(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

Twitter and the Monkey Man Autumn 2017 & Winter 2018

 昨年のツイートを確認してみたら、11月は全くツイートをしていなかったようです。

 どこかに書いた記憶もありますが、自分にとってツイッターは息抜きであり、ちょっとした楽しみのうちの一つでしかないので、誰かと本気で論議したり、自分を売り込むためのツールとしては利用していません。

 よって、息抜きのためのSNSでストレスを感じるのは本末転倒なので、気が向かなければツイートしないという形を取るのは自然な事です。

 

 またしてもロック界のスーパースターが一人 、別れを告げ旅立っていきました。

 トム・ペティ、本国USAでは国民的人気を誇るミュージシャン。勿論、ジョージとの親密ぶりで私は彼を知っています。『Living in the Material World』では比較的若い出演者だったのに、この一報には本当に驚き、ショックを受けました。

 Traveling Wilburysも、これで残りは2人。ディランとリンにはこれからも走り続けてほしいと切に願うのみです。

 

 そして、ここからまさかの展開。永遠に終わらないと思われていた工事ですが、遂に先月中旬、快速上りホームにホームドアが姿を見せたのです。

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 そして、次の週末には快速下りホームにも出現。驚くべき展開を駅の利用者は固唾を飲んで見守っているはずですが、そこから一ヶ月近く経過した今でも、これらのドアは未だに稼動していません…今年中に動けば御の字ですかね。

 

 追い抜きという行為に異常に怒りを沸騰させる人が意外に多いこの世の中、この手の人種が存在するのも確かに事実です。ハンドルを握るという事が、正常な判断力を失わせるのでしょうか。ドライブレコーダーを購入したという話を周囲でもよく耳にしますが、これだけ余裕がなかったり、はたまた危険運転に悦びを感じてしまう人間が多いと、その判断も決して行き過ぎではないのだろうと感じてしまいます。

 

 『おんな城主 直虎』の感想を書いていませんでしたが、一応は一年間観たので十分楽しんだという事になるのでしょうか。

 過剰演技やドタバタ演出で笑いを生み出したかったのでしょうが、個人的にはその全てが効果を挙げていたようには思えず、観ていてストレスを感じる事が多々ありました(特に子役で引っ張った序盤)。視聴率の面で苦戦が続く大河ドラマ、反面常に20%近くの高い数字を取り続ける朝の連続小説。そこにあやかるため、大河もどんどん朝ドラ化しているのではないか…と分析しておられる方もいらっしゃいましたが、個人的にも同感です。

 SWEP8同様、付いていけない方が守旧派で悪しきものとされるのかもしれませんが、率直に言えば好みではありません。

 

 この記事に書いた御寺の事です。

micalaud.hatenablog.com

 全4回登場したという事になりますが、特にこの御寺らしい特徴的な画というわけでもなかったので、予め伝えられていないとわからなかったと思います。とはいえ、個人的には厄除けをお願いしたお寺がこれだけ何度も画面に登場するとは思わず、なかなか楽しい体験でした。

 

 酒々井です。訪れようと思えばいつでも行ける場所ですが、アップダウンが激しすぎてもう一度歩こうとは思わない道です。 

 近くには、こんな名所がありました。

【酒々井町】飯積の大杉/千葉県公式観光情報サイト-まるごとe! ちば-

 こういう偶然の出会いにこそロマンがあるというものです。

 

  事前に全く知識がない状態で行ったせいか、正直驚きの内容でした。予想していたものとは大きく違いましたし、正直お金のかけ方を間違った方向に振り切っていた作品という感もありますが、個人的には楽しめました。

 中国での公開タイトルは『妖猫伝』という事で、空海を前面に押し出した事が日本の鑑賞者の認識に齟齬を生んでいたように思います。前述の『おんな城主 直虎』でも人気を博した高橋一生がメインキャスト(白楽天=ホアン・シュアン)の吹替えを担当していましたが、なかなか自然な演技で上手いなと思いました。後から彼が参加していた事を知ったくらいです。

