は封も開けていません。また機会を改めて感想を。

Say the word I'm thinking of

 先日、ふとしたきっかけから英国人の方と話す機会があり、殆ど片言ながらコミュニケーションを取った。こちらの言いたい事がちゃんと伝わっていたかは甚だ疑問だが、概ね気持ちは通じたと思う。

 

 かつてNZにホームステイした経験に関しては何度かブログでも書いている。

blog.goo.ne.jp

 二週間程度の滞在ではあったが、周囲を現地の人々に囲まれての生活は言葉を発してコミュニケーションを取らねば生活出来ない状況。どうしても英語で話さなければならないわけで、拙いながらも懸命に会話を試み、グングンと英語の能力が伸びている実感があった。

 さすがに早口でまくし立てるホストファミリーの友人達の会話には付いていけなかったが、積極的に一人で買い物にも出かけていったので、非常に楽しかった思い出しかない。暗黒の高校時代の中でも、数少ない有意義な体験であった。

 その気になれば、異なる言語での会話も可能だ。頑張れば、自分だっていつかは英語での会話が可能になるのではないか。

 そんな淡い想いは、その数年後に幻想だと気付かされる事になる。

 

 上京後、最初に勤めたバイト先で同じ時間帯に働く仲間は、殆どが海外の人々だった。中国、韓国、インド、バングラデシュ。アジア地区予選が始められそうなくらい多国籍である。

 特に同じ仕事をしていた方は中国の人が多く、皆日本語を勉強しながらここでバイトしている人であった。彼らは決して達者とは言えない言語習得度であったので、こちらの意図が伝わらない事もしばしば。勿論、相手の言う事も途切れ途切れの日本語の意味を頭をフル回転させて受け止め、真意を探り出さねばならない。それが日常だった。

 ここでホームステイしてた時代の事に思いを馳せ、気付いた事があったのだ。あのNZで私の話相手をしてくれた人々は、こちらのレベルに合わせて言葉を選び、こちらの拙い英語を理解しようと努力していてくれたのだと。立場が変わって気付く真実。自分の考えの甘さに数年越しで気付くと共に、あのNZで暖かく迎えてくれた人々のように自分も振舞わなければならない、と思いを新たにした記憶がある。

 

 誤解の無いように記しておくが、言葉がなかなか通じなかったからといって、一緒に働いた人々に文句を言いたいわけではない。こちらの日本語を勝手に誤解して怒り出す人には正直閉口したが、基本的には良い人ばかりで楽しい記憶の方が多かった。

 特に最初から一緒に働いていた中国の人はとても良い人で、「いつか一緒に中国を旅しよう。あなたを私の実家に連れて行きたい」と何度も言ってくれた。シフトの関係上難しかったが一緒に遊んだ事もあるし、(一足先にここを退職して自分のカレー店をオープンした)バングラデシュ出身の元同僚の店へ共に足を運んだこともある。そういえば、私が音楽をやっている事を話したら「是非聴きたい」と言ってくれ、spiritual soundsの音源をMDで渡した事もあったなぁ。とても嬉しかった。

 最後に会ったのは日韓ワールドカップの年の春だったか。今も元気にしている事を祈る。色々と思い出して、勝手にセンチメンタルになってしまう。あの旅の約束、今からでも果たしたいと思っている。

 

 異なる言語でコミュニケーションを取るのは大変ではあるが、相手を思いやることによって可能にはなる。忍耐は必要かもしれないが、いずれにせよ理解しあえるのならば悪くは無い。

 

 ただ、言葉よりもっと手っ取り早いのは音楽だったりする。冒頭の英国人青年は、私がジョージの「Awaiting on You All」を弾いていたら「お前日本人のくせに珍しい曲知ってるな」と興味を持ってくれたのがきっかけだし、NZのホストファミリーと打ち解けるきっかけとして決定的だったのは私がビートルズの曲をディナーの後に弾き語った事だったりもする。

 確かに音楽で世界は変えられなかったし、共通言語になるというのも甘い考えだというのは重々承知だけど、あんまりニヒルになり過ぎるのもどうかと思いますよ。少なくとも、私は音楽(というかビートルズ)のお陰で会話が弾んだのは紛れも無い事実。

