(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Some Holocron Vol.1

 特にこれと言った目的を定めず、気になったSW関連書籍の感想を書いていく企画。

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 今回の2冊は、このブログ記事のために購入。

 

 

『反乱者たち』

 

 『ロスト・スターズ』『レイア』(こちらは今回紹介し忘れたので、いずれ機会を改める)に続く、LINEコミックのSW作品第3弾。ここまでは海外版小説のみでビジュアル化されていなかった作品を取り上げ、フレッシュさに満ちていた一連の漫画化だが、今回は既に3DCGアニメも完結済みの作品を取り上げるに至ったようだ。

 その理由はよくわからないが、要はスピンオフ小説やコミックを求める購買者は、極一部のSWファンしかいないのではないか…という悲しい現実が浮き彫りになりそうな気がしてならない。本来なら、日本の漫画家の感性でSWである事と関係なく、ファンの新規開拓を達成してほしいところであるが、それも難しいのかもしれない。『反乱者たち』ならばアニメを楽しんだファンも多いだろうし、そこに訴求しようとしたのだろうか? 全ては推測でしかないが。
 ともかく、私自身『反乱者たち』の大ファンであるし、気になる事に違いはないので、ブログのネタ不足解消のためにも今回購入に至った。

 

 この作品も現代的な日本の漫画家の新解釈という点での楽しみ方を提供していて、一度観た作品であれど初心に返って楽しむ事が出来る。
 登場当初は小生意気なガキという印象が強かった主人公のエズラ・ブリッジャーも、かわいらしいデザインの王道少年主人公へと生まれ変わった。既に最序盤からその非凡なフォースの片鱗を見せており、そこが原作との大きな違いかもしれない(時間的な都合もあるのだろうが)。
 日本人のコミック化だからか、やはり米製3DCGアニメに比べればエズラ以外もかなりマイルドなデザインになっている。昨今のアニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』における猫娘ほどではないが、ヘラなどは随分親しみやすい見た目になった。一番美少女化しそうだったサビーヌは、原作と同様に尖ったデザインのままであるが。

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 マイルドな絵柄のせいか、妙に琴線に訴えてくるものがある。原作でもケイナンが意を決してライトセーバーを抜刀する場面には感激したが、この作品ではエズラが帝国に連れ去られた両親を回想するシーンで胸が熱くなった。
 原作が既に存在する作品ではあるが、その中でも新鮮な切り取り方が楽しめるという点では、今までの2作品と変わらないのではないかと思う。

 

 以前、この作品のファンタジックすぎる終盤の展開に苦言を呈した事があるが、あれも想像主たるルーカスが繰り返し訴えてきた「共生」というテーマに沿ったものだったのではないか、と最近自問自答するようになってきた。
 ルーカス時代から『クローンウォーズ』を制作し、この『反乱者たち』、そして現在は『マンダロリアン』で圧倒的支持を集めているデイヴ・フィローニ。翻ってディズニー主導で製作された続三部作。どちらがオリジネイターの魂を引き継いでいるか? わざわざ語るまでもないと思う。

 

 プリークウェルとトリロジーの橋渡し(ブリッジャー)となったエズラの物語。再び新たな視点から楽しめるのは喜ばしいが、果たしてどこまで続いてくれるのかは全くわからない。
 話を必要以上に長引かせず、その後をトリロジーと『ローグ・ワン』に委ねて大胆にカットアウトした印象があった原作『反乱者たち』だが、それでもシーズン4まで存在する大長編だ。翻って今回のコミックは、アニメのシーズン1の1話だけで1巻を使い切っている。どう贔屓目に見ても、とてもではないがフルで完走出来るとは思えない。
 上手くストーリーを端折りながら、シーズン1の15話程度(ケイナンと大尋問官の対決、アソーカ登場)まで辿り着く事が出来れば御の字といったところかもしれない。
 ひとまず、今後の展望を予想するのは続巻を参照してからでも遅くはない。近日中に購入予定。

 

 

スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ TVコミック』

 

 存在を全く知らなかったので、ついでに買ってみたもの。
 今まで出ていた事に気付かなかったのも当然で、2009年の7月にこの2巻が発売されて以来、続巻のリリースはストップしているらしい。企画として成り立たなかったようだ。事実、2010年にはDVDがこの単行本とほぼ同じ価格で廉価発売されてしまっては、もう存在意義を見出すのは難しいだろう。

 

 『クローン・ウォーズ』シーズン1序盤、その後のクローン達の歴史に重大な影響を及ぼすドミノ分隊の初任務、連れ去られたR2を奪還するアナキンとアソーカの奮闘、ジャージャーのいつものドタバタがパドメを救う3編を収録。
 TV放送された3DCGアニメをそのまま切り貼りしてコミック化しているが、カットの仕方にかなりの苦慮の後が見られ、詳細な動きを脳内補完しなければならない箇所が多々ある。私は原作を何度も観ている話が収録されているので、大体流れは把握している。よって読み進める事は可能だが、これが初めてのクローン・ウォーズ体験だとすれば、なかなか厳しい入口だと評するほかない。

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 ただし私のようなオタクとなると、僅か2巻で潰れてしまった企画に妙に愛着が沸いたりもする。SWの歴史の一部を確認出来た気分になり、これはこれで良かった。