単なる八月日記

 2018年大河ドラマ西郷どん』。西郷隆盛が主人公である事も含め、当然ながら興味深く観ている。

 いつもならば敬愛する中岡慎太郎の登場回数や時間でやきもきするところだが、『龍馬伝』以降はもう何も期待しない事にしている。今作では嫌がらせの如く龍馬の使い走り役に甘んじているが、もうそういうものだと思って受け入れるしかない。

 

 さて、大河ドラマでは歴史の勝者である西郷の生涯を振り返るわけだが(征韓論以降の人生はひとまず置いておく)、敗者の側にも目を向けねばならないのは歴史を学ぶ上で不可欠である。そこで、新政府軍に上野で惨敗を喫した彰義隊の足跡を辿ってみる事にした。

 というのは後付けで、本当は近場の歴史散歩ルートを巡ってみたかっただけである。

allabout.co.jp

 内容は、この記事を参考にした。ほぼ丸パクリとも言うが。

 

 まずは、上野恩賜公園からスタート。

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 いつも西郷の銅像に目を奪われてしまうが、すぐ近くにあるここが彰義隊の墓碑とは知らなかった。不勉強と洞察力のなさを恥じるばかりである。

 余談だが、松田優作主演『探偵物語』第5話「夜汽車で来たあいつ」にて、水谷豊と原田美枝子の兄妹が一時の再会を果たすラストシーンのロケ地は、恐らく西郷隆盛銅像の前だと思われる。

 

 今回は予定ルートに入っていなかった(前述記事に含まれていないため)寛永寺

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 道を間違えたせいで寄ってしまう事になったが、彰義隊創始の地であり、終焉の地でもある。まるで吸い寄せられるようにここへ来てしまったので、当然寄るべき場所であったという事だろう。

 前回訪れたのはこの記事の時だから、何と9年ぶり。時代は流れる。

blog.goo.ne.jp

 前回は夕方の来訪だったせいか門が閉まっていたが、今回は中に入る事が出来た。

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 とはいえ、境内まで入る事は叶わない。そこから先は檀家の方以外入れないのは、前回来た時と同じである。

 徳川綱吉の霊廟であり、天璋院篤姫の墓地でもある、という内容の案内板を確認しつつ、次の場所へと向かった。

 

 その目的地である羽二重団子本店だが、Google Mapが示す場所をうろついても全く見つからない。思わず自分の方向感覚の無さや、まともに作動しないスマートフォンを買い換える余裕の無さを呪いかけるが、何という事はない。この店は現在改装工事中で、白い壁に覆われていたのであった。さすがにこれでは気付かない。

 工事を知らせる案内に別店舗の利用を勧める文言があったので、そちらに向かう事にした。本来ならば上野戦争にて使用された砲弾が展示されているという事だが、これを確認するのは残念ながら次の機会という事になる。

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 日暮里駅前にあるカフェ風の店舗にて、団子セットを頂く。餡子の団子を食べるのが久方ぶりという事もあり、大変おいしかった。

 前述の記事によれば、生き残った隊士達は本店の羽二重団子の店舗で慌しく着替え、日光・会津方面へと逃走して行ったらしい。その際に団子を食べる余裕は無かっただろうが、開戦前にはきっとここで舌鼓を打つ機会もあったに違いない。

 夏目漱石正岡子規といった明治の文豪達にもここの団子は取り上げられているようで、そういった関連の資料も置いてあった。写真のピントが合っていなかったので今回は掲載しないが、いずれまた行ってみたい。

 

 日暮里駅を降り、JRの線路を眼下に望む高架橋を渡る。更に谷中銀座方面へと御殿坂を少し歩いた先に、経王寺という御寺がある。

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 街歩き番組の影響か、観光客は多いものの殆どが通り過ぎていたこの御寺。ここにも敗走中の彰義隊隊士が逃げ込んだようだ。

