(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Live20061230

 そもそも、ブログ移転の理由になったのはスピサンの解散だったわけですが、そこに至る理由をいつか順を追って書こうと思いながらも放置したまま、ブログ2年目が終了しようとしています。

 プライヴェートな事にも関わってくるのであまり詳細を書けないというのが筆が進まない理由ですが、既に解散を自分の中で消化してしまったのが大きいのかもしれません。

 

 実際に解散する前に、2001年と2007年にコンビの間に亀裂が入りかけた事件がありました。とてもここには書けないような取るに足らない理由だった2001年の時はともかく、2007年(ちょうど今頃の時期だった)の口論は、活動云々よりも“作品をリスナーに問う者”としての根本的な意見の食い違いが結成11年目にして初めて露呈してしまったという点で、かなり深刻な出来事だと捉えています。

 2008年に最後の作品『Technicolour』を発表してから活動が停滞した我々ですが、それは当然ながら先述の一件と無縁ではありません。そして、その決定的な口論に繋がった大きな要因は、2006年末に行ったスタジオ・ライヴでした。

 

 当時、ブログ記事中でも少しだけ触れています。


2007年、僕らとジェフの千葉大返し 〔by ラウド〕 - United Minds (Strikes Back)

 しかし、せっかくの活動報告ブログだったにもかかわらず、これ以前にライヴ開催に関する告知は一切無し。準備の様子もブログで触れず仕舞いで、スピサン史にとって重要な出来事だったとは思えない程の淡白な扱いしかしておりませんでした。

 私にとっては、初ライヴとはいえ練習の延長に過ぎず、ここから明らかになった問題点をフィードバックしていけば良い、という認識でした。ブログで触れなかったのはそういった理由があるのですが、馬論は私とは全く違った感想を抱いたようです。

 結果として、くっきりとその後のスピサンの活動の分水嶺となってしまったライヴでした。

 

 何故今更こんな話を書いているのかというと、当時のライヴ音源を久々に先輩であるCloud9氏から頂いたからです。実は、氏はライヴ数日後の2007年1月初頭に既に音源を渡して下さったのですが、何故か私は保存するのを忘れ(本当にこうなった理由が思い出せない)、いつしか音声ファイルの存在自体を忘れてしまっていました。

 今回、久々にCloud9氏にお会いするにあたり「用意できる音源は何でも提供する」というお言葉を頂きました。あんまり図々しい事を言うのも気が引けるので当初はお気持ちだけ頂く予定でしたが、そんな時この一連のライヴ音源の事をふと思い出し、迷わずリクエストさせて頂いたというわけです。

 

 このスタジオ・ライヴ、元々は我々とCloud9氏が組んでいた“Crackerbox Palace”の練習のためでしたが、急造バンド故に曲数が足りないという事で、結成10年目だった我々がオープニング・アクトとして急遽ブッキングされたという経緯があります。これが決定したのが、何とライヴ開催一週間前。昔から我々の活動を応援してくれていた友人達全てを呼ぶには、あまりにも時間が足りませんでした。そういう意味でも、「スピサンとしての記念すべき初舞台」という認識は、お互いに薄かったような印象があるのですが…。

 

 この日のセットリストは以下の通り。

spiritual sounds

#1.  Funky Shooting ファンキー・シューティング

(Baron)

#2. Step Lightly 軽やかな足取りで

(w: Nishizono / m: Baron)  Vo. Baron

#3. 遥かな微笑み ~黄土高原~

(w: Iijima / m: Sakamoto)  Vo. Nishizono

#4. 我が心のマジカル・アイズ ~Magical Eyes~

(w: Nishizono / m: Baron)  Vo. Baron

#5. オムライス Walk Out to Winter

(w: Kurimzon / m: Nishizono) Vo. Nishizono

#6. Blue shine

(w: Nishizono / m: spiritual sounds) Vo. spiritual sounds

#7. 体操 Taiso

(w: Sakamoto, Barakan / m: Sakamoto, YMO)  Vo. spiritual sounds

 