The Way You Do the Things You Do

 数年振りに関東を出ました。やはり自分は緑濃い山々の景色、澄んだ水…といった高原の風景に憧憬があるのだと再認識。海に囲まれた低い土地に生まれてしまったが故の感情でしょうか。

 

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 目的は観光ではなく、前後に色々と心穏やかではない出来事が続出しましたが、良い景色を見られた事自体は楽しい経験でした。

 御目出度いとはいえ、近しい人間の様々な感情が露になるイベントはしばらくは遠慮したい気分です。とにかく、お幸せに。

Twitter and the Monkey Man Winter 2016

 最近、ブログに書くようなネタがないし、あってもじっくり書くような余裕がありません。根気が続かず、こつこつ書くような忍耐力も無い。正直、必要以上に疲れたくないという気持ちが強く、それが文章に対する執着を弱くしています。ツイッターも然り。

 というわけで、今回は禁断のネタであるツイッターを今年初めて解禁します。今回は1~3月の振り返り。ツイート数も激減しているので、3ヶ月分とはいえ拾うようなツイートは非常に少ないです。

 

 行き易い位置にあるというわけではないので、足しげく通っているというわけではありませんが、行く度に必ず自分の好きな曲が流れている。凄い確率だと思います。こんな場所は、本当にSEIYUくらいのものです。去年から引き続きちょくちょくツイートしているのは、そういった驚きが継続しているから。

 

 まさかの『U-31』映画化には驚きました。どのような時代背景にするのかも注目すべき点。ドーピングの話までやってくれるのでしょうか。個人的には、『U-31』は2005年春に自分に起きた数々の出来事と切り離せない、メモリアルな作品です。

 現実の世界で戦っている「ジェムユナイテッド市原」のモデルとなったクラブの状況が、なかなか笑えない事になってきているのが大きな問題点ではないでしょうか。

 

 眼鏡診断の話は昨年書きましたが、いよいよ実際に眼鏡を製作。レンズの縁に歪みを感じるのが、実際に使用する際に非常に気になる点。まだ本格的に使用しているわけではありませんが、やはり遠くのものを長時間見る時は非常に役立っています。

 

 ここから、携帯電話は故障の連鎖でした。色々な店を飛び回り、ネットの各所をさ迷う非常に面倒な日々でしたが、2月の終わりにようやく落ち着きました。

 現在構築した携帯電話の環境は、個人的にはそれなりに満足のいくものとなっています。消耗品なのでいずれ買い替えが待っている事を考えると、その煩わしさに少し憂鬱になりますが。

 

 「ボウイ タモリ」で画像検索すれば、大量にこのコラ画像がヒットします。掲載画像は許可を取らずネット引用で本当に済ませたのか、書いている側もボウイの事をロクに知らなかったのか、謎は深まります。お金を取る雑誌でこんな適当な事してていいのかな、と正直思ったのは事実。

 ちなみに、この日は入院して以後数年通った病院への最後の通院でした。入院中によく通った本屋でツイートの雑誌を読んだわけです。辛い思い出ばかりでしたが、今ではそれも懐かしく感じます。戻りたいとは思いませんが。

 

 訃報が続く2016年。フットボールに革命を起こした“フライング・ダッチマンヨハン・クライフも、この世を去ってしまいました。残念です。

 妹と同居していた頃、部屋に真っ先に貼ったのはクライフ(とフィリッポ・インザーギ)のポスターでした。当時の写真も残っています。クライフに関してはサッカー史に残る活躍をした事も当然ファンになった理由の一つでしたが、見た目や発言内容がいちいち格好良かったのが何よりも大きいです。どちらかといえば、アスリートというよりミュージシャン的な視点で彼を見ていました。

 自分の中で、ミュージシャンとサッカー選手の存在はどうやら同列にあるようです。よく見る夢の内容に「ロベルト・バッジョインザーギ兄弟のニューアルバムを買う」「レアル・マドリー・イレブンが組んだバンドのライブを観ている」というようなものがありますが(ルックスと実力を兼ね備えた選手ばかりなのがポイント)、自分の深層心理下でミュージシャンとサッカー選手を混同している事実を如実に示しているように思えます。