 それを生々しく物語るのが、山門に残る無数の弾痕。

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 これだけはっきりと残っているのは貴重である。京都にて、三条大橋新撰組によるとされる刀傷や、蛤御門の弾痕も見つけられなかった私だが、このくらい無数に残っていればさすがに発見出来る。戦闘の激しさを雄弁に物語る痕跡だ。

 

 この日も気温はどんどん上昇中で、さすがにこれ以上は危険と判断した。

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 御参りしてから、山手線に飛び乗り思い出の地である池袋へと向かう。充実した一日であった。

他に報告は?

 EP8の不満点や問題点を具体的に挙げる、と昨年末に書いたまま、ずっと感想文の執筆を投げ出したままです。

micalaud.hatenablog.com

 既にどこかで書いたと思いますが、SW本編の事を出来るだけ考えたくない、というのがその理由です。それほどの喪失感を味わった作品でしたし、さして楽しいわけではない日々の中でわざわざネガティブな事へ意識を傾けたくないという気持ちがあります。作品について考えようとすると思考が混濁するので未だに考えもまとまらず、大脳が自動的にSWに関しての作用にブロックをかけているのでは、とすら思うほどです。
 有名SWブロガーの方が「問題点を挙げるまでもない、観ればわかるはず」と書いてEP8肯定論者の人々に批判を受けていたようですが(詳細は未確認)、率直に言えば私も同意見です。

 

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 私がここまでSWの末路に対して動揺している事に、困惑しているのは他ならぬ自分自身なのですが、そんな状況を周囲に揶揄される度「自分はそんなに頭の固い人間だったのだろうか?」と真剣に悩み、少なからず傷付いていました。
 事実、公開当時はツイッターを検索すれは否定派ファンを皮肉る進歩的ファンや、評論家の絶賛ツイートが拡散されていました。その事が、余計に私の戸惑いを強くしていきました。そんなにこの映画を不満に思う事に問題があるのだろうか、と。

 

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 ですが、BDのAmazonレビューやこのような動画を見る限り、私だけが偏屈で頑迷な考えを持っているわけではないようで、最近ようやく一安心したところ。むしろ、最近になってそういう論者の人が増えている感もあります。多くのファンも私と同じように、戸惑いつつも現実を冷静に振り返る事が出来るようになったのかもしれません。個人的な都合の良い解釈かもしれませんが。

 もっとも、SWサーガ、何より映画として決定的に破綻しているものも無条件に受け入れるなければ「バランスの取れたファン」と呼んではもらえないのならば、自分は「原理主義者」「守旧派」と呼ばれても全く構いません。

 

 EP8の余波は、確実にファンの間に広がっていると感じています。

 先日放映され、BD発売も告知されたスピンオフ映画『ハン・ソロ』。日本公開前から"本国では不入りで、日本での興行収入も危ぶむ声が聞こえてきました。

theriver.jp

 このニュースによれば、映画公開の連続で観客がSW疲れしたのが大きな原因ではないか? という推測がされていますが、それだけが理由だとは思えません。何故、EP8に失望したファンが離れたという推論が出てこないのか、非常に疑問です。

 

 今思うのは、今までSWにお金を落としてきたファンを強引に振るい落として、共存の道を放棄するような「新しいSW」の作り方をした事に対する疑問です。
 当然世代交代が必要なのはどの世界でも同じだと思いますが、ソフトランディングする手段はいくらでもあったと思うのです。何より、ルーカスがSWで描きたかった事は「共生」でした。イーウォックの活躍しかり、ミディクロリアンの概念しかり。現在の状況は、クリエイターの志を踏みにじるかのような道を歩んでいるように思えます。
 そして、そのツケは興行収入の低下として顕在化してきている。新たなファンが買い支えてくれれば問題ないのですが、わざわざ少なからぬお金を落としてきた(そしてきっと今後も落としたであろう)古いファンを不快にさせる必要性はあったんでしょうか。

