2021年の3枚
昨年の記事では一切触れておらず、そもそもつい先日まで私自身もすっかり忘れておりましたが、昨年の7月で前身ブログ"United Minds"開設から15周年、加えて我が音楽ユニットSpiSun (spiritual sounds)結成から25周年をそれぞれ迎えました。
どちらも世間に問う事の出来るような成果を何一つ残しておらず、ことブログに関しては個人更新へ移行した当ブログ開設以降はヒット数低下が著しいのが現状。これといって振り返るべきトピックがなく、特に今年何かを言及するつもりもありません。
そんな前身ブログ開設時から、年末になるとその年にリリースされたアルバムを振り返る企画を欠かさず行ってきました。少なくとも開設後5年程度まではある程度の作品数を購入しており、この企画を成立させる事に何の問題もなかったのですが、最近は年を追うごとに10枚の選定に苦心するようになっていました。
近年顕著なフィジカルメディアの価格高騰、怒涛のような重要作リマスター再発なども原因に挙げられますが、何より問題だったのは昨今の新譜に刺激や驚きを感じる機会が少なかった事です。まがりなりにも中学生からポップ・ミュージックを聴き続けてきた事の弊害であり、新たなミュージシャンに新鮮な感情を抱きにくくなった感性の老いが原因として挙げられるでしょう。
それでも毎年何とか無理矢理にでも続けていましたが、特に感銘を受けなかった盤を一昨年の10枚の中に選ばざるを得なかった事で、遂に自分の中で張り詰めていた糸が切れた気がしました。
半ば強引にでも新たなミュージシャンを探したり、昨今の音楽サイト等で評価されている新譜を聴くという行為は、現在のシーンに少しでも触れていたいと思うが故であり、長らく休業中のままのミュージシャンとしてのマインドを忘れぬようにするためでした。ある意味勉強や修行のようなもので、それを実行するための大義名分として毎年末(年始)に1年の音楽を振り返るブログ記事を書いていたのです。
2020年に満足のいく10枚を選べなかった事が心残りだった上、昨年2021年は更に事態が深刻化。そもそも新譜を6枚しか買っておらず(フルレングスでないEPを除けば5枚、ただし旧譜は例年通り定期的に購入している)、いよいよ企画として成立しなくなってしまいました。
今後も同様の事例は起こり得るでしょうし、さほど魅力を感じないものを我慢して聴くのにも少々疲れてきたというのが本音。よって、15周年の節目を機に、この年末(年始)音楽振り返り企画をドラスティックに変化させ、今後は3カテゴリから1枚ずつ、計3枚を選ぶ事にします。
New Release
文字通り、その年に発売された新譜で最も気に入ったもの。
Reissue or Compilation
リマスター再発、新たに編集されたベスト盤など、既発表曲の装いを変えた作品の中で特に印象的だったもの。
Oldies but Goodies
今まで作品を所有した事がなく、その年に初めて聴く機会を得たミュージシャンの作品中から、一番好みだったと思えるもの。
旧譜を買うペースは全く落ちておらず、新譜にしても再発・コンピレーションにしても毎年必ず1枚は購入するので、さすがに3枚を選べないという事はないはず。今までの15年間でインプットに努めた分、これからは何とかアウトプットに比重を置きたいというステイトメントでもあります。単なるこじつけの努力目標かつ、CDにお金を割けない言い訳でしかありませんが。
New Release
Running - Cafuné
出逢いは、マクドナルド店内で流れていた彼らの楽曲「High」でした。
捻りの効いたコード進行とギター、気怠いようでエモーショナルなヴォーカル、極限まで研ぎ澄まされたかのようなクールでスタイリッシュな世界に一瞬にして心を奪われ、自室へ帰るなり配信購入。
アルバム全体通してもこのトーンは変わる事なく、一定したクオリティが保たれています。兎に角何よりもメロディが良い。全曲を気に入るというアルバムは、近年でもそうそうありませんでした。
2021年は、外にもスマートフォンのブラウザに表示されたニュースで知ったBeabadoobee, TwitterでバズっていたThe Linda Lindasが白眉でした。逆に言えば、この3組以外にまともに新譜を買っていないという事でもありますが…。