 そういった自分の妙な認識のきっかけとなったのが、このヨハン・クライフその人であるような気がしてなりません。

 このような発言をしている人がいた事も、自分の心の奥底で影響を与えていると思われます。

 私がサッカーに興味を持った頃、クライフは指導者としてFCバルセロナの指揮を執り、絶頂期にありました。自分の世代から見ても、クライフは結果を残している偉大な人物でした。後追いの人間が「この人の現役時代は凄かったんだよ」と教えられてもなかなかピンと来ないのは世の常ですが、リアルタイムでも監督として飛びぬけた成績を収めていれば、有無を言わさず納得せざるを得ません。

 余談ですが、私が高校時代に妄想していた2002年ワールドカップ日本代表の監督はクライフでした。当時から憧れの人物だったという事です。合掌。

2016 1/3

 最近は妙にやる事が多いので、あっさり目の内容です。今年の三分の一が終わったという現実を前に、今まで買った主な新譜の感想を。

 

night thoughts

night thoughts

 

Night Thoughts / Suede

 今年初めて買った新譜CDで、再結成Suede約3年ぶりの新作。

 私の2013年ベストアルバムだった『Bloodsports』のキャッチーさから一転、タイトルどおり夜の闇に浸っていくような深みを感じる作品。静的でありながら力強く、むしろ前作よりこの方向性をやりたかったのかなと勝手に想像。

 前作は再結成第一弾という事もあって、景気良く明快。ある程度かつてのファンのニーズに応えるため、ああいう方向性にしたのかも。そういう意味では、今作が本当の意味での新たな一歩なのでしょう。

 最初聴いた時は正直「パンチが弱いかな」と思いましたが、そもそもメロディのわかりやすさを狙っていないのだからそれも当然。内容も勿論そうですが、出涸らしみたいな扱いをされる事の多い再結成バンドがこれだけ新たな意欲を感じる重みのある作品を生み出してきた事が嬉しかった。明らかにSuedeは現在進行形で前に進んでます。それは間違いない。

 ちなみに、Suedeのギタリストといえば十中八九の人がバーナード・バトラーの名前を挙げるでしょうが、実は私はリチャード・オークスこそがSuedeらしいギターを弾く人だと思っています。彼の独特でありながらツボを絶対に外さないフレージング、癖になります。

 

 George Fest / V.A.

 ジョージの息子ダニーが企画したトリビュート・ライヴを、音源&映像ソフト化。

 親友クラプトンが音頭を取った『Concert for George』は、ジョージの友人だったレジェンズを集め、入念なリハーサルを重ねて徹底的にバンド・アンサンブルにこだわった完璧なイベントでしたが、今回は主にダーニと同世代の現役ミュージシャンが集まり、非常に躍動感のあるフレッシュなステージになっています。

 ほぼ完コピで演奏を再現した『Concert for George』に比べれば結構ゆるい感じの演奏ではありますが、それでもきっちりとポイントは押さえられており、楽しい演奏です。

 出演ミュージシャンは正直殆ど知りませんでしたが、それぞれが自分達なりの持ち味を活かしてカヴァーしているのはわかりました。演奏しているミュージシャン、そしてジョージの楽曲。両方の魅力が上手くフォーカスされている。

 細かい聴き所(見所)は多くありますが、『Concert~』と違って多く女性ミュージシャンが出演しているのがポイント。「Something」「All Things Must Pass」といったスタンダードは勿論、「Bewear of Darkness」「Behind the Locked Door」「Isn't it a Pity」「I'd Have You Anytime」など女性ヴォーカルがとても新鮮に聴こえました。そして上手い女性歌手にもジョージの曲は合うのだなと。もっとカヴァーが増えて欲しいと思った次第。

 一番印象的だったのは、ブランドン・フラワーズ(The Killers)が(ジョージのオリジナル曲でない)「Got My Mind Set on You」をカヴァーした理由を「自分達の世代が初めて体験したビートルズのメンバーのヒット曲だったから」と言っていた事。時代の移り変わりと、同世代のシンパシーを感じました。