 

 ルーカスフィルムのディズニー買収によって、ストーリー半ばで中断させられていたアニメシリーズ『クローンウォーズ』。当初の予定よりも短縮されたままとはいえ、先日ファイナルシーズン制作の発表がなされました。これも、ディズニーの旧来ファン流出に対する焦りなのではないか? と考えているのですが、邪推でしょうか?

jp.ign.com

 誤解して頂きたくないのは、私はディズニー作品を全て否定しているわけではありません。本編に関しては置いておくとしても、『反乱者たち』『ローグワン』『ハン・ソロ』に関しては非常に楽しませてもらっています。特に『反乱者たち』に関しては、プリクウェルとトリロジーのスピリットを引継ぎ、現代的解釈を取り入れながらEP3と4の間を橋渡しした傑作だという評価です。

www.cinematoday.jp

 EP7の前日譚『レジスタンス』に関しては、『反乱者たち』のような入れ込める要素がない(EP7以降の世界観や登場人物に思い入れがないため)のであまり期待していませんが、一連のアニメ作品を手がけてきたデイヴ・フェローニが引き続き制作するそうなので、一定のクオリティは保たれた作品になるのではないかと思われます。

 

 閑話休題。評論家の皆さんがEP8をべた褒めしている事に対し、私はかつての大久保嘉人の如く「金もらってんのか!?」などと暴言を吐くつもりはありません。ですが、言葉足らずな上に、否定的な感情を持つファンへ挑発的な発言をする必要はなかったのではないかと思っています。絶賛するにしても、もう少しやり方があったのではないかと。

 EP8の内容に失望したファンの中には、これで完全にSWを見限った方も少なくはないようです。私はそこまで決心が付いておらず、これからは今まで通り葛藤しながらも、自分なりのディズニーSWとの付き合い方を模索していこうと思っています。EP9も、一応1回は劇場に足を運ぶつもりです。どういった結末であれ、ここまで心をかき乱してくれた3部作を見届ける資格はあると思うので。

Japanese way of football (?)

 ロシア大会が良い内容だった、と思うのには、当然我らが日本代表のまさかの大健闘も要因として含まれる。2010年ワールドカップを例に出すまでもなく、激しい批判に晒された土壇場の状況で予想を覆す、これが武士(もののふ)の魂というものなのだろうか。

micalaud.hatenablog.com

 このような記事を大会前に書いて不満を表明した私だが、いやはや素直に感服した。ガンバ大阪時代に散々見せられた西野監督の剛胆な采配、そして無類の勝負強さ。懐かしさすら感じ、その能力を世界トップレベルの場で発揮している事がとても頼もしかった。
 勿論、トップレベルの舞台で物怖じせず”自分達のサッカー”を貫ききった選手達にも、ただただ脱帽である。

 

 前回の記事で「高速化し、インテンシティが求められる」と書いたばかりだが、日本はそこに逆行するようにボールを保持し、パスやドリブルで崩すサッカーを貫徹した。そのイノセントさ、ピュアさにはある意味感動すら覚える。Beautiful Dreamerである、とでも世界のサッカーメディアには評されてされているのだろうか。
 しかし、世界の流れに逆行する、夢物語のような理想のサッカーで、どっこいしっかり強豪国に通用してしまったのもまた、今回の日本代表。これが田嶋JFA会長が連呼するジャパンズ・ウェイなのだろうか? ある意味で将来の日本サッカーにヒントが見えた大会だったのかもしれない。
 もっとも、今回のサッカーは香川・乾・原口・柴崎・大迫の誰を欠いても成立しなかったのも事実で、対戦国に徹底的に研究された場合やゲームがプラン通り運ばなかった場合に第2、第3のオプションは存在するのか。その点に関しては甚だ疑問が残り(既にベルギー戦でその課題は浮き彫りになっている)、安易にこの成功体験に浸るのは危険であると考える。