このように偶然出逢ったミュージシャンがどれも素晴らしい才能を持っており、どの音源も繰り返しプレイしています。これからは今までのように無理をして新たな音を探るのではなく、この年のように偶然の出逢いのみを重要視すれば心地良い音楽体験が出来るのではないかと思ったりもしました。
しかし、必死に音楽シーンの流れを追おうと思ったからこそ近年はThe Weeknd, Kacey Musgraves, Natalie Prass, Mitski, anderson .Paakなどと出逢えたわけで、ここは非常に判断が難しいところ。
一つだけ確かなのは、情報収集の場としてマクドナルドは今後重要な役割を担っていくであろう事です。2~40年程度昔の洒落たサウンドを紹介してくれた(現在は選曲担当者が変わったらしいので過去形とする)西友とは違い、最新の曲を紹介してくれるのも見逃せない点。
Reissue or Compilation
All Things Must Pass (50th Anniversary) - George Harrison
リマスター再発の度に装いを大きく変えるこの作品。今回も今までとは全く違ったアプローチでリミックスされており、50年目にして更に新たな魅力を現代のリスナーに提示しています。
この新装盤に関しては既に記事にしているため、詳細は以下リンクをご参照下さい。
ちなみに、サブスクリプション解禁でも大きな話題となった大滝詠一『A Long Vacation 40th Anniversary Edition』は、タイミングを逸したために未だに購入しておりません。今後、入手する機会は巡ってくるのでしょうか…。
発売40年目にして遂に「君は天然色」の初PVが作られたりと、2021年はナイアガラの流れが日本音楽界を再び沸かせたような印象がありました。これを機に、若き音楽ファン達が「BREEZEが心の中を通り抜ける」体験をしてくれると嬉しいです。
Oldies but Goodies
The Pains of Being Pure at Heart - The Pains of Being Pure at Heart
他にも新たに聴いたミュージシャンは多かったのですが、ひとまずこれを選ばないと始まらないと思います。私が生まれて初めてAmazonの“ほしいものリスト”に登録したアルバムを、ようやくに手にする時が来たのですから。そのタイムラグ、何と12年。それだけの長い間、買わずに放置していた自分にも驚きます。完全に忘れてたんだろうなぁ。
我がAmazonほしい物リストの最古参であるCDと、ユニオンにて初対面。リストに入れた事すら忘れていたけど、誰かに薦められたものだった記憶がある。ちなみに価格は100円だった。All things must pass...
— ミカ・ラウド (@MicaLaud) 2021年8月7日
一時期、ドリームポップ系のバンドばかりAmazonが薦めてくる事があり、それに抗う事なく素直に従っていたら、完全にこの手のジャンルに飽きてしまい拒否反応が出た事がありました。My Bloody Valentineの存在がその理由なのかと思っていましたが、もしかするとこのアルバムがほしいものリストに居座り続けていたからだったのかもしれませんね。
ただ感傷や思い出のみで選んだだけでなく、内容も充実していました。甘く切ないメロディと。若さにまかせた性急な演奏がどうしようもなく青さを感じさせ、名盤として評価されているのにも納得。
このアルバムで世に出た彼らは、私が購入を躊躇っている間に10年間の活動を終えてしまったようです。言いようのない罪の意識のようなものを感じるし、同時に10年間という年月の長さを実感もします。
他にも色々と新たに聴いたミュージシャンは多かったのですが、久々にThe Rolling Stonesのオリジナル・アルバムを数枚購入しました。ここから徐々に集めていこうと思っています。
#God bless Charlie Watts we’re going to miss you man peace and love to the family Ringo 😎✌️🌟❤️🌈🎶☮️ pic.twitter.com/3tSFg7EMQG
— #RingoStarr (@ringostarrmusic) 2021年8月24日
R.I.P. Charlie Watts.