(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Some Holocron Vol.2

 手元にあるSW関連書籍を簡単に紹介していく企画。

micalaud.hatenablog.com

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 今回は実家に残されていた2冊のうち、片方を取り上げる。最初はどちらの感想も書くつもりだったが、書き進めていくうちに意外な盛り上がりを見せてしまい、記事が非常に長くなったのでこのような措置を取った。

 

 以下、「続きを読む」から。

 

 

 予想以上に語りたい事が増え、内容が散らかりそうなので、目次を付けて整理する。

 

 

スター・ウォーズ 帝国の後継者(上)』

 

Contents

 

 

購入当時の状況

 私にとって、1991年~1996年は「SW空白の時代」であった。

 Wikipediaのデータを信頼するならば、初めて私が地上波TV放映でEP5を観たのが1990年4月13日、EP6が1990年4月15日。TV局の枠を超えて立て続けに放映してくれた事が記憶に残っているし、録画したビデオテープに残っている解説者がEP5は水野晴郎金曜ロードショー)、EP6は淀川長治日曜洋画劇場)なので、どちらもこの放送日で間違いないと思う。

ja.wikipedia.org

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 当時から「続編は時代を遡ってダース・ヴェイダーやオビワンの若かりし時代を描くらしい」という噂は流れており、映画好きの友人(東京の国立大学へ入学後から音信不通)と顔を合わせる度に話していた事を思い出す。

 だが、ただでさえ情報の遅い田舎街。インターネットも当然存在せず、確かな情報など一切入って来ない。前述の友人に頼んでトリロジー3部作(や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作)の映画チラシ等を通販で買ってもらったりもしたが、ともかく本家ルーカスフィルムが動いてくれない事には、SW熱をキープするのも難しかった。

 

 上記2作の地上波放映以後数年間に渡り、多感な時期だけあって私の人生に残る重要な出来事が次々に起きた。楽器への興味、The Beatlesとの出逢い、自身のバンド結成、友人のコピーバンドへの参加とライブ活動、HR/HM知識の吸収、対戦格闘ゲームへの傾倒と決別、家庭用ゲームへの復帰、ギター購入、Jリーグ開幕、TMN“終了”、今年完結編映画が公開中の某アニメ作品の一大ブーム(私は積極的に関わったわけではないが)、『The Beatles Anthology』地上波TV放映&アルバム発売、その他私自身を取り巻く環境の度重なる変化…など、映像作品の公開されないSWだけに忠誠を誓うにはあまりにも厳しい状況である。

 結果として1997年の『特別編』劇場公開により、私自身もSWへ「帰還」し、来るべきEP1への期待で胸を高鳴らせるわけだが、ともかくこの空白期間に経験した唯一と言っていいほど数少ないリアルタイムSW体験、それがこの『帝国の後継者』であった。

 

 この文庫本購入時に付いていた帯には、堂々と「続編」の文字が躍っていた。つまり映像作品ではないにせよ、あのEP6の続きを読む事が出来るのである。ルークはジェダイとして更に成長した姿を見せてくれるのか。ハンとレイアは夫婦となり、新共和国のために尽力していくのか…何の迷いもなく、地元の本屋で見かけた瞬間にレジに持って行った事は間違いない。本のどこにも創造主である「ジョージ・ルーカス」のクレジットがない事にも、無知で幼かった私は何の疑問も持たなかったのである。

 だが、現在実家に残っているのはこの上巻だけ。他のスピンオフ小説は勿論、この『帝国の後継者』の下巻すら購入していない。それどころか、どんな話だったか全く記憶に残っていないのだ。

 実はこの作品こそ、後に続々と刊行されるスピンオフ小説の嚆矢であった。私がSWのスピンオフという概念が何たるかを知るのは『週刊スター・ウォーズ ファクトファイル』が発売される2002年(ちょうど『帝国の後継者』上巻発売から10年後)まで待たなければならないが、そういった作品に大きな影響を与えているのが、今作の著者ティモシィ・ザーンの書いた「スローン3部作」であるらしい。これはその最初の作品である。