 サンフレッチェ広島で結果を出し、今回のコーチ陣に加わった森保一氏が新監督に就任し、新たな船出を決めた日本代表。
 田嶋会長は徹底的に日本人指導者に拘っているようだが、あまり視野狭窄にならず外部の血も程良くブレンドしてほしいと思う次第。例えば、アドバイザーにベンゲルを呼ぶという報道があったが、悪くないアイデアだと思う。もしくは、コーチ陣に海外から適任者を呼ぶのも一つの手だ。

 

 今大会は巷にサッカーの話題が溢れていた事を実感として持っている。それは日本敗退後もあまり変わらず、とても驚いた。
 かつてJ開幕時、サッカーに一切興味のない友人達に一人でリトバルスキーや釜本の話をして煙たがられた事や、上京時に周囲に見せ付けるようにサッカーマガジンを読むも、一人空しさを感じていた事。そんな記憶を思い起こすと、隔世の感とはこの事だ。

 やはり、日本が結果を残したり、南米国相手の初勝利(前回大会のリベンジも含む)、セネガルのシセ監督が話題を呼んだり、ポーランド戦のパス回しが議論の種となったり、優勝候補のベルギーをあと一歩まで追いつめたりと、毎試合非常に話題に富んでいた事が要因として考えられる。

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 だが何よりの原因は、弱小国と自国民にも認識されていた日本代表が、自分達でボールを回し、過度に守りを固める事なく試合をコントロールした。何よりそんな戦いぶりがある程度成果を挙げ、視聴者の共感や驚きを呼んだ事によるものではないだろうか。

 眠い目をこすりながら息を潜めて観た1995年のインターコンチネンタルカップで、アルゼンチンやナイジェリアに成す術なく粉砕される。初出場の1998年フランスワールドカップでは勝ち点すら挙げられなかった。
 そういった体験をサッカー観戦歴が浅い時代から散々見せ付けられてきた私としても、今大会の結果は大きな驚きだった。日本代表が、世界の強豪を相手に引く事無く、“当たり前のように”攻めてゴールを奪っている。この感覚、往時からすれば考えられない。親善試合ならまだしも、ワールドカップでそんな試合運びをしているのである。本来はこんな事で喜んでいてはいけないのだが、年季が入ってきたファンからすれば、どうしてもそういう感覚が抜けないのだ。

 大迫のようなポストプレーをこなせるFWは初めて観たし、試合ごと、いや時間ごとに着実に成長していく柴崎の頼もしさときたら、感動すら覚えた。

 

 もっともっと、日本人にとってこの競技が身近になる事。それを切に願う。今大会の健闘は、その第一歩になるかもしれない。

 

 代表とはあまり関係のない話だが、我らがジェフユナイテッド千葉は次回のカタール大会までにJ1昇格を果たせているのだろうか? The answer, my friend, is blowin' in the wind...

Back in the R.F.

 2018年ワールドカップが終わりました。勝者こそ候補の一角であったフランスだったものの、世界中のサッカーファンの予想を覆し続ける、サプライズの連続となった大会でした。

 

 トーナメントの山がはっきりと強豪国・中堅国に分かれた印象でしたが、それでもイングランド久々の躍進、そして何よりクロアチアの決勝進出は予想出来ませんでした。
 これぞブリティッシュ・ウェイ! と言わんばかりの質実剛健イングランドのサッカー。がっちり守ってセットプレーやストライカーのハリー・ケインに託すその潔さ。時代のトレンドに応じてある程度ベースが共通してくる世界レベルのサッカー界ですが、自国のフットボールを堅持しつつ正統に進化させた、そんな印象があります。
 そしてクロアチア。3試合連続の延長戦(PK戦2試合含む)を走り抜いたタフネスとよく統率されたサッカーは、観る者の胸を打ちました。さすがに勢いは続かず、決勝では力尽きましたが、今大会のフレッシュな印象を象徴する存在、それがクロアチアだったと想います。