 

DEBUT AGAIN(初回生産限定盤)

DEBUT AGAIN(初回生産限定盤)

 

 デビュー・アゲン / 大滝詠一

 ニューアルバムと言っていいのかどうかはわかりませんが、ともかく新譜です。

 少なくとも故人は意図していなかったであろうリリース。「死んだら後はご自由に(大意)」というようなコメントは残していましたが、当然リリースの報に諸手を挙げて喜んだファンはいないと思われます。複雑だけど、でも買わねば…恐らくは皆少々後ろめたさと罪悪感を覚えながらも、欲求を抑えきれず購入したのではないかと勝手に推測。

 勿論私もその一人でしたが、内容が悪いわけないんですよね。明らかにガイド・ヴォーカルのクオリティな曲も散見されますが、それすらもチャーミングに聴こえる。この作品を聴く事によって、自分はどうしようもなくこの人の歌声が好きなのだと再確認してしまいました。歌が上手いかどうかは関係なく、この声は自分にとって唯一無二のもの。どうやっても抗えないのだな…と。

 当然ながら既に全曲(特典ディスク除く)知っているわけで、一緒に歌いながら聴き始めたわけですが、「Tシャツに口紅」の転調部分で声が詰まって出なくなりました。感極まったのは故人の不在を実感したからではなく、単純に曲の良さに改めて気付かされたからです。それは松本隆の詞も含めて。そこまで過剰な反応が出た事に、自分自身非常に驚きました。

 オリジナル歌手の魅力も俯瞰出来る作品でもあり、特に小林旭薬師丸ひろ子の上手さを再確認。様々な角度から楽しめるアルバムである事は間違いありません。

 

Bang Zoom Crazy, Hello

Bang Zoom Crazy, Hello

 

 Bang, Zoom, Crazy... Hello... / Cheap Trick

 まだ1回しか聴いていないので、また改めて。

 2009年リリースの前作であり名盤「The Latest」のように、初めて聴いた瞬間から心を鷲掴みにされるような感覚は今のところありませんでした。ギター・ソロが長い曲が多く、パワーポップよりHR寄りのアプローチになっているのかも。

 バン・E・カルロスの後釜ドラマーはてっきり彼の息子かと思っていましたが、ギタリストのリック・ニールセンの子供なんですね(ダックス・ニールセン)。体調の問題で脱退したのかと思いきや、実は結構ドロドロしているようで。

 ちなみに前作の感想はこちら。

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 あれから7年経ちましたが、聴く度に楽しくなる最高のロック・アルバムです。パワーポップの名盤としても五指に入るかな、個人的には。

 

Super

Super

 

 Super / Pet Shop Boys

 まだ封も開けていません。機会を改めて。

ローカルのボランティア軍

 EP7の劇場公開が終わり、本国USAではBDが発売されたSWですが、息つく暇もなく今年末公開の『ローグ・ワン』オフィシャル・トレイラーが公開されました。


「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」特報

 全ての始まりであるSWEP4のオープニング・クロールにて、「Rebel spaceships, striking from a hidden base, have won their first victory against the evil Galactic Empire.During the battle, Rebel spies managed to steal secret plans to the Empire's ultimate weapon, the DEATH STAR, an armored space station with enough power to destroy an entire planet.」と語られる初めての反乱同盟軍の勝利、及びデススター設計図の奪取を描くスピンオフ、それがこの『ローグ・ワン』です。

 

 地球とも似通った街での、建物の視点からの爆発シーン。汚い窓から差し込む光に照らされる主人公。ドニー・イェンのカンフー調アクション。AT-ATに生身で立ち向かう反乱軍兵士達。どれも今までありそうでなかった、SWらしくない斬新な描写と撮影法。ファンタジー要素を極力廃し、リアルな戦争を描く…というこの映画のコンセプトは、この予告映像だけでも十分に伝わってきます。

 方向性としては、『クローン・ウォーズ』からジェダイの様な神話要素を抜き、実写映画化したような感じになるのでしょうか。正直言って、EP7の予告を見たときよりずっとワクワクしている自分がいます。