 ブログ記事のネタも枯渇しており、こういった機会でなければ二度と読み返す機会はないだろう。思い切って再読してみる事にした。

 

 

粗筋

 エンドアの戦いで第2デススターを破壊し、帝国に勝利した反乱同盟。それから5年、首都惑星コルサントを奪還した彼らはモン・モスマを最高議長に据え、新共和国の樹立を宣言していた。

 帝国は支配領域を全盛期の1/4にまで減らし、ほぼ戦いの趨勢は決したかに思われていた。だが皇帝パルパティーン亡き後、かつて人間種族至上主義銀河帝国で冷遇され、未知領域(アンノウン・リージョン)へと派遣させられていたエイリアン種族(チス)のスローン大提督が台頭。その圧倒的な軍事統率能力で、失地回復を虎視眈々を狙う。

 スローンは手始めに、堕ちたダーク・ジェダイであるジョルース・シボースと不本意ながら手を組み、ルークとレイアをつけ狙う。彼らジェダイが戦いの鍵を握ると確信しているからだ。スカイウォーカーの血を引く2人が頼るべき新共和国上層部は不毛な主導権争いに明け暮れ、なかなか意見の一致を見ない。それどころか、レイアの所在を帝国側に内通する者さえいるのではないかという疑いまで出始めた。

 フォースを通じて、ルークを呼び続けるシボース。暗黒面(文中では「暗い側面」)の罠と知りつつも、フォースの探求のために1人Xウイングを駆ってシボースを探すルーク。狙われたレイアはチューバッカの力を借り、彼の母星キャッシークへと身を隠す。妻のために囮役を買って出たハン、そんな旧友に手を貸すランド。だが、スローンの鋭い洞察力の前には、彼らの計画は全てお見通しであった…。

 

 

2021年に感じた事

 勝利を果たしたはずのルーク達だが、全編に暗く不穏なムードが漂い続ける。少なくとも冒険活劇のような明快さは一切なく、EP5を範としたような重厚な話だった。

 反乱同盟の勝利目前で協力を申し出た者が英雄であるアクバー提督と張り合ったり、そのアクバー提督自身もあくまで軍人であるため政治には暗かったりと、新共和国が一枚岩ではない事が繰り返し強調される(急激に老け込んだ、とハンに評されるモン・モスマの様子でもよくわかる)何ともよくある話で、この諍いも非常にリアルに感じられた。

 そのせいで、レイアやルークが狙われても、新共和国軍が一丸となって守ってくれるわけでもない。まともに動かせるのは、ウェッジ(・アンティリーズ)率いるローグ中隊(文中では「ローグ編隊」)くらいという状況。加えて、スローンの名将ぶりが主人公達の劣勢ぶりを決定的にしている。

 

 恐らく、当時の私からすれば、この話は気に入らなかったのだと思う。英雄は一度危機に陥らなければその後のカタルシスは生まれないとはいえ、全編に漂う閉塞感はかなりのものだ。

 同時に、とにかく登場人物達が具体的なイメージとして描きにくく、話としてわかりにくかったのではないだろうかルーク、レイア、ハン、チューイ、R2、3PO、ランド、オビワン、ウェッジといったすでに登場しているキャラクターはともかく、この小説で初登場する主要人物たちの姿をイラストでわかりやすく示してもらえないのが致命的だった。

 当時私が愛好していたジュブナイル小説ライトノベル)では、表紙で1枚、カラーの口絵が4枚(見開きで2ページ、それ以外に1ページずつ)、文中でモノクロの挿絵が5~10枚程度と、登場人物をビジュアルで認識しやすいようになっていた。

 しかし、この作品は挿絵も口絵も一切存在しない。存在するのは表紙のイラストのみだ。SF小説としては普通なのだろうが、ラノベキッズにはなかなか辛いものがある。

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 今でこそ、左端の人物がスローンだとわかるが…これではあまりに小さすぎるだろう。真ん中で両手を掲げている人物は恐らくシボースだと思われる。これは今回初めて気付いた事だ。まるでこの老人が、『帝国の後継者』であるかのように見える。実際、今回読み直すまでずっとそう認識していた。