 

 ベルギー代表の高速カウンター、というキャッチーなフレーズが代表されるように、クラブではない代表の舞台でも戦術的にオーガナイズされたチームが多く、よりハイレベルになったように思いました。
 プレッシャーの激しい地帯でいかにボールを繋ぎ、ゴールを狙うのか。自然と攻撃は高速化し、インテンシティが求められるようになる。アーティストというより陸上競技のアスリートのような身体能力を持った選手達が、当然のように正確で華麗なプレーをする。
 そういった今大会の流れを分かりやすく示したのが、準決勝のフランスvsベルギーだったように感じます。あのフランスでさえ、ゴールを奪ったらがっちり守りに入る。カウンターで日本とブラジルを沈めたベルギーが、フランスの堅牢な砦を突き破るために可能な限りの速いプレーを続ける。
 あまりにもハイスピード、ハイレベルで、準々決勝より上のレベルはまたクラスが一段違う印象を受け、この舞台で戦うのは並大抵のレベルでは厳しいなと実感しました。

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 個人的にそういった今大会のレベルの高いサッカーを先導していたと思うのがモドリッチラキティッチアザール、デブルイネといった選手達。彼ら4人を最も印象深いプレーヤーとして選びたいと思います。

 

 1994年USA大会を少しだけ垣間見て、以降は数試合ではありますが継続して観戦してきたワールドカップ。それなりに私も観戦歴を重ねてきましたが、今大会が最もエキサイティングで面白い大会でした。
 それはサッカー自体のレベルの高さや革新性もさる事ながら、大きな注目点として挙げたいのが今大会から導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)です。
 世界最高峰のレベルを誇る祭典とはいえども、毎回そこに水を差していたのが不可解な誤審。人間がジャッジするからミスは付き物とはいえ、やはり許容し難いものも多数あったのは事実で、いつもどこかに消化しきれない思いを抱えていました。
 それが、完璧ではないとはいえ(VARを行うのも主審の裁量のため)大幅に誤審を減らす事が出来た今大会。シミュレーションや微妙なゴールライン上の判定、微妙なオフサイドの駆け引きなど、主審の目を欺いて正当なプレイを偽装するのは難しくなりました。その槍玉に挙げられてしまったネイマールは、ちょっとだけ気の毒でもありますが。
 やはり、サッカー大国へのジャッジは比較的甘くなりがちで、そのチームの格に忖度とまでは言わないまでも、主審も多少腰が引ける事があったのではないかと推測します。それが、VARによって劇的に解決に向かっていくと思われ、それは歓迎すべき事態である事は間違いありません。国際的にはまだまだ実績が足りない我が日本も、いずれその恩恵に預かる時は必ず来ると思われます。
 流れが止まってフットボール的ではない、という指摘もありますが、いずれにせよ微妙な判定には選手の抗議で試合がストップするのは不可避。それなら白黒はっきり付けた方が明らかに得策であり、個人的にはVARによる試合中断にストレスは感じませんでした。

 

 もはや歯止めの利かない商業主義、FIFAの腐敗など問題点は山積みですが、それでもワールドカップという世界屈指のお祭りは格別なものがあり、次回以降もこんなに喜びを感じられるならば、言う事はありません。
 とはいえ、次回は黒い噂が囁かれる選考を経て決定したカタール。初の冬季開催が予定されているようですが、果たしてこのFIFAの判断は吉と出るか凶と出るか。予選の試合内容だけでなく、大会の開催自体にも波乱がありそうな本大会までの流れには注目していきたいと思います。

I have a good feeling about this!