 

 既にファン達は、登場人物が誰なのかを予想開始。ドニー・イェンは『反乱者たち』のケイナン、白マントの帝国軍人はグランド・モフ・ターキンなのではないか…という噂が実しやかに囁かれています。

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 ターキンの若い頃は一瞬ではありますがEP3に登場済みなので(キャストはピーター・カッシングに見た目が似ている事を重視したため台詞は無し)、スピンオフではおなじみのスローン大提督だったりすると面白いな、というのが個人的な要望です。

 

 今回の映像で一番驚いたのが、反乱同盟軍最高指導者モン・モスマの旧作(ルーク3部作)再現度が非常に高かった事。

 キャストは、ジュネヴィーヴ・オライリー。SWオタクなら当然知っていると思いますが、既にEP3にて若き日のモン・モスマとして起用されていた役者です。出演シーンが全てカットされたため、本編で登場するのはこれが初。11年越しのSW出演という事になりますね。

 私はEP3のDVD特典映像に収録されていたカットシーンを何度となく観ていますし、フィギュアにもラインナップされていたので彼女が初登場という実感は薄いのですが、旧ルーカス体制からしっかりと継続して役者起用にもこだわったディズニー、ちょっと見直しました。

 何故なら、前述したように再現度が高い!ほぼ完コピ状態。

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 見た目は勿論、声も非常に似ている。アレック・ギネスのオビワンに近づけるよう丹念に役作りしたユアン・マクレガーの役者根性を思い起こさせるよう。

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 EP3公開当時は、「あのオバサンも若い時は美人だったんだなぁ」程度の認識で、特に似ているとは感じなかったのですが。おそらくEP4冒頭シーンにしっかりと繋がるよう制作される事が予想されるので、極力違和感を抑えるよう制作陣も考えたのでしょうか。

 

 個人的には、EP4にさえ繋がっていればいいと思っています。あまり他作品との整合性にこだわりすぎず、戦争映画である事を重視してくれればそれでいいのではないかと。

 先述したケイナンはじめ、『反乱者たち』からゴースト(主人公が所属するチーム)の面々が登場するのではないかという噂もありますが、個人的にはアニメから実写にした時のギャップはなかなか埋めがたいものがあるので、無理に引っ張り出す必要はないと思います。会話の最中に名前が出てくる、みたいな演出があったら最高ですが。

 まして、EP7の事など考えずともよろしい。特に、女性主人公はレイの母親では?などと多くのファンが予想しているのを多く目にします。あれはあれ、これはこれで分けてほしいなぁ。時代も離れているし、無理に結び付けなくてもいいんじゃないでしょうか。

 どうせ、反乱軍がどれだけ頑張っても半端者だらけの中二病集団に好き放題やられる未来は避けようがないわけですし。この映画を観ている時くらいは、帝国軍と反乱同盟軍の戦いの事だけ考えていたいです。

 

 とにかく、今年も年末が楽しみです。

劇場公開終了とTV放送終了?そりゃコトだ!

 SWEP7の劇場公開が、昨日3/25で終了したようです。もう一回くらい吹き替え版を観ておこうかなとも思っていましたが、実際に劇場に足を運ぶ事はありませんでした。

 それなりに忙しかった事も理由の一つですが、このブログに作品の感想を書いた時と少し捉え方が違ってきているせいでもあります。

 

 その原因の多くは、今月いっぱいまでテレ東系にて放送されていた(来週が一応の最終回)スピンオフアニメ『反乱者たち』があまりにも面白い作品だった事。

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 昨年末のシーズン1放送時から友人に薦められていた作品でしたが、今年に入ってようやく視聴を開始。いやはや、驚きましたね…SWの3Dアニメに外れがない事は既に『クローンウォーズ』シリーズで証明済みですが、予想していたハードルを軽く飛び越えていく素晴らしい作品でした。

 

 強いフォースを持つ少年エズラ、クローン大戦の生き残りジェダイであるケイナン。この師弟を中心に、それぞれの過去を持つ個性溢れるメンバーで構成された“ゴースト”の面々が、強大な銀河帝国の打倒を願い、僅かな希望を信じて戦いを仕掛けていく。