 

 しかし、この小説の購入時から遥か長い時が流れた。あれから『特別編』とプリクエルが制作され、アナキンやオビワンの哀しい歴史を知る事が出来た。更に『クローン・ウォーズ』でクローン戦争の詳細を、『ローグ・ワン』『反乱者たち』で名もなき反乱者達の苦闘を、『ハン・ソロ』でハンの若き日々を堪能している。そして、ディズニー買収後のシークエルという苦い記憶が傷として残った事も忘れてはいけない。

 SWの正史を知り、スローン、マラ・ジェイドなど登場人物達の何人かをはっきりとイメージ出来るようになった今読み返すと、意外なほどに楽しめる作品なのである。この重苦しいムードも、EP3や『クローン・ウォーズ』を経験した今となっては非常に興味深いものだ。

 

 

著者ザーンの試行錯誤の跡 

 勿論、この小説は正史(カノン)ではなく、現在では非正史(レジェンズ)扱いである。読み進めてもSWの歴史としてカウントは一切されないし、言わば完成度の高い同人誌を読んでいるようなものだ。だが、公式で出来の悪い同人作品を作ってしまったシークエルに比べれば、ずっと志の高さを感じられる。

 少なくとも、登場人物たちは行き当たりばったりのシナリオのためにキャラクター設定の大前提を引っ繰り返されたり、その尊厳を傷付けられるような事はない。

 

 この物語のために、ザーンはどこまでルーカスとディスカッションしたのであろうか。恐らくは全くそういったものは行われていないのであろうが、トリロジーの数少ない情報を最大限に活かし、想像力を働かせて様々な設定を拡大解釈している点は評価に値する。

 フォースの解釈、ジェダイの修行、クローン戦争の具体的内容、旧共和国時代のジェダイの在り方、ライトセイバーの剣技などなど。どれも後に詳細に掘り下げられる要素だが、当時は公式設定が存在しなかったものばかりだ。勿論、2021年現在から見れば解釈があまりにも違うものの方が圧倒的に多いが、その創意工夫ぶりは決して一笑に付していいものではない。

 

 特に、「ヨーダがダゴバに身を隠す事が出来た理由」はかなりの説得力がある。ルークがヴェイダーの幻影と対決し暗黒面の恐ろしさを味わった洞穴。あそこにはダークサイドのフォースが潜んでおり、それがヨーダの持つフォースと干渉しあう事で、皇帝やヴェイダーからの捜索を拒んでいたのではないかというものだ。上手く考えたものだと感心する。

 この推論を打ち立てたのはルークだが、それに対して「皇帝とヴェイダーはヨーダを元々知らなかったんじゃないかしら」と返すレイアが、現代の視点からするとなかなか可笑しい。史実ではアナキンの直系の師匠筋(ヨーダ→ドゥークー→クワイガン→オビワン→アナキン)にあたり、パルパティーンとは互いにジェダイ評議会の長と最高議長という立場として何度も接触していた(あまつさえEP3の最後では直接対決する)ヨーダが2人と面識がないわけがないのだが、当時は直接的な接触が語られなかったため、レイアの言っている事は全く的外れではない。事実、トリロジーの劇中ではヴェイダーもヨーダの名を一切挙げず、繰り返し「オビワン、オビワン」と言っていた。お前はどれだけ師匠が好きなんだよ、という話だ。

 

 ジェダイとしてのフォースの使い方も、相手のフォースに直接働きかけるテレパシーのような会話が多用されている。Xウイングがトラブルを起こし、思わずレイアに助けを求めてしまうルーク、まだ見ぬルークへとコンタクトを試み続けるクボース。これらは言うまでもなく、EP5終盤でクラウドシティのアンテナに掴まって危機に陥ったルークが、レイアをフォースで呼んだシーンを拡大解釈したものだろう。