 昨年12月にEP8が公開されてから約5ヶ月という短いスパンで、USAにてSWサーガのスピンオフ映画が公開された。それが『ハン・ソロ』(『Solo: A Star Wars Story』)である。

 約1ヶ月遅れで日本公開を迎えたわけだが、本国では興行成績が振るわないというニュースがその間に入ってきていた。人がどう思おうと、自分が観て判断したものがその作品の評価になる。私はその手の評判を気に留めなかったが、いかんせんEP8によって負った深い心の傷が癒えるには至っておらず、そういう意味ではSWに対する疲れのようなものがあったのは事実。 しばらく、このサーガについて考える事を煩わしく感じる事が多かったのだ。 

 

 だが、作品自体に不安は持っていなかった。『ローグワン』を例に出すまでもなく、原作の世界観を元にしたスピンオフならば、概ね楽しめるものに仕上がっているだろう。そういう意味では、今まで以上に肩肘張らず、気楽に日本公開の封切り当日に鑑賞してきた。

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 以下は、ネタバレしか含まない個人的な感想である。

 

 

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Lucas Order

 GWにフクアリにてジェフの試合を観戦した際、友人から本を贈ってもらいました。ありがとうございます。 

ジョージ・ルーカス 究極コレクション

ジョージ・ルーカス 究極コレクション

 

  ページ数も文章量もかなりボリュームがあり、実は未だに熟読したとは言えない状態なのですが、非常に興味深い内容でした。

 

 個人的に、スターウォーズ研究本はこの2冊以上のものはないと思っています。

スター・ウォーズ完全基礎講座

スター・ウォーズ完全基礎講座

 
スター・ウォーズ完全基礎講座 エピソード1篇(ファントム・メナス)

スター・ウォーズ完全基礎講座 エピソード1篇(ファントム・メナス)

 

  神話、民俗学建築学、美術、ポップカルチャー…様々な観点から『Star Wars』の源流を探り、ルーカスの脳内を解析しつくした研究本。確かにスターウォーズ本編のオタク的知識はあまり身に付きませんが、この一大銀河サーガを読み解くための最適なガイドブックだと思います。エピソード2・3編が出版されていないのが本当に残念。

 レポートを書くために篭った大学の図書館で、資料探しの最中に息抜きのつもりで読み始めたら止まらなくなってしまった事を思い出します。

 

 今回頂いた『ジョージ・ルーカス 究極コレクション』は、こういったスターウォーズに特化した内容ではなく、あくまでルーカス作品を時系列順に振り返るクロニクル的な内容。

 スターウォーズ関連だけでなく、ルーカス作品の本もいくつか読んではいますが、これほど圧倒的かつ充実した内容のものは今まで読んだ事がなく、もう少しじっくり時間をかけて目を通さなければならないと思っています。

 これも大学時代に買った本でしたが、かなり残念な内容でした。 

『スター・ウォーズ』とジョージ・ルーカス―総特集 (KAWADE夢ムック)

『スター・ウォーズ』とジョージ・ルーカス―総特集 (KAWADE夢ムック)

 

  主体になっているのがルーカス批判であるせいか(そうとしか読み取れない)、回りくどい文章で結局ルーカスの制作姿勢やマーチャンダイジングを攻撃するライターが多く、作品一つ一つと向き合っていない印象が露骨に目に付きました。今は部屋の奥底に眠ったまま、読み返す事もありません。

 

 閑話休題。『究極コレクション』に話を戻すと、『THX1138』から『Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull』(『インディ・ジョーンズ4』)まで、丁寧に各作品を紹介しています。

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 当時の制作時の逸話や、時代状況の解説、または作品ごとの詳細なデータなど(『American Graffiti』ではBGMとなったシングルレコードを全曲写真入りでリストアップ)、過不足ないジャストな内容。

 