 “ルーク3部作”(EP4~6)のような血湧き肉躍るスペースオペラでありながら、“アナキン3部作”(EP1~3)のドラマティックな世界観と物語を受け継いでいる。いわば、SWという作品の良い所取りのような作品。

 何より、EP7において顕著だった“アナキン3部作”の否定を行わず、しっかりと地続きのストーリーでリスペクトを感じるところ。ここは大きな違いです。

 オーダー66下のジェダイ聖堂にて、オビワンが苦難にある仲間達に送ったメッセージ。思念体として若き(そしてかつての)パダワンを導こうとするヨーダ。更にはキャプテン・レックスやアソーカの再登場…“アナキン3部作”や『クローンウォーズ』に思い入れがあればあるほど心を揺さぶる仕掛けが随所にあり、その度に感涙に咽んでしまう。これは本当の話です。来週の最終回でどれだけ涙を流してしまうのか、今からちょっと怖い…。

 勿論、EP4以降の“ルーク3部作”への種もしっかりと撒かれています。EP6にて登場した反乱同盟軍の戦闘機Bウイング、その開発プロジェクトである「シャンティポール計画」。プリンス・シゾール率いる犯罪組織ブラックサンの影。今までスピンオフでしか語られていなかったエピソードも次々にピックアップされており、EP4までわずか5年後だという時代設定を強く意識させるシナリオ。本国USAにて継続中のシリーズでは、いよいよレイアも登場するようです。

 SWサーガの物語がしっかりと繋がっている。そう感じられる作品は、間違いなくEP7より『反乱者たち』である。これが今の私の見解です。

 

 前述した友人と前に話した時、かつてのスピサンの相棒が書いた記事を見せて「EP2が一番好きな奴って、ちょっと変わってますよねぇ」と少し茶化すように言ったところ、その若き友人は困惑の表情を浮かべ、次の言葉に困っていました。

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 つまり、彼にとっても『EP2』がフェイバリット・エピソードだったという事。彼にも、そして馬論にも失礼な発言でした。

 友人曰く、「結局、クローン戦争の時代が好きなんですよねぇ」。まさにクローン大戦が始まり、ジェダイ達がヒーローとして戦いに身を投じていく。そのスタートが『EP2』なのだと。

 『EP3』も勿論好きだが、悲劇的な結末は既に知っていた事だし、高揚感には欠ける、と。この辺りも馬論と共通していた意見でした。

 私はその意見に耳を傾けながら、内心深く頷いていました。クローン大戦の時代のSWが好き。つまり、私のSW観もまさにその通りなのではないかと。

 比較的単純だった勧善懲悪スペースオペラだったEP4~6と違い、EP1~3は若き天才アナキンの転落の物語。まだジェダイ華やかなりし時代の共和国を舞台に、深謀遠慮を巡らすパルパティーンの政治劇。そして、旧作の華麗な宇宙戦に比べあまりにもフィジカルで剥き出しな“戦争”がクローズアップされている。

 あくまで「宇宙戦争」を望んだ多くのファンと違い、私はドラマティックなクローン戦争と“アナキン3部作”に酔いしれました。それが『ファンボーイズ』『ピープル vs. ジョージ・ルーカス』的なSWファン像への違和感を生じさせる事になるわけですが、「一般的なSWファンと自分は何が違うのだろう?」と愚にもつかない事をEP1の悪評以来ずっと考えていたわけです。それは非常にシンプルな理由、「クローン大戦の時代が好き」という事だった。友人の一言で、今更ながらそれを気付かされました。現在のSWファンにおけるEP7に対しての論争についても、この点から私なりのステイトメントを出せるかもしれません。ソフト化された後、再びこの問題については取り上げたいと思います。

 

 ちなみに、友人はEP7鑑賞後に「『反乱者たち』の方が好みだった」と私に伝えたかったようですが、私が同アニメ作品をまだ観ていなかったために言及を避けたそうです。薦められた時に観ておかねばならぬ、と学んだ一件でした。申し訳ない。