(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

2014 Music of the Year

 毎年恒例のこれを。今年も邦洋混合のランキングのみ。女性ヴォーカルのランキングは今年もやりません。

 

 

アルバムBest10

 

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1. Seven Dials / Roddy Frame

 名作Aztec Camera『High Land, Hard Rain』を思い起こさせる瑞々しさ、同時に渋い現在の姿そのままの熟成も感じさせる、大充実の新作。ロディ・フレイムの意欲は、ここに来て更なる若返りを遂げたかのよう。

 初めて聴いた時はライトに流してしまいましたが、今年最もシンプルに“良い曲”が詰まっていたのはこのアルバムだと再認識。1位に選出しました。Aztec Cameraの方向性も初期数作でネオアコの文脈から離れてしまうのですが、原点に立ち返ったような若々しい作品が非常に好印象でした。

 

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2.イーガジャケジョロ / Unicorn

 2009年の復活からフルアルバム2枚、ミニアルバム1枚と充実の活動を断続的に続けてきた彼らだが、ここにきて素晴らしい作品をドロップしてきた。テンションが高く、かつシリアスな名曲が多かった復活後の『シャンブル』『Z』に比べ、今作は復活前のおふざけと実験精神が蘇った快作。80~90年代のファンなら馴染み易く感じるだろう。電大(川西・手島・EBI)のメンツが元気なのも印象的。

 

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3. Playland / Johnny Marr

 まさかの2年連続リリース。昨年の『The Messenger』のヒットを受け、その勢いのままに制作されたようだが、前作を更に上回る張り詰めたテンションで一気に聴かせる。ジョニー・マー、遂にソロでの全盛期突入を強くアピール。

 

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4. Morning Phase / Beck

 大物の新作は、美しく透明感に溢れ、それでいてどこかに影を感じさせる繊細な楽曲が並んだ。Jason FalknerとRoger Joseph Manning Jr.参加が購入動機だが、実はこれが私の初Beck体験。良い作品でした。

 

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5. The Voyager / Jenny Lewis

 元Rilo Kileyのフロントマンでありシンガー・ソングライター、6年ぶりの3rdソロ。ライアン・アダムスやベックといったプロデューサー陣、及びPVにアン・ハサウェイ(やはり美人だ)などが出演と、豪華ゲストを迎えて制作。彼女のルーツであるカントリーをベースにしつつも、あくまで現代風にアップデートされた大らかなアメリカン・ロックをポップに聴かせる。良作。

 

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6. The Golden Echo / Kimbra

 前作1stの「Cameo Lover」が現代風ウォール・オブ・サウンドで大変気に入り、そんな中での待望の2ndがこれ。グッと方向性を変え、いわゆるディーヴァ路線に寄せてきた印象だが、ソング・ライティングの才能はもはや疑いようが無い。特にリード・トラックの一つ「Miracle」は今でも繰り返し聴いている。

 

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7. Hendra / Ben Watt

 なんと、名作1stソロ『North Marine Drive』から31年ぶりの新作。内省的なアコースティック・サウンドに、エレクトロニクスを組み合わせたら…末期Everything but the Girlの試みを更に深化させたような方向性。Roddy Frame同様、確かな手応えを感じさせる復活作。

 

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8. Lost in the Dream / The War on Drugs

 ディラン・ミーツ・エレクトロニクス。そのまんま、としか表現しようのない語りヴォーカルが、シューゲイザー的な深いエコーの中に沈んでいく。現代的なサウンドでディランを再現した意欲作。

 

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9. Atlas / Real Estate

 ディレイとリバーブの効いたクリーン・トーンのギターがドリーミーな音像を創り出し、儚いメロディとヴォーカルが溶け合っていく。特に驚きは無かったが、現代のサウンドの中に60年代や70年代を感じさせる意匠もあり、シンプルに良い作品だった。

 

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10. Tidal Wave / Young Liars

 これまたドリーム・ポップ的な作品。シンセとギターが美しいメロディを演出する。特にこういうジャンルが好きというわけではないのだが、ここ数年はこういう新作ばかり聴いている気がする。作品としては良い。

 

 ここ数年(特に2009年以降)は毎年これ!という年間1位の風格を漂わせるアルバムとの出会いがあったのですが、今年は最後までトップが定まらず、大変選出に苦心しました。ジェニー・ルイスなどに至っては、入手したのが本当にギリギリ。今年一年で聴いた新譜のレベルが低かったとは全く思いませんし、上位7枚はどれも甲乙付け難いのですが、ベストではないがベター、といった感じの作品が多かった印象があります。ただし、ColdplayMaroon5は個人的にはいまいちでした。

 そんな中でロディ・フレイムのアルバムを1位に据えたのは、やはりポップ・ミュージックに一番必要な「良い曲」をシンプルに揃えていた事に尽きます。ベン・ワットの作品共々、ニューウェーヴ世代のミュージシャンが今でもこれだけの作品を届けてくれるという事実が嬉しいです。

 今年は何といっても、ジョージのアップル・イヤーズ・ボックス、そして大滝詠一師匠の初キャリア総括ベストの発売がありました。この2つのニュースがあまりにも大きすぎて、新譜探しが疎かになってしまったのは確かです。

 

 決して楽な一年ではありませんでしたが、「Speak Like a Child」の終了やスピサンのライヴ音源発掘など、このブログ的にも様々なトピックがありました。来年がどのような年になるかはわかりませんが、自分なりに進んでいくだけです。

 今年もこのブログにお付き合い頂き、誠にありがとうございました。どうか皆様も良いお年を。