 この作品でのフォース・テレパシーでの交信が、あのEP8でレイとカイロ・レンが度々行っていたフォースの使い方に非常に似通っている、というのは何とも皮肉なものだ。

  元々ジェダイの長だったと主張するクボースは、ルークやレイアといったジェダイの生き残りと接触するため、帝国の力まで借りて捜索を試みている。手段を選ばない点といい、若きフォース感応者への執着といい、シスそのものである。勿論、当時はシスという概念が存在しなかったため、悪のフォース使用者は全て「ダーク・ジェダイ」と呼ばれているのだが。

 「ジェダイの長」という表現もよくわからない。当時はジェダイ評議会という設定もなく、ジェダイ達の育成方法やコミュニティがいかなるものだったかも決められていなかっただろうから、著者ザーンの中ではどのような世界が描かれていたのか気になる。この作品世界では、ヨーダなどと並ぶ存在だったのだろうか。

 

 

『帝国の後継者』が正史に与えた影響

 作品発表当時と違い、今の我々には作品が出揃った現代の視点がある。オタク的な楽しみ方であるが、こういったカノンとの矛盾を挙げて考えを巡らせるのも、レジェンズの魅力なのではないかと思う。

 レジェンズ作品とはいえ、名作であるが故に後続作品に与えた影響は大きい。それはスピンオフ作品は勿論、カノンの映像作品にもしっかりと爪痕を残しているのだ。

 最大の金星は「コルサント(文中ではコルスカント)」だろう。プリクエルや『クローンウォーズ』では最重要ポイントと言ってもいい銀河の中心地は、この作品が初出だ。ジェダイ聖堂、銀河元老院会議場、パルパティーンやパドメのオフィス、オビワンとアナキンが刺客を追ったバー…数々の歴史的スポットがあり、プリクエルの重要な事件は殆どここで起きている。これだけでも『帝国の後継者』には存在意義がある。

 時代設定は違うが、スローン大提督と彼の用心棒ルクはほぼそのまま『反乱者たち』で正史化した。

 特にスローンは、正史にて生まれ立ての反乱同盟を幾度となく追い詰めた。作戦の失敗は、全て無能な部下が彼の指示を守らなかったためである。芸術を愛で、各惑星や民族の文化や伝統的なアートから歴史を紐解き、その特性を探って軍事的勝利に繋げるのは『帝国の後継者』そのまま。長年スピンオフを読み続けてきた熱心なファンには賛否両論あるのだろうが、それでもきっと約四半世紀越しの映像化は感慨深かったのではないかと思う。

 「元皇帝の右腕、後に憎んでいたルークの妻となる」という荒唐無稽な設定故に今後もカノン化は難しいであろうが、ファンに好評を博したキャラクターであるマラ・ジェイドもこの小説で初登場。『ファクトファイル』では、映像化の予定がないのにキャストが決まった事が取り上げられており、その人気ぶりがよくわかるエピソードだ。我が日本では、美少女フィギュア化までされた。

  もっとも、ルーカス本人は一番嫌いなスピンオフキャラだったらしいが(ルークと結婚したのが一番の問題だったらしい)。

 

 ルーカスが作ったプリクエルの時代でさえ、映像作品によって正史が書き換えられる事に不満を持つスピンオフのファンが多かったと聞く。だがこうやって見てみると、ルーカスは上手く良いアイデアだけをピックアップして自身の創作に活かしているように思う。それは、彼の精神を受け継いだデイヴ・フィローニも同様である。

 むしろ、スピンオフを愛していた人なら今こそ不満の声を上げるべきではないだろうか。SWファンの中には、スピンオフの荒唐無稽な内容に懐疑的な視線を向けている者も少なくなかったように思うが、今では「こんな事になるのなら、まだスピンオフの方がマシだった」という見方が大半を占めているのには乾いた笑いしか出てこない。私自身も全くの同意見だ。

 

 

スター・ウォーズの鉄人! とWookieepediaのない時代に

 『帝国の後継者』には、巻末に用語一覧が付属している。

 SWの日に合わせてわざわざ書庫から引っ張り出したわけではなく、実はこの記事を書くために読み直していたのが5月4日当日とその前日だった、というだけの話だ。本当にただの偶然である。