 個人的に一番面白いと思ったのは、元ネタとまでは言わないまでも、各作品の源流となった映画を紹介し、読者に更なるルーツ研究を促しているところ。

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 The Beatles, YMO, 大滝詠一…音楽では敬愛するミュージシャン達のインタビュー記事などを元に時代を遡って研究してみる、という事を多く行ってきた私ですが、こと門外漢である映画ではそういった経験はなく(黒澤明作品を観たくらい)、とても貴重なサブテキストとなりそうです。

 

 ルーカス作品中、最も酷評されている『Howerd the Duck』も、今回ようやく全容が明らかになりました。

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 私はこれと『THX1138』『Labyrinth』を観ていないのですが、80年代らしいテイストが濃厚で、これはこれで面白そうなのではないか…(DVDを買うほどでもないけど)という印象は変わりません。

 

 もう一度こういった失敗作(とされている映画)にスポットを当て直す、というコンセプトだったのでしょうか。

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 『Howerd the Duck』の作品解説は裁判形式で問題点を指摘し、

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Star Wars Episode 1: The Phantom Menace』は、ライトサイドとダークサイドが作品を語り合う形式となっています。とはいえ、どちらも作品を擁護する事はなく、結局辛辣な結論に至っているのですが…。

 

 約10年間の沈黙から、自ら率いる特殊映像集団ILMの技術進歩を確認し(『Jurassic Park』によるもの)、『Star Wars Episode 1: The Phantom Menace』にて第一線に戻ってきたルーカス。だが、スターウォーズ新3部作が受けた(SWオタク達からによる)批判には、大いに心を痛めていた模様。

 『Star Wars Episode 3: Revenge of the Sith』で評価を持ち直したものの、決定的になったのは『インディ4』の悪評や『Star Wars』BD化の際の改変に対するオタク達の猛烈な怒り。こういったインターネット上でのファン達からの罵詈雑言をまともに受け止めてしまった事が、結果的に彼の引退を早め、ディズニーへのルーカスフィルム売却を決断させてしまったようです。

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 確かに面倒なオタクが世界中に数多存在する『Star Wars』ですが、あくまで自分の作品として確固たるポリシーの元に数々の改変を行い、作品を創ってきたと思っていただけに、そこまでファンの評判を気にしていたとは意外でした。ファン達の怒りが、ルーカス自身が想定していたより遥かに激しいものだったのかもしれません。

 「そなたの激しい怒りが、彼女を殺したようだ…」とは機械化した直後のヴェイダーに皇帝がかける言葉ですが、何ともファンとルーカスの後の関係を暗示しているようでもある、というのはこじ付けが過ぎるでしょうか? しかし、あのやりたい放題の『Star Wars Episode 8: The Last Jedi』が存在する現在の状況を考えれば、余計にその思いが強くなります。

 私はプリクウェル(新3部作)も『インディ4』も大好きなので、こういった穏健派ファンの意見も聞いてほしかったと思うのですが、やはり声が大きい人達が目立つのは時代や国境を問わないようです。90年代に入ってからの章は、作品が好きであるが故にじっくりと浸りたいのにも関わらず、そういった世間の評価とのギャップに苦しむルーカスと舌鋒鋭く彼の作品を叩くメディアの様子が露になっていて、なかなか読み進めるのが辛かったです。

 

 最後に、ルーカスフィルム売却に関する話や、ルーカスの手を離れたSWの“覚醒”を語っているページもありますが、さほど量も多くなく、あまり興味も無いので読み飛ばしています。

 

 この本をもらった時、真っ先に気付いた事がありました。

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 出版社名に見覚えがあると思ったのですが…

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 幼少時、両親が購読してくれた絵本の多くを出版していた会社だったのです。

 私の感受性を育んだ絵本の数々。そういった幼い頃の思い出が、今ジョージ・ルーカスと共に一つの線になる。

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 「『Star Wars』は現代の神話で、御伽噺である」とは定説のようによく言われる事ですが、それが実感となって繋がった気がします。私本人しか共感してもらえない感情だとは思いますが、自分の中では偶然とは思えない一致でした。