(Revenge of the) United Minds

Talkin' 'bout Music, Football(JEF United Chiba) and More.

My Robot Friend

 永遠の少年の憧れ、ロボットアニメとプラモデル。勿論私も通過していないわけではないが、すぐ横道に逸れてしまった程度であり、どっぷりと浸かったとは言い難い。
 勿論、当時は今ほどひねくれていたわけではないし、そういったものを忌避していたわけではない。それどころか興味津々であった。だが、そこには「アニメを視られない」という厳然たる壁が存在する。我が家はTVが1つしか存在せず、その上私のチャンネル権は家族内カースト最下位に近かったので、とてもアニメを継続して視聴出来る環境にはなかったのだ(気の強い妹は父に敢然と抵抗し、時に勝利していたが)。
 今のように、朝や夕方に放送してくれれば少しは話も違ったであろうが。事実、夕方に放映されていた戦隊ものや、千葉TVでの再放送アニメ等はそれなりに視られた記憶がある。
 それでも、やはりロボットプラモの造形は魅力的であった。最大の購買層である少年であった私も、その魅力には抗えなかったのだ。

 

 きっかけは思い出せないが、ある年にガンダムブームが巻き起こった事があった。ガンプラは勿論、SDガンダム武者ガンダムなど、我々少年の間をガンダム関連の商品が席巻した。『Zガンダム』や『ZZガンダム』のアニメ放映と何か関連があったのかどうかはわからないが、我が学年の男子は誰もが否応無くその流れに飲み込まれ、身を任せるほかなかった。サンライズバンダイの戦略が的確だったのだろう。
 小学生時代の我々は、それぞれの誕生日を祝してパーティーを行うのが決まりだった(誰が始めたのかはわからないが、それが当たり前のように催される行事だった)。そしてこのガンプラブームの年に友人がくれたプレゼントは、全てガンダム関連のグッズであった事を鮮明に記憶している。その中には、チョバムアーマー着脱可能なアレックスのプラモがあったはずだ。

 

 そんなガンダムブームと前後して、突如地元に新しい模型店が回転した。殆どがロボットアニメなど最新の品揃えであり、店主も20代くらいのお兄さん。店の作りも何となく「都会」を感じられる新しいもので、かなり衝撃的な事件であった。しかも、ロケーションは我が母校(小学校)のすぐ近く。隣には食料品店とは名ばかりの駄菓子を揃えた店もオープンし(経営者は恐らく親族であったのだと思う)、我々から僅かな小遣いを巻き上げる気マンマンのラインナップだった。
 今考えれば、この店の存在が我が街のガンダムブームの一端を担っていたのかもしれない。少なくとも、私と親しくしていた友人でこの店を訪れなかった者はいないだろう。
 ここで何を購入したのか、さすがに詳細には覚えていない。唯一確実な記憶は、開店セールの割引で「ジャブローに散る」のジオラマセットを買った事だ。

  当時はアニメを視聴していなかったので何の疑問も無かったが、今となると何故ゾックではなくザクがセットされているのかがわからない。勿論、ザクも進攻するジオン軍MSの主力機であったのは事実だが…。

 

 プラモデルは安いものもあったが、使える額は非常に限られている。好きな時に好きなものを買えるような資金はない(現在もだが)。それでも、手が空いた時に夢想するのは、あの模型店に整然と並べられたロボットプラモの箱の数々…。

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 日課であった、目の治療という名目での退屈で過酷なジョギングの最中。水田地帯に備えられていた潅漑施設のメカニカルなパーツを見て「何となくロボットっぽいな」と気を紛らわすのが精一杯だった。

 

 やがて日々は移ろい、ロボットプラモへの興味も徐々に薄れ始めた。そしてTM Networkとの出逢いが決定的な分岐点となり、私はしばらくプラモデルとは無縁な生活を送る事となる。
 件の模型店も、閉店日が長く続くようになった。営業が不定期になり、いつしか開いている日の方が少なくなって、今までの繁盛ぶりが幻であったかのよう。「店員のお兄さんの事情」だと我々は認識していたが、詳細は今でもわからない。そうなると隣の駄菓子店共々、完全に店を畳むまでは時間の問題だった。華々しい開店から、僅か2~3年で迎えた栄華の終焉。あまりにも儚い結末である。
 誰かから「閉店セールをやるらしい」と聞いたような記憶があるが、それすら今となっては曖昧だ。前述の誕生日パーティーも中学生になってからは行われる事もなく、我々は形だけとはいえ少しずつ大人へと歩みを進めていた。

 

 上京後、音楽の相棒であったジョニー馬論と何故かプラモを作る事が恒例行事になっていた事があり、それが私とプラモの再会だった。エヴァンゲリオンパトレイバーレイズナー、そして勿論ガンダムの関連モデルを購入しては組み立てる。今考えれば時間の浪費だが、ネットの無い時代の学生の休日の過ごし方はそんなものだろうという気もする。思えば、その頃プラモを購入した店も全て現在では姿を消している。これも時代の流れなのか。
 今年必要に駆られて片付けを行った際、それらを全て処分した。取っておいても特に問題はなかったが、一緒にこれらを製作した人物も地元へ引き揚げる際にとっくに捨てているであろう事から、私だけが後生大事に保存しておく事もないと考えたのだ。
 今回、このような記事を書いたのは、こういった出来事があった記念である。恐らく、今後自分で購入する事もないだろうと思い、ネット上に残しておこうと思った。

 

 ちなみにこのツイートだが、ガンガ・ルブに関しては記憶違いであったかもしれない。

 恐らく、幼少時に入手したと思われるこのトランプの存在が大きく影響しているのではないか。

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 いつ手に入れたかはもはや全く覚えていないが、いつからか机の中に入っていた。それから数度に渡る引っ越しでも紛失される事なく、現在自室に保管してあるというわけだ。

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 今見てみると、『ガンダム』『イデオン』『ダグラム』などサンライズ作品ばかりがカード化されている。『ガンダム』の名シーンも、知らず知らずインプットされていたに違いない。

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 そういえば、古くから我が街にあったもう一つの老舗模型店のディスプレイに、誰かが製作したガンダムの「ラスト・シューティング」のジオラマが飾られていた。それが何の場面であったかに気付くのは、更に数年後こちらの模型店もまた閉店を決めた頃であったが。