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 ラインマーカーを駆使して単語にチェックを入れているが、別に暗記しようと思っていたわけではなく、重要だと思った用語をいつでも参照出来るようにしただけの話だ。半分以上がレジェンズ化してしまう設定なのに何とも意地らしい話だが、当時はとても貴重な資料だったのである。

 2021年現在の視点で、何となく目に留まったものをピックアップしてみる。

 

 当時はどんな姿かすら全く想像もつかなかったこの生物も、後に『クローン・ウォーズ』で映像化。

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 惑星ヴァンコアに不時着したオビワンとアナキンが、この生物相手に師弟でドタバタ劇を披露。結局アソーカに救出されながらも、互いに素直に非を認めようとしない場面は微笑ましく印象的だ。

 

 ここでは「ジゲル人」表記だが(後世から読み直すとこの手の表記ゆれが非常に多い)、上記同様に『クローン・ウォーズ』にて奴隷商人の「ザイゲリア人(ザイゲリアン)」として登場。

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 奴隷出身のアナキンに「ザイゲリア人は屑です!!」と暗黒面剥き出しの言葉を浴びせかけられた種族に、事実オビワンとレックスは多大な苦しみを負わされる事となる。

 

 ちなみに、「クローン戦争(Clone Wars)」の欄には「かつて共和国が大敗して帝国が政権を握るきっかけとなった戦争」とある。この時点で共和国の敵勢力はどのように設定されていたのだろうか。勿論、形の上では共和国が独立星系連合(分離主義勢力)に勝利した戦争であり、正史とは異なる記述ではあるが、ある意味で共和国の精神は完全に敗北したのであって決して間違いとも言えない。

 クローン戦争はパルパティーンが自らの地位をあくまで合法的に手に入れるための戦争であり、周到に仕組まれたものであった。命を賭して戦ったジェダイも、クローンも、分離主義勢力も、ドロイド軍も、全てはパルパティーンの掌の上で踊っていただけであり、勝者は彼一人だけである…トリロジー当初から語られ続けていたクローン戦争を、ありきたりな戦争という形にはしなかったルーカス。やはり天才と言うほかない。

 

 

 総評

 長い時間を経て生まれた正史と非正史の違いや、後世から見た比較が面白く、ついつい文章が長くなってしまった。まさか、私自身もこれほどまでに筆が進むとは思わなかった。

 功罪あったとはいえ、映像作品が絶えていた時代のスピンオフ小説はSWファンにとって渇きを癒すオアシスのようなものだったはず。その起点となったエポックメイキングな作品だけあって、かなり骨太な内容だった。後世の映像作品でビジュアル面の補強が出来た点を抜きに考える事は難しいが、SF小説として面白い作品であるのは間違いない。

 台詞も所々首をかしげたくなるような言い回しもあるものの、概ね登場人物のイメージ通り。脳内では、完全にこのキャストでボイス再生されていた。

ルーク:水島裕

ハン:村井国男

レイア:島本須美

ランド:内海賢二

3PO:野沢那智

ウェッジ:大塚芳忠

アクバー田村錦人

オビワン:滝田裕介

スローン:山野井仁

ルク:(声優名不明だが『反乱者たち』で担当した人)

モン・モスマ:さとうあい

 トリロジーの登場キャラは最初に観た日テレ吹替版、それ以外は最新の『反乱者たち』のキャストである。モン・モスマも旧作キャラではあるが、EP6ではそこまで出番がなく、その後出番が多かった『ローグ・ワン』『反乱者たち』ですっかりイメージが上書きされてしまったので、ここでは日テレ版の高畑淳子ボイスでは脳内再生されなかった(この人の声もはまり役だったとは思うが)。

 

 ザーンが著したスピンオフ初期の小説、『帝国の後継者』『暗黒の艦隊』『最後の指令』は“スローン3部作”とされ、ベストセラーになったようだ。全てが上下巻なので、合計6冊。今からレジェンズ化してしまった作品を全部読む気力はとても湧いてこないが、この3部作は読む価値があると思った。手始めに、29年越し(そんなに経つのか…)に下巻を購入したいと思っている。