Clackerbox Palace

#1.  秋の旅人

(w: Hazuki / m: Nishizono)  Vo. Ivica Wilbury, Karen Wilbury

#2. Moonlight Serenade

(Cloud9)  Vo. Pete Wilbury

#3. Gimme Some Truth スキに教えて

(w: Nishizono / m: Baron)  Vo. Karen Wilbury

#4. Lie in the Wildness

(Cloud9)  Vo. Pete Wilbury 

#5. Cartoon Island

(w: Kurimzon / m: Nishizono)  Vo. Ivica Wilbury

  スピサンの演奏曲は結成時に制作した#5以外は、全て2006年作品『Sketch』収録(及び関連)曲。YMO飯島真理(原曲は坂本教授)のカヴァーがあります。

 ほぼ最新曲のみで勝負…と胸を張りたいところですが、当時レコーダーを買い換えたばかりの時期で、マスターが入っているのがこの作品のものしかなかったという事情があります。友人に作詞してもらった#5は録音されていなかったそうで、今回も聴く事は出来ませんでした。*1

  数週間前から練習を行っていたClackerbox Palaceは、それぞれ持ち寄った曲を演奏。我々は当然ながらスピサンとして制作したものを披露しました。Noel Wilbury氏は曲・ヴォーカル共に無し。

 

 こうしてスピサンのパートを改めて聴いてみると、当時オーディエンスとして訪れた友人(というか、以前組んでいたバンドのヴォーカリスト)の「どこでノッていいのかわからない」と漏らした感想の意味するところがはっきりとわかります。要は、実際の演奏部分があまりにも少ないせいで、ライヴならではのダイナミズムやハプニング性に乏しいのです。

 この日、急遽前座出演が決まったせいで我々は全く練習する時間が無く、レコーダーからマスター演奏を流した上にシンセなどでお遊び的に音を入れ、歌う事を選択しました。仕方が無い事だったのですが、そんな事情を知らない聴く方としては楽しくないはずです。私も担当楽器はKorgのアナログシンセであり、あまりの会場の冷めっぷりに慌てて途中からギターを持ちましたが、時既に遅し、でした。

 元ヴォーカリストはドラマー不在を理由に挙げていたような記憶がありますが、ドラムレスで活動している人など山ほどいます。私と馬論の演奏の割合をもっと増やしてスリリングさを演出すれば良かったわけで、メンバー不足だけを原因にするのは浅はかでした。今頃この事に気付いたところで、最早どうしようもないのですが。

 

 Clackerbox Palaceの演奏の方は、決して悪くないです。私のギターも馬論のシンセもミスばかりですが、Cloud9氏の正確無比かつ気の効いた(それこそピート・タウンゼントのような)カッティングがプレイを盛り上げ、ちゃんと曲として成立させています。

 こっちのパートで私の演奏が酷かった理由を言い訳させて頂くと、この日モニターが全く機能していなかったせいで、自分の歌も演奏も全く聞こえないままでした。まさにツアー時のビートルズのような環境で演奏していたわけで、その点を考慮していただけると幸いです。

 思えば、過去に何度かライヴ経験はありましたが、一度もまともにモニタースピーカーが機能した状態で演奏した事がありません。それでも、今まではサイドマンに徹していたので、アンプやスピーカーの前に立てば自分のギターやコーラスの音はモニタリングする事が出来ました。それがこの時は、人生初のフロントマンとしてステージのセンターに立ったのです。ギターアンプPAスピーカーも離れた位置にあるので、モニターが生きていなければこういった事態になるのは避けられません。勿論、これはこれで貴重な体験でしたが。

 

 そろそろ、ミュージシャンとして復帰したい。そう改めて考えさせられる今回の音源発掘でした。来年は自分にプレッシャーを与えて、まずはソング・ライティングを再開させます。

*1:〔2016年1月11日追記〕#5に関しては、友人の奥さんに作詞してもらった別のニューウェーヴ/パンク調の曲だと誤認しておりました。先日偶然発見した、当時ステージで使った曲順とミキサーの調整用カンペにて、それが間違いだと気付きました。さらに、#4を演奏した事も完全に忘却していた始末。約9年もの間、ずっと勘違いしていた事になります。自分の記憶力がいかにあてにならないか実感するのと同時に、私自身もこのライブの記憶をあまり良いものは思っていなかった事が図らずも証明されてしまいました。